ライオン・キング

人気のアーティストや俳優による名曲の数々とともに、
家族や仲間との絆、困難に立ち向かっていく勇気を描く
躍動的で鮮やかな最新の映像体験を楽しむ“超実写版”

  • 2019/07/24
  • イベント
  • シネマ
ライオン・キング© 2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

ディズニーのアニメーション映画で全世界観客動員数史上No.1(2017年12月時点)の『ライオン・キング』を、“超実写版”として新たに製作した注目作。声の出演は、ラッパー、シンガー、俳優、脚本家、監督、プロデューサー、コメディアンとして多彩に活躍する『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』のドナルド・グローヴァー、人気アーティストである『ドリームガールズ』のビヨンセ、『それでも夜は明ける』のキウェテル・イジョフォー、『スター・ウォーズ』や1994年の『ライオン・キング』のジェームズ・アール・ジョーンズ、『宇宙人ポール』『カンフー・パンダ』のセス・ローゲン、『アングリーバード』のビリー・アイクナーほか。監督は、『アイアンマン』シリーズや『ジャングル・ブック』のジョン・ファヴローが手がける。サバンナの王国に未来の王として生まれたシンバは、すくすくと育ってきたが、ある悲劇と陰謀により王国を追放され……。人気アーティストやベテラン俳優による名曲の数々とともに、最新技術によるサバンナの風景や動物たちの鮮やかな映像を楽しむ、ディズニーの名作である。

アフリカのサバンナ。偉大な王、ライオンのムファサと、妻サラビに息子シンバが誕生。時が過ぎ、やんちゃな子ライオンに成長したシンバは、王位を狙うムファサの弟でシンバの叔父であるスカーに付け入られる。そしてある出来事により敬愛する父を亡くし、王国を追放されたシンバは、乾いた大地をさまよった末に新しい仲間たちと出会う。はぐれ者コンビであるイボイノシシのプンバァとミーアキャットのティモンは、ワケあり風の子ライオンを自分たちが暮らす緑豊かなジャングルに案内し、“嫌なことは忘れて気ままに暮らす”をモットーに、一緒に暮らし始め……。

実際に撮影した映像さながらのリアルさでも実写とアニメの合成ではなく、フルCGアニメーションであり、“超実写版”と打ち出す本作。製作では、仮想空間に“バーチャル・スタジオ”を作り、そこで実写映画さながらの撮影を行ったとのこと。アーティストたちが描いたコンセプトアートをもとに、クルー全員がバーチャル・リアリティのヘッドギアをかぶってその“スタジオ”に入り、そこでセット内を歩き回りながら、自分たちがシンバの横でアフリカの大地に立っているかのような状態で、ドリーやクレーンなどの撮影用の道具を用いて準備。実写映画と同様に照明やカメラアングルや撮りたいショットを決め、それを編集したものをVFXチームに引き渡し、ビジュアル・エフェクトを進めていく。そこにアニメーターたちが膨大な“本物の動物たちの素材”を用いて、動物たちの自然な行動や動きや表情を付け加え、実写のような変則的なニュアンスを加えていったそうだ。観ている側の感覚としては、BBCによるネイチャー・ドキュメンタリー『アース』のように、大自然や動物たちが生き生きと動き回り、太陽の陽射しの陰影や風になびく動物たちの毛といったナチュラルさに目を見張る。そこに動物たちの豊かな表情や、ミュージカルのように並んでステップを踏むといった自然の状態ではなかなかない動きがあると、CGアニメーションだとわかる。“CGの専門家でも一見では見抜けないほど”という本作について、ファヴロー監督は語る。「本作を実写かアニメーションか、判断するのは難しい。これはマジックのようなもの。つまり新たに、新しい媒体を作り直していると言える」

ライオン・キング

サバンナの王国で未来の王として生まれたシンバの声は、ドナルド・グローヴァーが担当。シンバの幼なじみで親友のナラの声は、ビヨンセ・ノウルズ=カーターが担当し、ともにグラミー賞アーティストである2人の共演、デュエット曲「Can You Feel the Love Tonight(愛を感じて)」に注目だ。行き倒れかけていたシンバを救ったはぐれ者コンビ、陽気で心優しいイボイノシシのプンバァの声はセス・ローゲンが、口は悪いが世話好きですばしっこいミーアキャットのティモンの声はビリー・アイクナーが担当。この物語のコメディを担うコンビのリズミカルなかけ合いが楽しい。シンバの父ムファサの声は1994年の『ライオン・キング』でも同役を務めたジェームズ・アール・ジョーンズが再び担当。『スター・ウォーズ』のダース・ベイダー卿の声でも知られるジェームズの、威厳とあたたかみ、説得力のある声と口調が印象的だ。ムファサの弟でシンバの叔父スカーの声はキウェテル・イジョフォーが、ムファサの妻でシンバの母サラビの声はアルフレ・ウッダードが、王国の祈祷師のような役割を担っているヒヒのラフィキの声はジョン・カニが、ムファサのサポートとシンバの教育係を担うサイチョウのザズーの声はジョン・オリヴァーが、ハイエナの群れのリーダー的存在であるシェンジの声はフローレンス・カサンバが、シェンジに付き従うハイエナのカマリの声はキーガン=マイケル・キーが、同じくアジジの声はキエリック・アンドレが担当している。

本作では、アニメーションの声の録音としては異例の方式で実施。ファヴロー監督は声を録音する際に、キャスト全員がそろって行うことにこだわり、全員でスタジオ入りし、即興劇のように目線を合わせながら演技をして録音。役者たちが自由に演じるのを生かし、台詞を変えてのアドリブもどんどん取り込み、数テイクごとに演技・録音をラジオ劇の編集のように行ったとのこと。相互作用で高まる情感、テンションの高いやりとりといったリズムや感情表現を生き生きと伝えているところが特徴だ。なかでも個人的にはセスが担当したプンバァに惹かれた。コメディ作品で知られるセスは、声だけでもユーモラスで陽気なエネルギーに満ちていて、キャラクターの魅力を引き立ててポジティブなフィーリングを届ける表現力が冴えている。

