沈黙のパレード

東野圭吾原作×福山雅治主演“ガリレオ”シリーズ最新作
数年前に行方不明となった女子学生の遺体を発見
物理学者・湯川学が難事件を科学と推理で解き明かす

  • 2022/08/17
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沈黙のパレード©2022 フジテレビジョン、アミューズ、文藝春秋、FNS27社

東野圭吾原作、ドラマでも人気の“ガリレオ”シリーズ映画第3弾が完成。出演は福山雅治、柴咲コウ、北村一輝、今回の共演者は椎名桔平、檀れい、吉田羊、飯尾和樹、戸田菜穂、田口浩正、酒向芳、村上淳、岡山天音、若手の川床明日香、出口夏希ほか。監督と脚本は2008年の『容疑者xの献身』、2013年の『真夏の方程式』に続き、西谷弘監督と脚本家・福田靖が手がける。数年前に行方不明になっていた女子学生が遺体となって発見される。難しい捜査のなか、警視庁捜査一課の刑事・内海薫は天才物理学者・湯川学のもとへ相談に向かう。時間の経過した事件の捜査に行き詰まる刑事たち、以前に別の少女殺害事件の容疑者だった疑惑の人物、悲しみとやるせなさを抱える遺族、女子学生の死を悼む町の人たち、そして湯川は推理を検証し、ある事実を見いだしていく。おなじみのキャラクターの活躍、豪華キャストによるアンサンブル、事件の謎を解くミステリーと人間ドラマを味わう、“ガリレオ”シリーズの映画最新作である。

町の人々にかわいがられていた女子学生・佐織が行方不明となってから数年、遺体となって発見される。難しい捜査のなか、警視庁捜査一課の刑事・内海薫は天才的な物理学者である湯川学に相談する。この事件の容疑者として、かつて内海の先輩刑事・草薙俊平が担当した少女殺害事件で無罪となった男・蓮沼寛一があがるが、証拠不十分で釈放に。そして夏祭りのパレードの日、殺人事件が発生する。

柴咲コウ,福山雅治

9年ぶりとなる東野圭吾原作の“ガリレオ”シリーズ映画第3弾。不可解な未解決事件を、物理学者の湯川が科学的検証と推理で解き明かし、刑事である内海と草薙が解決に尽力していくミステリーである。前作『真夏の方程式』から4年後の設定で、湯川は准教授から教授になり、新米だった内海刑事は中堅になり、草薙はベテランの刑事としてさらなる経験を積んでいる。物語では菊野市という架空の町を舞台に、居酒屋や本屋や冷凍食品など地元の店や会社の人々と事件の関わりが描かれていく。今回は登場人物が多めで、充実のキャストによる群像劇としても引きつける内容となっている。コスプレした人たちが“山車”と共に練り歩きダンサーが踊るパレードのシーンなども華やかだ。西谷監督は、ドラマを一度も観たことがなくても映画単体でも楽しめるものに、と考えていたとのこと。プロデューサー陣は、映画シリーズのなかでも今回はエンターテイメントの要素が一番強いかもしれない、と語っている。

難事件を解決し警察関係者から「ガリレオ」先生と呼ばれている物理学者・湯川学役は福山雅治が、地域の人たちとの交流を楽しみつつ核心に近づいていく天才的な大学教授として。福山は体に湯川がしみついているとして、セリフの言い回しについて監督と意見交換することもあったそうだ。警視庁捜査一課の刑事・内海薫役は柴咲コウが、正義感の強い熱心な人物として、また湯川と同じ帝都大学出身で親友でもあり、内海の先輩である警視庁捜査一課の刑事・草薙俊平役は北村一輝が、難事件の捜査と因縁のある容疑者・蓮沼に立ち向かう姿を表現している。殺害された女子学生・佐織の父で、菊野商店街の定食屋「なみきや」の主人・並木祐太郎役は飯尾和樹が、佐織の母・真智子役は戸田菜穂が、祐太郎の幼馴染で親友、冷凍食品会社の経営者・戸島修作役は田口浩正が、佐織の恋人・高垣智也役は岡山天音が、並木夫妻の長女で歌手になることを夢見ていた女子学生・佐織役は川床明日香が、沙織の妹・夏美役は出口夏希が、菊野商店街の本屋の店主である宮沢麻耶役は吉田羊が、佐織をシンガーとして育てようとしていた菊野市在住の音楽プロデューサー新倉直紀役は椎名桔平が、もと歌手である直紀の妻・留美役は檀れいが、かつての少女殺害事件と沙織の事件の容疑者である蓮沼寛一役は村上淳が、容疑者・蓮沼のもと同僚である増村栄治役は酒向芳が、それぞれに演じている。
 主題歌は、「ガリレオ」シリーズがきっかけで始まった福山雅治と柴咲コウのユニット≪KOH+≫が担当。プロデュースと作詞作曲を福山雅治が手がけて書き下ろした主題歌「ヒトツボシ」は、柴咲の歌声や表現、作品のストーリーをイメージしてつくられた曲となっている。

