ジュラシック・ワールド/新たなる支配者

人類と恐竜が混在する新たな世界の行方は?
迫力ある映像やドラマ性で引きつけるエンタメ作であり
自然と科学と人類について問いかける人気シリーズの完結編

  • 2022/07/26
  • イベント
  • シネマ
ジュラシック・ワールド/新たなる支配者© 2021 Universal Studios and Storyteller Distribution LCC. All Rights Reserved.

最新技術により現代によみがえった恐竜たちと、人々の姿を描く人気シリーズの完結作。出演は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のクリス・プラット、『ロケットマン』のブライス・ダラス・ハワード、2018年の前作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』で映画デビューしたイザベラ・サーモン、そして初期の“ジュラシック・パーク”シリーズのメンバーであるローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラム、サム・ニールほか。監督・脚本・ストーリー原案・製作総指揮はコリン・トレボロウが手がけ、製作総指揮は映画シリーズの生みの親であるスティーヴン・スピルバーグが務める。恐竜たちが地上に放たれてから4年、地球は人類と恐竜とが混在する新たな世界〈ジュラシック・ワールド〉となりつつあった。そんななか、少女メイジーとヴェロキラプトルのブルーの子どもがさらわれてしまい……。自然と科学と人類について思案し奔走する大人たち、微妙な関係性のなか少女を守ろうとするオーウェンとクレア、クローンとして生まれたメイジーは自身のアイデンティティとどう向き合っていくのか、地球で自由に棲みだした恐竜はどうなっていくのか。恐竜たちが生き生きと動き回る迫力の映像と共に、登場人物たちそれぞれのドラマを描く。作家マイケル・クライトンが創作したキャラクターをもとに映画化され、1993年から始まった29年の物語の結末を描くエンターテインメント大作である。

〈ジュラシック・ワールド〉のあったイスラ・ヌブラル島で火山の大噴火が起こり、救出された恐竜たちが地上に放たれてから4年。恐竜たちは各地に棲みつき、安全な共生の道が見いだせないまま、人類と恐竜とが混在する新たな世界〈ジュラシック・ワールド〉が始まろうとしていた。また一部では恐竜たちを利益や欲望のために利用しようとする動きがあり、かつて〈ジュラシック・パーク〉を生み出したインジェン社のライバル企業であるバイオテクノロジー企業のバイオシン社は、イタリアのドロミーティ山脈に恐竜たちの保護区を設けていた。
 一方、オーウェンとクレアは恐竜の保護活動を続けながら、14歳になったメイジーと共に人里離れた山小屋で暮らしている。オーウェンが以前に特別な絆を築いたヴェロキラプトルのブルーは子どもと共に近くの森に棲み着いていたが、密猟者たちにその子どもが狙われ、そばにいたメイジーも一緒に連れ去られてしまう。混乱し怒り悲しむブルーに、オーウェンは「俺が取り戻してやる」と約束し、クレアと共に救出へ向かうが……。

サム・ニール,イザベラ・サーモン,クリス・プラット©2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.

1993年から始まった映画“ジュラシック・パーク”のシリーズ3部作を経て、すべての完結編となる“ジュラシック・ワールド”シリーズ第3作が完成。現実の時間経過と同じく、2018年の前作から4年後の世界を描く。約30年前よりも恐竜の研究が格段に進んでいることもあり、今回はシリーズ史上最多となるたくさんの新種の恐竜たちが登場。アニマトロニクス(生物の形や動きを模倣するロボット技術)の専門家の協力を得て27体の恐竜が制作され、迫力あるシーンが数多く展開している。微妙な関係にあるオーウェンとクレアのこと、自身の出生を含めて揺れ動く思春期のメイジーのことなど、疑似家族のようなつながりについても描かれている。また完結編である今回は、前作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』から引き続き本作にも出演しているジェフ・ゴールドブラムのみならず、サム・ニールとローラ・ダーンも出演し、始まりの三部作“ジュラシック・パーク”シリーズより3人が揃うことも話題に。これまでのキャラクターに加え、元軍人の女性パイロット、ケイラのようにタフな魅力をもつ人物も現れる。トレボロウ監督はこの映画の魅力について語る。「過去作と同様にとても怖くて、冒険たっぷりで、ロマンチックな作品ですし、とてもパワフルな登場人物、特にパワフルな女性たちが出演しています。本作は、過去のジュラシック・パークに対するオマージュをたくさん散りばめつつも、過去作とは違う、新鮮な印象をもたらす<新しい冒険>にしたいと思っていました。今までに見たことのないような作品になったと思います」

