ソー:ラブ&サンダー

決戦後、戦いを避けて自分探しをしている雷神ソーは
神殺しと戦う最中、ヒーローとなった元カノと再会!?
T・ワイティティ監督の演出が冴えるSFアクション大作

  • 2022/07/12
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ソー:ラブ&サンダー©Marvel Studios 2022

『アベンジャーズ/エンドゲーム』の激闘を経て、地球を旅立った雷神ソーのその後を描くマーベル・スタジオ劇場映画最新作。出演は、本作がアベンジャーズメンバー唯一の“単独シリーズ4作目”となるクリス・ヘムズワース、そして『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマン、『ザ・ファイター』のクリスチャン・ベール、『グラディエーター』のラッセル・クロウらオスカー俳優3人が顔をそろえる。監督は『マイティ・ソー バトルロイヤル』で高い評価を得て、『スター・ウォーズ』の新作劇場映画の監督を務めることも発表されたタイカ・ワイティティが手がける。最凶の敵サノスとの激闘で多くの仲間を失ったソーは、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとチームを組んで宇宙へと旅立った。しかし神々の殲滅を目指す“神殺し”のゴアの脅威を知り地球に戻るが……。ガンズ・アンド・ローゼズをはじめ1980〜’90年代を中心としたロックのヒット曲と共に、迷える雷神ソーの自分探し、神殺しとのバトル、元カノ・ジェーンとの再会などのドラマを描く。歯切れの良いコメディとしても人情味のあるドラマとしても引きつける、SFアクション・エンターテインメントである。

最凶の敵サノスとの激闘で多くの仲間を失った雷神ソーは、戦いを避けるようにガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとチームを組んで宇宙へと旅立った。ヒーローとして戦ってきた人生を見つめなおし“自分探し”をするなか、神々の滅亡を目指す“神殺し”ゴアの脅威を知り戦友ゴーグと共に地球へ戻る。ソーから王位を継いだ女戦士ヴァルキリーが統べるニュー・アスガルドがゴアに襲撃され、激しい戦いのなかでソーは元カノ・ジェーンと驚愕の再会を果たす。

ポム・クレメンティエフ,クリス・プラット,ヘムズワース

数多くの愛する仲間と家族を失った雷神ソーのその後を描くMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)最新作。アメコミのアクション・エンターテインメントの世界に、ナタリー・ポートマンが新生マイティ・ソーとして8年ぶりにカムバック、オスカー俳優たちの贅沢な共演、ロックなどの有名な曲を象徴的に使うなど、ワイティティ監督らしい楽しさ満載の内容となっている。たとえばハンマーの“感情”を擬人化して、ソーが復活したもと愛器ムジョルニアにこっそり声をかけ、それを気にする現在ソーが愛用中の武器ストームブレイカーとか、ソーの元恋人ジェーン・フォスターの名前を、周囲の人たちがジェーン・フォンダ(1962年のSF映画『バーバレラ』)やジョディ・フォスターと何度も言い間違えるといったコミカルな会話、音楽ネタの数々など、本筋+小ネタが隅々までぎっしりと詰まっていて、面白味の濃さが濃厚だ。監督は本作への思いを語る。「私がやりたくなかったのは、ただ前作の『マイティ・ソー バトルロイヤル』を再び作ることだったんだ。それはもう済んでしまったことだからね。全体に火をつけておくために、そして創造的な刺激を感じるようにするために、自分にとってもっと面白いことをする必要があったんだ」

クリスチャン・ベール

雷神ソー役はクリスが、戦いを避けて自分探しをしていたなか、“神殺し”とのバトルの最中ながら「8年7ヶ月と6日ぶり」に元カノ・ジェーンと再会して胸躍る、というドラマもコメディもいい味わいで表現。武器ストームブレイカーを振り投げる丸太のような上腕二頭筋をはじめ筋骨隆々の肉体美について、「12ヵ月間、家でひたすらトレーニングに励み、その体格を4カ月間キープするのはとても大変だった」とコメント。またソーとして“アベンジャーズ”シリーズなどMCUで11年間活躍し続け、2011年の『マイティ・ソー』、2013年の『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』、『マイティ・ソー バトルロイヤル』に次いで本作でアベンジャーズメンバー唯一の“単独シリーズ4作目”となる上に、前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』が好評だったことから今回“ものすごいプレッシャー”があった、とクリスは語る。「MCUで、同じキャラクターが主人公としてシリーズ4本目をつとめるのはソーが初めてだから、今までとは違うことをしたいと思っていたんだ。いつだってこのキャラクターをより良く演じたいと思っているからね。こうして再び映画を作れるチャンスを得られて、とにかく最高だよ」
 ソーと8年ぶりに再会する元カノ・ジェーン役はナタリーが、熱心な天文学者であり高潔なハンマーのムジョルニアを操るヒーロー、新生マイティ・ソーとして。ナタリーは初のヒーロー役と鍛え上げられた話題のボディについて、「生まれて初めて、強くなるためのトレーニングができたのは本当に楽しかった。アクション映画にはたくさん出演しているけれど、格闘のトレーニングはしたことがなかったので、とても刺激的だったわ」とコメントしている。
 神々を次々と襲撃していく神殺しのゴア役はクリスチャン・ベールが、ソーから王座を受け継ぎ新アスガルドを率いる戦士ヴァルキリー役はテッサ・トンプソンが、全知全能の神ゼウス役はラッセルが、ソーの戦友である全身が岩でできたクロナン人コーグの声はワイティティ監督が、ソーの幼なじみであるアスガルドの戦士シフ役はジェイミー・アレクサンダーが、それぞれに演じている。さらに冒頭にはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーであるピーター・クィル役のクリス・プラット、ドラックス役のデイヴ・バウティスタ、グルート役の声を担当するヴィン・ディーゼル、ロケット役の声を担当するブラッドリー・クーパー、ネビュラ役のカレン・ギラン、マンティス役のポム・クレメンティエフらも登場している。またキャラクターとしてインパクトあるのが巨大な黒ヤギと白ヤギで、その鳴き声はシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』にある、聞く者を狂わせるというマンドレイクを地中から引き抜くときの叫び声のイメージで、ひたすら不快でやかましいところがまた可笑しい。

