スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け

レイの出生の謎、2人の対決の行方、シスの計略……
スカイウォーカー・サーガが完結し、新たなる物語へ
故C・フィッシャーをはじめ伝説的キャラクターも登場

  • 2019/12/24
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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け© 2019 ILM and Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』が1977年に全米公開してから42年、スカイウォーカー家の物語が完結する。出演は、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』から引き続きデイジー・リドリー、『ブラック・クランズマン』のアダム・ドライバー、『パシフィック・リム: アップライジング』のジョン・ボイエガ、『永遠の門 ゴッホの見た未来』のオスカー・アイザック、全エピソードに唯一出演しているC-3PO役のアンソニー・ダニエルズ、『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』のビリー・ディー・ウィリアムズ、そしてアーカイブ出演となる故キャリー・フィッシャーほか。脚本・製作・監督は、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で脚本・製作を務めたJ.J.エイブラムス、共同脚本は『アルゴ』でアカデミー賞脚本賞を受賞したクリス・テリオ、音楽はこれまでのサーガ全編を担当してきたジョン・ウィリアムズが手がける。レイの出生とは、レイとカイロ・レンの対決は、レジスタンスとファースト・オーダーの決戦は、パルパティーンの計画は果たして阻止できるのか。これまで連綿と紡がれてきた物語に幕を引く、スカイウォーカー・サーガの完結編である。

デイジー・リドリー,アダム・ドライバー

石の惑星クレイトでの戦いから約1年後。レイア将軍率いるレジスタンスは、惑星エイジャン・クロスで次の戦いに向けて準備を進めていた。レイはルークから継いだジェダイの聖典を読み込み、自分なりに鍛錬を積みながらも、気が散って集中しきれずにいる。そんななか、フィンとポー・ダメロンは情報提供者から、「パルパティーン(銀河共和国最後の元老院最高議長でありシスの最後の暗黒卿ダース・シディアス)が生きている」と聞き、レイアに報告。どうすべきかを話し合い、シスの計画を阻止する手がかりを求めて、レイ、フィン、ポー、C3PO、チューバッカは、ルークが最後に立ち寄った砂の惑星パサーナへミレニアム・ファルコンで出発する。一方、ファースト・オーダーの最高指導者となったカイロ・レンは、多くの星々を恐怖で支配するなか、未知の領域にある惑星へ向かい……。

42年に渡って描かれてきたスカイウォーカー家の物語が完結する本作。レイの出生の謎、レイとカイロ・レンの対決、皇帝パルパティーンの目的、レジスタンスとファースト・オーダーとの闘いなど、さまざまな内容を終結してゆく内容となっている。劇中でこれまでの名曲の数々があまり使われていないことなど気になるところは個人的にあるものの、ストーリー全体は普通に楽しめた。アメリカではコアなファンや批評家による評判がかんばしくなく、主に「ファンにおもねっている」、もしくは“安易・安直”という評価のようだが、これだけの歴史と人気のあるシリーズの幕引きを担い、自身も熱烈なファンであるJ.J.エイブラムス監督をはじめとする製作スタッフの情熱と献身の成果として、温かく受けとめる人も少なくないのではないだろうか。2019年12月16日(現地時間)にロサンゼルスで開催されたワールドプレミアにて、J.J.エイブラムス監督はこのように語った。「ついにここまできて、とても楽しい気分になっています。すべてをまとめ上げなくてはいけないと、これまでにない難しい注文でしたが、その上であの伝説のビリー・ディー・ウィリアムズを含むすばらしいキャストとも仕事ができ、とても楽しいチャレンジでした」

デイジー・リドリー,キャリー・フィッシャー

ジェダイ騎士としての修業を積むレイ役はデイジーが、自身の生い立ちやこれからの未来に不安を抱えながらも精進し、真摯に向き合う姿を熱意とともに。祖父ダース・ベイダーを崇拝するカイロ・レン役はアダムが、フォースによるレイとのコンタクトも利用しながら、ファースト・オーダーとして突き進む心情を表現。レジスタンス軍のメンバーは、ファースト・オーダーのストームトルーパーから脱走したのちにレジスタンスの戦士となったフィン役はジョン・ボイエガが、飛行大隊を率いる宇宙一のパイロット、ポー・ダメロン役はオスカー・アイザックが、ハン・ソロの親友でミレニアム・ファルコン号の副操縦士であるチューバッカ役はヨーナス・スオタオが、惑星タコダナにある古城で酒場を営む女海賊であり今はレイアと行動を共にしているマズ・カナタ役はルピタ・ニョンゴが、整備士ローズ役はケリー・マリー・トランが、コニックス中尉役はキャリー・フィッシャーの娘であるビリー・ラードが、ファースト・オーダーのメンバーであるハックス将軍役はドーナル・グリーソンが、プライド将軍役はリチャード・E. グラントが、また、ポーの昔の仲間である覆面のゾーリ・ブリス役はケリー・ラッセルが、海の月ケフ・バーの騎乗民族のひとりジャナ役はナオミ・アッキーが、それぞれに演じている。声の出演のみながら、さまざまなキャラクターが登場するのも注目だ。ボール型のボディのBB-8、本作から新たに登場する一輪タイプで小ぶりなサイズのD-O(ディー・オー)、出番がとても少ないのが個人的に残念だったC-3POの親友R2-D2といったドロイドたちも活躍。D-Oの声は実はJ.J.エイブラムス監督が担当、また監督の友人である日本人アーティスト村上隆氏のカメオ出演も。