ジュラシック・ワールドで恐竜の飼育と調教をしていた経験をもつオーウェン役はクリスが、大切なものたちを守ろうとする以前よりも成熟した大人として。<ジュラシック・ワールド>のもと運営責任者で、現在はオーウェンや仲間たちと共に恐竜の保護活動を行っているクレア役はブライスが、オーウェンやメイジーや恐竜たちを愛情深く見守る行動的な女性として。ジュラシック・パーク共同創設者の亡き娘の遺伝子から生まれたクローンであるメイジー・ロックウッド役はイザベラが、制限のある山奥での暮らしに閉塞感をもつ思春期の少女として。現在はバイオシン社の内部で働いている数学者のイアン・マルコム博士役はジェフ・ゴールドブラムが、恐竜の研究に没頭し続けている古生物学者アラン・グラント博士役はサム・ニールが、グラント博士のもと助手で古植物博士であり、現在は土壌科学者として気候変動の研究をしているエリー・サトラー博士役はローラ・ダーンが、恐竜を現代に生み出した遺伝子工学者ヘンリー・ウー博士役はB・D・ウォンが、ジュラシック・ワールドでのオーウェンの元同僚バリー役はオマール・シーが、1993年の『ジュラシック・パーク』で恐竜の胚を缶に入れて密輸し、現在はバイオシン社のCEOとなったルイス・ドジスン役はキャンベル・スコットが、バイオシン社のコミュニケーション部門のトップでありドジスンの右腕であるラムジー役はマムドゥ・アチーが、バイオシン社と恐竜の密輸を行う闇市場をつなぐ謎の女性ソヨナ役はディーチェン・ラックマンが、そして裏社会の仕事を請け負う元軍人の女性パイロット、ケイラ役はディワンダ・ワイズが、それぞれに演じている。トレボロウ監督は、科学技術によって生み出されたメイジーと恐竜には通じるところがあると語る。「彼らはかつて存在し、そして今また存在する。本来いるべきではない時間にいることから、彼らにはアイデンティティの危機が内在しています。この少女は、自分が誰であるかということだけでなく、この世界での自分の居場所を発見していくのです」
 日本語吹き替え版の声の出演は、俳優の玉木宏、木村佳乃、伊藤沙莉、満島真之介、声優の大塚芳忠、井上喜久子、菅生隆之、井上和彦、日野聡、高山みなみ、早見沙織らが参加している。

ブライス・ダラス・ハワード,ジェフ・ゴールドブラム,ローラ・ダーン,サム・ニール,ディワンダ・ワイズ©2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.

劇中では、馬で駆けるオーウェンが牧羊犬たちと牛や羊を追い立てるカウボーイのように恐竜たちと並走するシーンや、マルタ島の市街でのアトロキラプトルとバイクとのチェイスなど、さまざまな恐竜たちのシーンが見どころのひとつ。恐竜たちがテーマパークや島で管理されているのではなく自由な状態にあるシーンが多いこともあり、よりさまざまな展開が描かれている。クライマックスには“ゴジラ対キングコング”や“怪獣大戦争”のような激しいバトルが勃発するあたりなど、製作陣も思いきり楽しんで作っているのが伝わってくるような熱い展開となっている。
 俊敏なヴェロキラプトルのブルーとその子どものベータ、史上最強の肉食恐竜であるT-レックス、陸上最大級の肉食恐竜であるギガノトサウルス、飛行機を襲う史上最大級の翼竜ケツァルコアトルス、湖氷でオーウェンを追う火赤色の羽毛恐竜ピロラプトルなど、過去シリーズからの人気恐竜に加え、羽毛恐竜や地上最大の肉食恐竜などさまざまな新種の恐竜たちが登場。公式HPで詳しく紹介されているので、映画を観る前や観た後にチェックするのも楽しいだろう。劇中の恐竜たちはすべて現実に存在し、古生物コンサルタントとして参加したエディンバラ大学の古生物学と進化学の学者であるスティーブ・ブルサット教授の承認を得ている。このシリーズが学術の分野に与えた影響について、ブルサット教授は語る。「この映画で恐竜が見直され、多くの若者が古生物学を学ぶようになりました。その結果、多くの資金がこの分野に流れ、多くの大学で恐竜講座が開かれ、博物館で恐竜の展示が行われるようになり、現在もその恩恵を受けています。今、私たちは古生物学の黄金時代にいます。世界中の誰かが、平均週に一種、新種の恐竜を発見しているのです。これはもう10年以上続いています。なぜなら、これを行なっているのはジュラシック・パーク世代の古生物学者たちだからです」

