劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-

開始から10周年、人気ドラマシリーズの劇場版が完成
日々の現場での葛藤、成長した医師たちの姿を描く
医療監修のもとドクターヘリの重要性が伝わる人間ドラマ

  • 2018/07/11
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劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-©2018「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会

2008年に1st Seasonが放送されてから10周年となる2018年、ドクターヘリとフライトドクターたちの活動を描く人気ドラマの劇場版が完成。出演は山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介、そして椎名桔平、Hey! Say! JUMPの有岡大貴、成田凌、新木優子、馬場ふみか、安藤政信ほか。監督はドラマから演出を担当し、本作が映画初監督となる西浦正記、プロデュースは増本淳が手がける。翔陽大学附属北部病院救命救急センターの医師でありフライトドクターである白石たちのもとへ、成田空港での航空機トラブルで傷病者多数により出動要請が入る。いつもながら主題歌であるMr. Childrenの『HANABI』のメロディがぴたりとハマり、10年かけて成長してきた医師や看護師、キャラクターたちの今とこれからを描きつつ、臓器提供や末期患者について、患者と健常者との恋愛や問題のある親の面倒をみる子どもといった現代的なテーマを取り入れて描く。取材に基づきドクターヘリの重要性を伝える医療ドラマであり、人間ドラマとしても引きつける作品である。

新垣結衣

地下鉄トンネル崩落事故から3か月後、翔陽大学附属北部病院救命救急センターの医師である藍沢はトロント大学の臨床医師として渡米の準備を始め、同僚の医師である緋山は周産期母子医療センターの医局長として推薦され、もうすぐそれぞれの道が分かれることに。そんななか、同救命救急センターの医師でフライトドクターの白石たちのもとへ、成田空港での航空機トラブルにより傷病者多数というドクターヘリ出動要請が入る。その後、末期がんを患う若い女性、アルコール依存症でトラブルメーカーの母親といった患者たちと向き合っていくなか、海ほたるでフェリーの衝突事故が発生。藍沢たちフライトドクターはヘリで出動、重傷者も多く混乱する現場で難しい処置をしていた最中、ある事故が起きる。

医療の現場で真摯に生きる医師や看護師たちの思い、患者たちとのかかわり、医療と命に向き合うこと、そして彼らの友情を軸に描くドラマの劇場版。スーパードクターが奇跡を起こすのではなく、医療従事者ひとりひとりが日々の医療に真剣に取り組み、すべての人を助けられるわけではないことを痛感し、迷い悩みながらも尽力してゆく姿を、今回も実直に描いている。シリーズの製作にあたりスタッフは、2001年より千葉県ドクターヘリ事業の基地病院となった日本医科大学千葉北総病院を取材してきたとのこと。当時の同病院の救命救急部長でドクターヘリ導入に尽力し、『コード・ブルー』シリーズに協力してきた現・南多摩病院院長の益子邦洋氏は、ドラマへの熱い思いを語る。「実際の医療現場においても、スーパードクターは必要ありません。1人のスーパードクターよりも、スタッフ全員の“命に向き合う覚悟”と“チーム力”が必要だという理念を、『コード・ブルー』はしっかりと受け継いでくれています。日々、数多くの失敗を繰り返し、先輩から叱責され、失意のどん底を経験することも実際の北総病院の現場と同じです。厳しくも温かい指導のもとで、苦悩しながらも着実に成長を遂げていくプロセスに共感すると同時に、このような立派なドラマに仕立て上げてくれた俳優諸君や製作スタッフにとても感動したことを忘れられません」

戸田恵梨香

翔陽大学附属北部病院救命救急センターの医師でフライトドクターのメンバーは、10年間同じ役を演じている俳優たちが好演。脳神経外科が専門の藍沢耕作役は、山下智久が冷静な野心家から患者と仲間を思いやる医師として成長した様子で、救急医学が専門の白石恵役は新垣結衣が、日々リーダーシップに迷いながらも堅実で誠実なフライトドクターのスタッフリーダーとして、産婦人科が専門の緋山美帆子役は戸田恵梨香が、障害のある恋人との付き合い方に悩みつつも仕事に邁進する女性として、整形外科が専門の藤川一男役は浅利陽介が、冴島との結婚に浮かれるムードメーカーの明るい医師として、フライトナースの冴島はるか役は比嘉愛未が、末期がん患者の女性の苦しみに寄り添う看護師として、表現している。また2017年放送の3rd Seasonから登場した若手の救命救急フェローでありフライトドクター候補生のメンバーは、総合病院の院長兼経営者の跡取りである名取颯馬役は有岡大貴が、勉強熱心ながらも生真面目で不器用な灰谷俊平役は成田凌が、陽気でマイペースながらも優しい横峯あかり役は新木優子が、フライトナースの雪村双葉役は馬場ふみかが、不仲の母親との再会に苦しみ、2010年放送の2nd Seasonから参加の救命センター部長の橘啓輔役は椎名桔平が、医師として、また心臓移植を受けた息子の父親として脳死判定を受けた患者の家族と向き合うさまを演じている。そして脳外科部長の西条章役は杉本哲太が、脳外科医で藍沢のライバルである新海広紀役は安藤政信が、緋山の恋人でもと一流料理人の緒方役は丸山智己が、ナース雪村の母役としてかたせ梨乃が、末期の胃がんを患う富澤未知役は山谷花純が、未知のもと婚約者の岩田役は新田真剣佑が、フェリー衝突事故の被害者の家族である青年・杉原役は平埜生成がそれぞれに演じている。