そしてシリーズのレジェンドである役者たちも登場。ルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミル、ミレニアム・ファルコン号の最初の所有者でハン・ソロの悪友ランド・カルリジアン役のビリー・ディー・ウィリアムズ、全エピソードに唯一出演しているC-3POのなかの人アンソニー・ダニエルズ、さらにレジスタンスを率いるレイア・オーガナ役の故キャリー・フィッシャーは、過去に撮影した未使用映像により出演している。「ジョージ・ルーカスが作り上げたものを、その精神を守りつつ完結させるのは難しいことでもあり、楽しいことでもありました」というJ.J.エイブラムス監督は、キャリー・フィッシャーへの製作陣の思いと本作への出演について語る。「私たちはキャリー・フィッシャーを強く愛していた。彼女なしで真に満足できるスカイウォーカー・サーガの終結など見出せなかった。私たちはキャストを変えることや、CGキャラクターを使用することは決してしなかった。彼女の娘であるビリーの協力と賛同があり、撮影した未公開映像を使用することでキャリーが残したレガシーとエピソード9のレイア役に敬意を表す方法を見つけることができたんだ」
 そしてレイアが登場する本作のストーリーを書き上げたことについて、このように語った。「過去の彼女の映像を見ていて、それらを使って話を続けることができるのではと思った。そこを中心に、話を書いていったんだ。それらのシーンを使い、物語を前に進めることができた。レイアがこの映画のなかに生きていると感じています。彼女の心は私たちと一緒にあります」
 またC-3PO役のアンソニー・ダニエルズは前述のワールドプレミアにて、物語の完結を惜しみつつもシリーズを称えてこのように語った。「撮影セットの最終日はもちろん少し悲しいと感じました。すばらしいクルーも、すばらしいキャストも、すばらしい監督も、すばらしい脚本家も後にして去らなければいけなかった。すばらしいC-3POもね。ジョージ・ルーカスの行ったすばらしいことのひとつは、この“スター・ウォーズ”をみんなの“砂場”のようなものにしたこと。人々もそれを受け入れて、三世代にもわたって、この“砂場”で遊び、物語を作り、衣装を作り出し、ダークサイドだろうがライトサイドだろうが喜びを共有してきたことです。映画には、みんなのための何かが、誰かがいつもそこにあるのです」

ヨーナス・スオタオ,オスカー・アイザック,ジョン・ボイエガ,デイジー・リドリー

J.J.エイブラムス監督は観客へのメッセージを語る。「これはひとつの映画でも、3本の映画でもなく、9本の映画の終わりです。約40年間に渡って作られてきたストーリー、スカイウオーカー・サーガの終わりです。みなさんがぜひ映画館に観に行って楽しんでくれることを期待しています。フォースと共にあらんことを。ありがとう!」
 ジェダイ騎士のフォース、強いエネルギーや精神力の特性は、抜きんでた剣術や体術をさらに超えたところに、憎しみや恨みで敵を“倒す”のではなく、祈りとともに“浄化”できるという表現が、個人的にはどこか日本の神道に通じるものがあるような感覚も。日本にまつわる本作の裏話としては、2019年12月12日に東京で行われた本作の来日記者会見にて、本作に反映されている日本の影響について監督はこのようにコメントした。「予告編に登場するカイロ・レンの壊れたマスクを修復する場面は、日本の伝統的な修復技法である<金継ぎ>にインスピレーションを受けています。傷を(隠すのではなく)活かすという意味があります。また本作に登場する“レン騎士団”も黒澤明作品からの影響を強く受けています」
 また現在〜2019年12月29日まで、汐留の日テレホールにて『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』公開記念 最後のスター・ウォーズ展が開催中(入場無料)。北海道を彩った旭川木彫りによる等身大サイズの木彫りのストームトルーパーや、漫画家・イラストレーターの寺田克也氏がすべてのSWサーガを1枚で表現した絵といった日本の職人やアーティストによる作品、2019年11月28日に1日限定で上演、WEB生中継で配信された市川海老蔵の監修・主演による『STAR WARS歌舞伎』の映像の紹介も。映画を観る前後に立ち寄るのも楽しいだろう。
 今後は以前から発表されていたように、終わるのはスカイウォーカー家の物語であり、新しいスター・ウォーズの物語となる次回作は2022年に公開予定とのこと。最新情報としては、次回以降から3部作形式ではなくなる可能性について、ルーカスフィルムの社長であるキャスリーン・ケネディのコメントを、イギリスのメディア「The Independent」などが報じている。2012年にルーカスフィルムがウォルト・ディズニー・カンパニーに買収されてから7年。ディズニー作品として、改めて独自路線のスター・ウォーズの物語を打ち出してゆくのだろうか。いずれにしても、ジョージ・ルーカスが立ち上げたルーカスフィルムのスピリッツ、古株から現代にいたるまで世界中に大勢いるSWファンたちの熱い愛を継いでゆく作品になることを、いちファンとして楽しみにしている。

作品データ

公開 2019年12月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2019年 アメリカ
上映時間 2:22
配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題 Star Wars: The Rise Of Skywalker
脚本・監督・製作 J.J.エイブラムス
脚本 クリス・テリオ
音楽 ジョン・ウィリアムズ
製作 キャスリーン・ケネディ
出演 デイジー・リドリー
アダム・ドライバー
ジョン・ボイエガ
オスカー・アイザック
マーク・ハミル
キャリー・フィッシャー
ビリー・ディー・ウィリアムズ
ルピタ・ニョンゴ
ドーナル・グリーソン
ケリー・マリー・トラン
ヨーナス・スオタオ
アンソニー・ダニエルズ
ビリー・ラード
ケリー・ラッセル
ナオミ・アッキー
リチャード・E. グラント
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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