北村一輝,福山雅治

映画化は、原作が2018年10月に刊行されてすぐに企画が始動。製作陣は、2007年と2013年の連続ドラマ、2008年の特別ドラマ、そして2008年と2013年の映画と、ずっと共に取り組んできたメンバーが中心となり、原作者の東野氏とも確かな信頼関係が築かれているとのこと。長編を約2時間の内容にする脚本づくりは難航したものの、西谷監督と脚本家・福田靖をはじめ製作陣全員で脚本をじっくりと練り上げ、東野氏から了承を得たそうだ。文藝春秋のウェブサイト「本の話」「ガリレオシリーズ公式サイト」では、東野氏の原作についてのインタビューや、映画でもパレードのシーンに登場している菊野市のゆるキャラ“キクノン”を、公募作品から東野氏が決定した誕生秘話など、関連するさまざまなエピソードが掲載されているので、映画の公式HPと合わせて読むとより世界観が楽しめるだろう。
 約730枚の長編書き下ろしである原作の小説『沈黙のパレード』。東野氏自身が文藝春秋のウェブサイト「本の話」の2018年12月13日のインタビュー記事にて、この作品が難しい執筆だったことについて、このように振り返った。「これまでのガリレオの長編で湯川が対峙してきたのは、親友の天才数学者や非論理的な女性、気まぐれな少年たちでした。今回は、被害女性を愛した、善良で平凡な普通の人々にしようと。彼らが力を合わせたら、湯川でさえも手こずるような謎がうまれるのではないかと考えたのですが、実際に書こうとしたときに、相当な壁の高さを感じました」
 そして同記事にて、「『沈黙のパレード』は、集大成と言える作品になったと感じています」と、完成した作品への手ごたえを語っている。

椎名桔平

湯川学のストーリーが長く愛され続ける理由はなんだろう。理系出身の東野氏による最新の科学や専門知識を駆使するトリックによるミステリーの妙味、難事件に刑事たちが立ち向かう捜査ドラマとしての面白さ、時代を反映するストーリーテリング、また会いたくなるなじみの登場人物たちのユニークな魅力などなど。人それぞれ、さまざまな思いがあるだろう。東野圭吾が生んだガリレオシリーズは誕生から24年、累計1500万部を超え、熱い人気を誇っている。小説『沈黙のパレード』が2018年の<週刊文春ミステリーベスト10>にて国内部門の第1位を受賞した際には、「本の話」の同インタビュー記事にて東野氏は受賞について、「会心の一作である『沈黙のパレード』が、皆さんに届いたことが嬉しいですね」とコメントしている。シリーズとして6年ぶりの単行本となった『沈黙のパレード』の帯の言葉は、東野氏と担当編集者で相談のうえ、「ガリレオ、再始動!」に決定したとのこと。東野氏は前述の同インタビュー記事にて、ガリレオシリーズの今後についてこのように語った。「再始動と言った以上、また充電したら怒られるでしょうから続けて書きますよ。創作者は新作ごとにハードルを上げていくべきだと考えています。しかもガリレオである以上、お茶を濁そうとは思わない。でもやっぱり難しかったですね(笑)。長編であれば、湯川が事件に関わる“理由”が必要で、今回も“それなり”のものを用意しました」
 そして2021年9月3日には、ガリレオシリーズ最新作である『透明な螺旋』を発表。東野作品のファンの喜びのなか、ドラマや映画のシリーズのファンにとっても、これからの映像化が引き続き楽しみである。

参考:文藝春秋「本の話」、「ガリレオシリーズ公式サイト

作品データ

公開 2022年9月16日より全国東宝系にてロードショー
制作年/制作国 2022年 日本
上映時間 2:10
配給 東宝
原作 東野圭吾
脚本 福田 靖
監督 西谷 弘
出演 福山雅治
柴咲コウ
北村一輝
飯尾和樹
戸田菜穂
田口浩正
酒向 芳
岡山天音
川床明日香
出口夏希
村上 淳
吉田 羊
檀 れい
椎名桔平
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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