ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

チューバッカとミレニアム・ファルコン号との出会い、
若き日の不器用な恋。スラム出身の力なき青年が
銀河のアウトローとなる前の姿を描くSWシリーズ最新作

  • 2018/06/18
  • イベント
  • シネマ
ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー© 2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

「スター・ウォーズ」シリーズで長く愛されてきたハリソン・フォードによる人気キャラクター、ハン・ソロの若いころを描くアナザー・ストーリー。出演は2016年の映画『ヘイル、シーザー!』の若手俳優オールデン・エアエンライク、『スリービルボード』のウディ・ハレルソン、アメリカのテレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のエミリア・クラーク、グラミー賞受賞アーティストでラッパー、俳優でもあるドナルド・グローヴァー、身長213cmでプロのバスケットボール選手の経歴をもつヨーナス・スオタモほか。監督は『ビューティフル・マインド』のオスカー監督ロン・ハワード、脚本は『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』の脚本を執筆し、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の脚本に携わったローレンス・カスダンと彼の息子ジョン・カスダンが手がける。銀河一のパイロットを目指す青年ハン・ソロは、恋人キーラとともに、支配者が牛耳るスラムの惑星コレリアを脱出しようと試みるが……。ハン・ソロが銀河のアウトローとなる以前、相棒チューバッカや愛機ミレニアム・ファルコンとの出会い、幼なじみとの恋を描く、SWシリーズ最新作である。

ヨーナス・スオタモ,オールデン・エアエンライク

宇宙のスラム、辺境の惑星コレリア。銀河一のパイロットを目指すハン・ソロは、恋人キーラとともに、支配者が牛耳る惑星コレリアの脱出を試みる。しかしキーラが出国直前に捕まり離れ離れとなり、「必ず迎えに来る」と心に誓い、ハンは1人で出国する。その後、ハンは帝国フライトアカデミーで飛行機の操縦を学ぶも、その性分によりアカデミーから追放。戦地の最前線で兵士として戦うなか、凄腕の男ベケットと出会う。

ルークやレイアと出会う前、まだ幼さの残る若いころのハン・ソロを描く本作。ソロの愛機ミレニアム・ファルコンの逸話、ミレニアム・ファルコンのもと持ち主であるソロの悪友ランド・カルリジアンや、相棒チューバッカとの出会いという、ファンの期待大のおいしい要素を描いている。本作についてのアメリカでの酷評を知った上で観て、筆者が率直に思ったのは、ファンの期待の大きいSW映画は、際立ったところが特にないということが、ここまでの酷評に、ということ。お約束の逃亡劇やバトルはあるなか、強く惹きつけられる瞬間は特になく、観終わった後に良くも悪くも残らないストーリーであるのは否めない。ユーモアやウィットをもっと期待していたこともあり、いくらでもおもしろくなるはずの秘話がそうでもないことは残念だ。しかし日本人の特性なのか、SWファン心理か、あまりにも悪く言われていると、まあこれはこれとして、生温かく観るのもいいのでは、という気がしてくる感覚も個人的にあった。

エミリア・クラーク,オールデン・エアエンライク

若き日のハン・ソロ役は、3000人以上の中からオーディションで選出されたオールデン・エアエンライクが熱演。オールデンは撮影前に、ハリソンからハン・ソロを演じる極意を教わったそうだ。故郷で一緒に育った幼馴染で恋人のキーラ役は、エミリア・クラークが謎めいた女性として、チューバッカ役はピーター・メイヒューから役を継いだヨーナス・スオタモが撮影前に2か月ものスタント・トレーニングを積み元気に好演、高速船ミレニアム・ファルコンのもと持ち主で腕利きの運び屋であるギャンブラーのランド・カルリジアン役はドナルド・グローヴァーが、ランドの相棒である女性型ドロイドL3-37役はフィービー・ウォーラー=ブリッジが、ベテランの犯罪者トバイアス・ベケット役はウディ・ハレルソンが、ベケットの信頼するメンバーのヴァル役はタンディ・ニュートンが、新進の冷酷な犯罪組織を率いるドライデン・ヴォス役はポール・ベタニーが、それぞれに演じている。そして日本語の吹き替え版では、実力派の声優をはじめ、カメオ出演として歌舞伎役者の市川海老蔵、ミュージシャンで俳優の及川光博、宇宙飛行士の野口聡一、OKAMOTO’S のベーシストであるミュージシャンのハマ・オカモト、お笑いコンビ、ミキの亜生ら5人が参加している。

見どころのひとつは、SWファンにおなじみのキャラクターやガジェットが新鮮な姿で登場することだ。“銀河系最速のガラクタ”ではまだない、整った姿の銀河一の高速船ミレニアム・ファルコン、御年190歳の若々しいチューバッカ、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』で自称・実業家と名乗っていたランド・カルリジアン。エピソードとしては、高速船を操る密輸業者から反乱軍でリーダーシップを発揮するようになる以前の、自らの力のなさに歯噛みする若いハン、レイアと出会う前の恋、チューバッカとの邂逅、ランドからミレニアム・ファルコンをギャンブルで手に入れるくだりなどが劇中で描かれている。

オールデン・エアエンライク,ヨーナス・スオタモ

この映画の製作では、当初から監督が2度変わり、撮影終盤で3人目のハワード監督が引き継ぎ、大幅に撮影し直したこともよく知られていて。本作の製作総指揮に名を連ねている、ともに40代前半の監督コンビ、フィル・ロード&クリストファー・ミラーが交代前までどのように撮っていたのかも気になるところだ。さらに続いてゆくだろうSWシリーズで、ベテランによる昔ながらの手法やマーケティングに頼るのみならず、旧三部作への敬意を払いつつ、SWシリーズへの大きな愛とともに熱心に関わろうとする若い世代をどんどん取り込み、前向きな話し合いや共同作業のもとで新たなエピソードが生まれてゆくといいなと、いちファンとして期待している。
 2018年6月12日に東京で行われたジャパンプレミアにて、ロン・ハワード監督は観客に向けて、本作についてこのようにメッセージを伝えた。「本作の若きハン・ソロは反骨心に溢れ、自由を求めているけれど、ハンだけでなく、謎の美女キーラや新ドロイドL3-37、チューバッカもみんな自由を求めているんだ。アクション満載のアドベンチャーを、ぜひ日本のファンの皆さんに楽しんでいただきたいね」

作品データ

劇場公開 2018年6月29日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2018年 アメリカ
上映時間 2:15
配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題 SOLO : A STAR WARS STORY
監督 ロン・ハワード
製作 キャスリーン・ケネディ
出演 オールデン・エアエンライク
ウディ・ハレルソン
エミリア・クラーク
ドナルド・グローヴァー
ヨーナス・スオタモ
フィービー・ウォーラー=ブリッジ
タンディ・ニュートン
ポール・ベタニー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
XInstagram

記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。