仲良しのライアンとヒューが遂にガチ共演
対極の2人は世界を救うことができるのか?
過激で濃ゆいアクション・エンターテイメント
お下劣上等の破天荒ヒーローが、X-MENのシリアスな人気キャラクターと共演するシリーズ最新作。出演は、『デッドプール』シリーズで主演・製作・脚本を自ら手がけているライアン・レイノルズ、『LOGAN/ローガン』のヒュー・ジャックマンほか。監督は『フリー・ガイ』『リアル・スティール』のショーン・レヴィが手がける。不治の病を治療するために受けた人体実験で、自らの容姿と引き換えに不死身の肉体を手に入れた元傭兵のウェイドは、“破天荒なクソ無責任ヒーロー”デッドプールに。彼は大切な人たちを守るため“爪野郎”ことウルヴァリンに助けを求めるが……。ディズニーのヒーロー映画なのに異例のR指定(15歳未満鑑賞不可)、下ネタや薬物ネタや残虐な血みどろシーンのなか、共にほぼ不死身で対極のタイプである“混ぜるなキケン”の2人は手を組み、世界を救うことができるのか。『デッドプール』と『X-MEN』のシリーズそれぞれのファンや両方のファンはもちろん、どちらも知らない一見さんでも、ポップコーン片手に気楽に観られる、ブラックジョーク満載の過激なアクション・エンターテイメントである。
不治の病を治療するために受けた人体実験で、自らの容姿と引き換えに不死身の肉体を手に入れた元傭兵のウェイド・ウィルソンは、なんでもアリの“破天荒なクソ無責任ヒーロー”デッドプールに。自分を“俺ちゃん”と呼び、2本の日本刀と二丁拳銃によるアクロバティックな戦闘スタイルにより、常に超個人的な理由で戦う主義だ。そんな彼が大切なファミリーを守るため、壮大なミッションに挑むことになり、成功の鍵を握るウルヴァリンに助けを求める。しかし毒舌&テキトーなデッドプールと昔気質で頑固で真面目なウルヴァリンという、共に個人主義で噛み合わない2人がタッグを組むことは困難で……。
2016年の第1作『デッドプール』と2018年の『デッドプール2』の大ヒットにより、R15指定の作品として世界興行収入の記録を更新したことで知られる話題のシリーズ第3作。シンプルに、ディズニーがこの内容の映画をリリースしたことに新鮮な驚きが感じられる。この映画はディズニー配給のマーベル・スタジオ作品として初のR指定であり、「大切なファミリーを守る」というディズニーのモットーを物語に含み、『デッドプール』シリーズのアクの強い過激な表現を保ちつつより広い観客層に届けていく、というユニークな目標への挑戦だとわかる。今回は2017年の『LOGAN/ローガン』でウルヴァリン役の卒業を宣言したヒューが、ライアンと大の仲良しであることからこのシリーズで復帰した、というところも面白い。映画の冒頭はローガンの墓をデッドプールが掘り返した結果と、それでデップーがどうしたか、という罰当たりなくだりからいきなり始まる。観客のなかには、デッドプールのキャラクターが好きかどうかは個人的に微妙であるものの、ウルヴァリンのキャラクターや俳優としてヒューが好きで、ライアンとヒューがとても仲良しだと知っていて、この掛け算によりどんな映画になるのかを期待をもって観る、という筆者のような人も少なくないのでは。そういう映画ファンもポップコーン・ムービーとして気軽に楽しめる内容といえる。2024年7月4日に韓国・ソウルで行われたファンイベントにて、ヒューとライアンはこの映画への思い入れをこのように熱く語った。
ヒュー「僕たちの演じている役をみなさんが25年もの間、ずっと支持してくれてきた。みなさんが今回の映画も大好きになってくれることを願っています。この映画に参加したすべての人々に対しても僕にとってもこの映画は誇りに思えるものになった。あなたたちもきっと大好きになってくれると思う」
ライアン「今回こうして、この映画をお見せすることができて、胸がワクワクしています。この映画を作るのに、約6年間を費やしましたから、いままで僕が関わってきた映画のなかでも最も誇りに思える1本です」