ドラマでも大型輸送機関の大規模災害が描かれてきたなか、映画では成田空港での航空機トラブル、海ほたるでのフェリー事故を扱っている。成田空港では実際に、前述の日本医科大学千葉北総病院と協力体制をとっており、緊急時には成田空港消防指令室から救命救急センターのホットラインへ直接、医師などの派遣を要請できる、国内外でも珍しい協定が結ばれているとも。またヘリポートのシーンはドラマシリーズと同様に北総病院で実際に使用されているヘリポートにて撮影。10年にわたる『コード・ブルー』シリーズの人気とともに、2007年当時は日本全国に14機しかなかったドクターヘリが広く認知され、日本全国に定着していったことについて、前述の益子邦洋医師は感謝とともに語る。「豪華な俳優陣の迫真の演技により高視聴率を獲得したこともあって、ドクターヘリへの国民の理解は急速に深まったと考えております。その結果、2008年11月20日、超党派の国会議員によって“ドクターヘリ推進議員連盟”が設立し、特別交付税措置、航空法施行規則第176条の改正、ドクターヘリの防災基本計画への位置づけなどが実現しました。また2010年4月には経団連の関連組織としてドクターヘリ普及促進懇親会(会長:張富士夫トヨタ自動車名誉会長)が設立され、会員会社からの多額の資金提供を受けて、HEM-Netドクターヘリ搭乗医師、看護師研修助成事業がスタートしました」。この研修プログラムは、『コード・ブルー』シリーズの“フェローシッププログラム”と同じく、医師と看護師が現場医療を体験して学ぶものであるとも。

劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-

臓器提供とともにある、提供者の遺族と移植を受けた側それぞれの思い、余命宣告されている患者の恋愛・結婚、家族に恵まれなかったら逃げて生き延びるという選択肢があること、また白石と緋山の女同士の友情など、医療の現場からつながるさまざまな思いが描かれている本作。2018年7月4日に行われた関連イベントにて、西浦監督は『コード・ブルー』シリーズについて、このように語った。「いろんな捉え方をしてもらえて、嬉しいですね。作り手としては“こう見てほしい”というのはなくて、きれいごとを言うわけじゃないですけれど、見てくださる方が感じる方向でいいのかなと思います」
 また山下智久は病院で撮影しているときに、“実際には生死をさまよう人たちに自分たちは何もしてあげられない”という無力さをしばしば感じていたそうで、2017年12月に本作の撮影でオールアップを迎えた際に自身の思いをこのように語った。「ドラマを通じて、“『コード・ブルー』を見て私たちの子どもがお医者さんになろうと一生懸命勉強しています”という手紙をいただきました。そのときに僕らがやるべきことはこれだなと確信をもてるようになって、それからはより一層、僕の中で藍沢耕作というものが強く大きくなりました」

映画公開日の翌日2018年7月28日に映画化記念スペシャルドラマ『コード・ブルー 特別編 -もう一つの戦場-』、また2018年7月23日〜27日にはフライトドクター候補生たちの救命救急の日常を5夜連続5エピソードで描くスピンオフドラマ『コード・ブルー -もう一つの日常-』の放送が決定。ドラマとともに映画をより楽しめる展開も。シリーズ放送から10周年、大々的なひと区切りの劇場版で、これからもシリーズが続いていくのかどうかも気になるところだ。映画のキャッチコピーには、「救いたいという思いが、終わることはない」という言葉が。フジテレビの増本淳プロデューサーはシリーズの今後について、このように語っている。「ファンの方々に続きを見たいと思っていただけること。そして、我々作り手がもう一度集まりたいと思えること。この2つがそろえば、たとえ何年後でも、新たな物語を作ることができると思っています」

作品データ

劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-
劇場公開 2018年7月27日より全国東宝系にてロードショー
制作年/制作国 2018年 日本
上映時間 2:08
配給 東宝
監督 西浦正記
主題歌 Mr. Children『HANABI』
脚本 安達奈緒子
音楽 佐藤直紀
プロデュース 増本 淳
出演 山下智久
新垣結衣
戸田恵梨香
比嘉愛未
浅利陽介
有岡大貴(Hey! Say! JUMP)
成田 凌
新木優子
馬場ふみか
新田真剣佑
かたせ梨乃
山谷花純
丸山智己
杉本哲太
安藤政信
椎名桔平
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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