撮影ではCGIは絶対に必要な場合のみの使用とされ、ブルースクリーンよりも美術セット、セットよりもロケが優先された。撮影場所は、ユネスコの世界遺産であるマルタ島のヴァレッタ市街や、カナダのブリティッシュコロンビア州、アメリカのテキサス州西部、ユタ州、サンフランシスコ、イタリアのドロミーティ山脈など。恐竜とバイクのチェイスシーンの撮影はヴァレッタにあるマルタ海事博物館の屋上などでも。バイオシン本社のシーンは、映画での撮影は初となるイギリスのオックスフォード大学にあるブラバトニック公共政策大学院の新校舎や、ウォルフソン・カレッジの講義室などにて。闇市場で凶暴な恐竜と戦うシーンでは、穴の縁にインディ・ジョーンズの帽子が置かれているといった演出の遊び心も楽しい。

クリス・プラット©2021 Universal Studios and Storyteller Distribution LCC. All Rights Reserved.

撮影中は新型コロナウイルスのパンデミック下にあったことから、キャストはみんな同じホテルに滞在していたとのこと。厳重な感染予防対策のもとで行われた映画製作について、スタッフもキャストもとても大変だったが確かな手ごたえがあったと語る。ローラ・ダーンは「週末にリハーサルを行って仕事について話し合い、ストーリーテリングを深く考えることができた。一緒に時間を過ごし、安全で快適な環境の中で共同体としての感覚を作り上げることができたのは、最高の贈り物だった」と話し、キャンベル・スコットは「演劇出身なので、舞台裏でキャストの仲間と多くの時間を過ごすことには慣れている。この作品では、全員で食事をしたりリハーサルをしたり、普段の映画制作では一緒にできない体験をすることができた。コリン(監督)はずっと、チャンスがあれば必ず俳優たちと一緒に仕事をしていた」とコメントしている。困難な状況も作品づくりの糧として、スタッフとキャストが一丸となって取り組み完成した本作。“ジュラシック・ワールド”3作品に関わってきたトレボロウ監督は、スピルバーグと作家クライトンが一緒に作り上げた世界を、新しい世代が語り続けることを認めてくれたことにとても感謝しているという。そして2022年6月6日にハリウッドで行われたワールドプレミアにて、監督はこのシリーズへの思い入れと観客へのメッセージをこのように語った。「私たちは4年という長い間、必死にこの作品を作ってきましたし、この瞬間に至るまで私は9年もの歳月を費やしました。長い期間です。私たちが全員揃ってここにいるのは意義のあることですし、観客の皆さんが私たちと同じくらい本作を愛してくれることを願っています」

作品データ

公開 2022年7月29日より全国ロードショー
制作年/制作国 2022年 アメリカ
上映時間 2:27
配給 東宝東和
原題 Jurassic World Dominion
製作総指揮・ストーリー原案・
脚本・監督
コリン・トレボロウ
脚本 エミリー・カーマイケル
製作総指揮 スティーヴン・スピルバーグ
アレクサンドラ・ダービシャー
キャラクター原案 マイケル・クライトン
ストーリー原案 デレク・コノリー
出演 クリス・プラット
ブライス・ダラス・ハワード
ローラ・ダーン
ジェフ・ゴールドブラム
サム・ニール
ディワンダ・ワイズ
マムドゥ・アチー
B・D・ウォン
オマール・シー
イザベラ・サーモン
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
XInstagram

記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。