“破天荒なクソ無責任ヒーロー”デッドプールことウェイド・ウィルソン役はライアンが、下ネタやブラックジョークを矢継ぎ早にしゃべり続けるアクの強い“俺ちゃん”として。そもそもウェイドは不治の病を治療するためにウルヴァリンの肉体治癒能力を移植され不死身になりデッドプールとなったこともあり、これまでにシリーズのなかでウルヴァリンのことを“爪野郎”とネタにしてきた。そして3作目にしてヒュー演じるウルヴァリンと念願の共演となったことについて、ライアンは2024年7月22日(現地時間)にニューヨークで行われたワールドプレミアイベントにて、このように喜びを語った。「これまでは、いつか(共演が)実現するだろうというくらいだったんだけど、本当に夢が叶ったんだ。こんなに良い撮影体験をしたことはないし、結果的に想像以上のものができることもあまりないことだと思うよ。それも、大部分はヒューのおかげなんだよ。彼は唯一無二のウルヴァリンだし、彼がやることは本当に特別なんだ」
デッドプールにより騒動に巻き込まれるウルヴァリンことローガン役はヒューが、すべてを斬り裂く超金属の爪とほぼ不死身の肉体をもちながら、“世界を救えなかった”過去のトラウマを背負う人物として。ヒューはライアンがウルヴァリンの人物像を尊重し映画化に取り組んだことや、今回の出演で実感したことを同イベントにてこのように語った。「ライアンは脚本と製作も担当していたし、僕のキャラクターやほかのキャラクターを彼自身のキャラクター以上に大事にしてくれたんだ。それにウルヴァリンについて、20年以上もかけて理解できなかった部分を今回やっと理解できた気がするんだ」
デッドプールが愛する恋人ヴァネッサ役はモリーナ・バッカリンが、デップーとウルヴァリンが立ち向かう最凶の敵カサンドラ・ノヴァ役はエマ・コリンズが、ウェイドのルームメイトでありウェイドが引くくらい口が悪い盲目の老婆ブラインド・アル役はレスリー・アガムズが、デッドプールの仲間でX-MENのメンバー、カタブツのコロッサスの声はステファン・カピチッチが、かつて共に戦ったネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド役はブリアナ・ヒルデブランドが、ネガソニックのパートナーで日本代表X-MENであるキュートな暗殺者ユキオ役は忽那汐里が、デップー専用(?)タクシードライバーのドーピンダー役はカラン・ソーニーが、デップーの友だちで“ただのオッサン”のピーター役はロブ・ディレイニーが、それぞれに演じている。また赤いコスチュームを身につけた印象的な小型犬・通称ドッグプールは、実際に「イギリスで最もブサイクな犬」賞を受賞した犬のペギーであり、今回が映画デビューとなったそうだ。
レヴィ監督は、「この映画を観るのに予習はいらない」と明言。確かに知らなくても十二分に楽しめるものの、知るとより面白さが増し増しになるかなり詳しい情報が、アメコミの専門家・杉山すぴ豊氏のコラムにたっぷりと記述されている。そのなかでも個人的に注目したのは、現実世界の“大人の事情”の推移によりキャラクターの共演が可能になり世界観が広がる展開につながったところだ。デッドプールとウルヴァリンは、マーベルコミックのなかでも、アイアンマンらが活躍するマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)と別の世界観で活躍していた理由は、MCUが本格的にスタートする前にマーベルがX-MENの映画化権を20世紀フォックス(現・20世紀スタジオ)に渡していたためであり、20世紀版のX-MEN映画シリーズ(『デッドプール』映画2作も含む)がMCUとは別にずっと作られ続けていたためという。だが20世紀フォックスがディズニー(マーベルの親会社)傘下となったことで、X-MENの映画化権がマーベルに戻ったことから、MCUのなかにウルヴァリンやデッドプールを登場させることが可能になったとのこと。こうした背景から劇中でデップーは、フォックスとディズニーについて何かといじりたおしている。ほかにも今回の映画でさまざまなマルチバースに飛ぶなかで「このシーンはなんだろう」という疑問に答えるトリビア情報が。こうした彼らの世界観やつながりや背景をもっと知りたくなったら、すぴ豊氏のコラムを映画パンフレットで読むのをおすすめする。
サウンドトラックには、プラターズの「Only You (And You Alone)」や、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主題歌としても有名なヒューイ・ルイス&ザ・ニュース「The Power Of Love」、ヒューが映画『グレイテスト・ショーマン』の劇中で歌う「The Greatest Show」など新旧のさまざまな曲を収録。予告編ではマドンナの「Like A Prayer」が用いられている。