テッサ・トンプソン,ナタリー・ポートマン

劇中では、ロックを中心にR&Bやポップスなどの有名な曲を絶妙なタイミングで使用。ソーがある惑星ですべてをなぎ倒すブルドーザーのごとき圧倒的な戦いぶりを見せつけるシーンではガンズ・アンド・ローゼズの「Welcome To The Jungle」、ヤギたちが船をひいて天空を駆け上がるシーンではガンズの「Sweet Child O' Mine」、ソーとジェーンの回想シーンではアバの「Our Last Summer」、2人のロマンティックなシーンではメアリー・J. ブライジの「Family Affair」など。なかでもガンズの2曲は特にハマッていて、サウンドと映像のマッチングがものすごく気持ちいいシーンとなっている。また前半にソーの伝説的活躍を振り返るシーンで、いきなりエンヤの「Only Time」が流れてくるのもポイント。旋律が美しく筆者も大好きな曲のひとつながら、このタイミングはうさんくさいというか王道のイイ話ふうにしているあたり、完全に直球で笑いをとりにきている。さらに後半に少年が自分の名前を「僕の名前はアクセルだ!」と真顔で言い放つシーンもかわいい(ガンズのヴォーカルの名前アクセル・ローズより)。楽曲と音楽ネタの使い方がストレートで、ソーの物語と音楽ネタの両方が響く人にはそれだけでもかなり爆笑を誘う。サウンドトラックとしてはオスカー受賞経験のある作曲家マイケル・ジアッキーノが手がけ、現在はサントラのスコア+劇中の楽曲などが収録された『ソー:ラブ&サンダー オフィシャル・プレイリスト』がApple MusicとSPOTIFYで公開されている。

単独シリーズ4作目にしてますます勢いにのっている雷神ソーと仲間たち。公式HPの2022年6月20日付のNEWSにはソーの活躍を振り返る動画が紹介されているので、映画の前におさらいをするのも楽しいだろう。2022年6月23日(現地時間)にハリウッドで行われたワールドプレミアにて、ナタリーとワイティティ監督はこのようにメッセージを伝えた。
 ナタリー「この映画はとても面白いから、日本の皆さんと共有できることに興奮しているわ!とても楽しい映画なのよ。ロマンティックで、ユーモアがあって、ワイルドな映画なの。だから、みんなに楽しんでもらえたら嬉しい」
 ワイティティ監督「もしかしたら前作の『マイティ・ソー バトルロイヤル』よりも面白いかもね!? でも、どちらかというと、よりエモーショナルな映画に仕上がっています。笑いもあるけど、涙もあるんだよ」
 また今回は製作総指揮としてもクレジットされているクリスは、ワイティティ監督とオフビートのノリで人気の短編モキュメンタリー『Team Thor』や2017年の続編『Team Thor:Part 2』、そして2017年の『マイティ・ソー バトルロイヤル』で組み、本作で再びソーの新たな物語をつくり上げたことについて、このように語った。「今回の作品で、タイカと僕はまた新たにソーのキャラクターを膨らませる機会を得たんだよ。『マイティ・ソー バトルロイヤル』から始まり、そこには心が引き裂かれるほどの傷心もあったけれど、今回、タイカはそれをロマンティック・コメディの方向に導いているんだ。それはヒーロー映画というジャンルにしては、とても独創的なものだと思うよ」

作品データ

公開 2022年7月8日より全国ロードショー
制作年/制作国 2022年 アメリカ
上映時間 1:59
配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題 Thor: Love and Thunder
監督 タイカ・ワイティティ
製作 ケヴィン・ファイギ
出演 クリス・ヘムズワース
ナタリー・ポートマン
テッサ・トンプソン
クリスチャン・ベール
タイカ・ワイティティ
ラッセル・クロウ
クリス・プラット
ブラッドリー・クーパー
ヴィン・ディーゼル
デイヴ・バウティスタ
カレン・ギラン
ポム・クレメンティエフ
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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