ライオン・キング

オープニングにズールー語のボーカルで力強く引き込む「Circle of Life」をはじめ、名曲のシーンは見どころのひとつ。本作ではディズニー史上最高のCD売上げを記録した1994年の『ライオン・キング』のサウンドトラックより人気のナンバー5曲に加え、新曲を追加。エルトン・ジョンと作詞家のティム・ライス、作曲家のハンス・ジマーと南アフリカ出身の作曲家で歌手のレボ・Mらアニメーション版の音楽チームが再集結し、新たにプロデューサーとしてファレル・ウィリアムスが参加。ファレルは、ドナルドとビヨンセのデュエットによるシンバとナラのバラード「Can You Feel the Love Tonight(愛を感じて)」、子ども時代のシンバとナラが歌う「I Just Can't Wait to Be King(王様になるのが待ちきれない)」、ティモンとプンバァが朗らかに歌う「Hakuna Matata」、レボ・Mによる「Mbube」、そして「The Lion Sleeps Tonight」の5曲を担当。トーケンズのヒット曲として知られる「The Lion Sleeps Tonight」はアップテンポにノリよくアレンジされ、映画オジリナルの楽曲ではないものの、軽快なリズムと伸びやかなメロディが動物たちの映像とマッチしてとても楽しいシーンになっている。またビヨンセが朗々と歌い上げる「Spirit」、エンドクレジットに流れるエルトン・ジョンとティム・ライスによる「Never Too Late」といった新曲も注目だ。

音楽界であまりにも有名なエルトン、ビヨンセ、ファレルらと同等の強い存在感を放つドナルド・グローヴァーは、シンバの声によく合っている。彼はアーティスト“チャイルディッシュ・ガンビーノ”名義による楽曲「This is America」が2019年の第61回グラミー賞にて主要部門である年間最優秀レコード賞、年間最優秀楽曲賞を含む4部門を受賞。“ヒップホップ・アーティストとして史上初の快挙”と言われ、“アメリカの今”について痛烈に表現したMVが大きな注目を集めたことは記憶に新しい。1983年にカリフォルニア州で生まれたドナルドは、ラッパー、シンガー、俳優、脚本家、監督、プロデューサー、コメディアンなど多彩に活躍。ニューヨーク大学でドラマ執筆の学位を得て卒業し、コメディシリーズ「30 ROCK」の脚本家としてコメディ界でキャリアをスタート。同シリーズでアメリカ脚本家組合賞を3度受賞、俳優としては、2015年の映画『マジック・マイク XXL』『オデッセイ』、2017年の『スパイダーマン:ホームカミング』、2018年の『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』などに出演。主演・脚本・監督・製作を務めた「アトランタ」でゴールデングローブ賞テレビシリーズ男優賞(ミュージカル/コメディ部門)、プライムタイム・エミー賞コメディシリーズ部門主演男優賞および監督賞を受賞した。ドナルドはシンバの声を担当するにあたり、「シンバの旅路にとても深い心の繋がりを感じる」と話し、この物語のメッセージ性について、このように語っている。「『ライオン・キング』は誰もが経験するような、とても人間的で誠実な物語だと思う。大切なのは永遠に変わらないことではなく、今を生きて、お互いに責任をもち、愛し合うこと。トラウマになるようなことが起こっても、そのせいで自分の人生を台無しにしないこと。僕たちはその経験から学んで、成長することができるのだから」

ライオン・キング

子ライオンの冒険と成長、王座奪還へと立ち上がる勇気を描き、魅力的な楽曲とともに、大自然と動物たちの鮮やかな映像で魅せる本作。2019年7月22日に行われたジャパンプレミアにて、来日したファヴロー監督はこの物語のテーマ<Circle of Life>について、“生と死を繰り返して世代を受け継ぐ”という意味だけではなく、新たなメッセージを込めたと語った。「サークル・オブ・ライフとは、この作品を語る上でいろいろな意味を持っています。子どもの頃は自分が自然の一部だということを徐々に知っていく。大人になると、世代から世代へ受け継がれるものがあることに気づく。自然の循環も、世代で継承されるものも、どちらもサークル・オブ・ライフです。世界がどんどん狭くなっている時代。みんながいかにしてひとつにつながるかが大事なことだと思っています」
 どこか分断が広がる現在のアメリカへの思いにつながるイメージも。最後に、子どもから大人まで幅広い世代がシンプルに楽しめる本作について、同イベントでのファヴロー監督からのメッセージをご紹介する。「本作は動物も背景もすべて、PCで作ったものです。先端テクノロジーを使った没入感を、ナチュラルに体感して欲しいですし、動物たちの表情や動き、歌声からすべての感情を味わっていただきたい。過去の『ライオン・キング』が大好きな方も、初めて観る方にも楽しんでいただけたら嬉しいです」

作品データ

公開 2019年8月9日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2019年 アメリカ
上映時間 1:59
配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題 THE LION KING
監督・製作 ジョン・ファヴロー
脚本 ジェフ・ナサンソン
オリジナル・ソング エルトン・ジョン、ティム・ライス
オリジナル・スコア ハンス・ジマー
出演 ドナルド・グローヴァー
セス・ローゲン
キウェテル・イジョフォー
アルフレ・ウッダード
ビリー・アイクナー
ビヨンセ・ノウルズ=カーター
ジェームズ・アール・ジョーンズ
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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