映画の本編とは関わりがないものの、完成披露試写会で上映前に流れた、2人の関係性を一気に学べるという“絵本動画”「でっどぷーるとうるゔぁりん」が個人的にとても気に入った。デッドプールとウルヴァリンが素朴なタッチの3頭身のかわいらしいイラストで登場し、ナレーションはドキュメンタリー番組「情熱大陸」やCMなどのナレーションで知られる窪田等氏のおだやかな声なのに、内容は物騒な流血シーンやFワード連発というアンバランスなミックス感がダークな笑いを誘う。またディズニーの人気実写映画『美女と野獣』をオマージュしたというのスペシャルビジュアルでは、デッドプールとウルヴァリンが見つめ合いダンスしているかのようなエレガントなポーズがユーモラス。シリーズ3作目にしてディズニー配給となり、R指定でもディズニー映画だぞ、というアピール強めなのがまた。
ところで、冒頭の見せ場のアクションシーンでデッドプールが踊るダンスを見ていたら、『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』でトム・クルーズが演じたレス・グロスマンのダンスをなぜかすごく思い出したのは筆者だけだろうか(「tropic thunder les grossman dance」の検索で見つかる。2010年のMTVにてジェニファー・ロペスとレス・グロスマンで共演したステージはかなり面白かった)。
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)にとって画期的な節目の作品ともいえる『デッドプール&ウルヴァリン』。これまで異なる世界線で活躍してきたデッドプールとウルヴァリンがMCUに登場していくことは、長年のマーベルファンにとっては大きな楽しみであり、新たな観客層を引き付ける可能性があるといえる。
好んで観ていても、時には「あれ? 誰がどこの人だっけ?」とごっちゃになりがちなアメコミの世界観。そうした細かいことはぜんぶすっ飛ばして、仲良しのライアンとヒューが共演を楽しみ、ド派手に暴れ回る姿を眺めるのも楽しいだろう。最後に前述のNYプレミアにて、2人とプライベートでも仲が良いレヴィ監督、ライアンとヒューがそれぞれに観客へ伝えたメッセージをご紹介する。
レヴィ監督「テーマ(友情)と現実が見事に融合しているよ。スクリーン外で2人と共有した温かさや楽しさがスクリーンにも反映されたと思う」
ヒュー「24年前に始めた頃からここにいられるのは、みんなのおかげだと思う。みんなの応援や情熱などがなければ、僕たちのキャリアやこの映画も成り立たなかっただろう。この映画を多くの人に観てほしい、みんなのために作られた映画だから、絶対に楽しんでほしいよ」
ライアン「この映画はパーフェクトな体験ができるんだ。決して映画の宣伝ではなくて、本当に純粋な楽しさをみんなに提供できると思っているよ。観客が劇場に行って自分のお金を払って何かを見るとき、その期待に応えるものを届けたいといつも思っているんだ。この映画はR指定だけど、それを利用してさらにキャラクターのリアルな物語を伝えているんだ。僕たちが目指したのは、観客が劇場を出るときに『人生で最高の時間を過ごした!』と感じられる映画を作ることだったんだ。この作品はそれを実現できたと思うから、(みんなに観てもらうことが)本当に楽しみなんだ」
公開 | 2024年7月24日より全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2024年 アメリカ |
上映時間 | 2:07 |
配給 | ウォルト・ディズニー・ジャパン |
原題 | DEADPOOL & WOLVERINE |
監督 | ショーン・レヴィ |
出演 | ライアン・レイノルズ ヒュー・ジャックマン エマ・コリン モリーナ・バッカリン ステファン・カピチッチ レスリー・アガムズ カラン・ソーニ 忽那汐里 ブリアナ・ヒルデブランド ロブ・ディレイニー |
日本語吹き替え版 声の出演 | 加瀬康之 山路和弘 |
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