笑いとユーモアを通して、禅の教えをひろめた江戸の禅僧、仙厓（1750〜1837）。住持をつとめた聖福寺や隠居所の虚白院（現・幻住庵）以外で、仙厓の作品を多く所蔵する同館、福岡市美術館、九州大学文学部の三大コレクションが30年ぶりに一堂にそろう大回顧展です。

岐阜の農家に生まれた仙厓は、地元や神奈川で臨済宗古月派の禅僧として修行を積みます。1789（寛政元）年、福岡の日本最古の禅寺、聖福寺の住持となり、老朽化した伽藍の修復や弟子の育成に活躍。還暦後は、虚白院に隠棲して書画を通じた禅の教えの普及に努めました。ユーモラスで楽しい作品は人気を極め、一時絶筆を宣言せざる得ないほどになったと伝えられています。

本展では、生涯や代表作の紹介など6章立てで構成し、その魅力を多角的に掘り下げます。40歳代頃の「布袋画賛」から最晩年の「達磨画賛」まで、作品自体の魅力はもちろん、年代による作風の変化、画や賛に込められた禅の心など、見所が満載です。70歳代で「厓画無法」を宣言して、小動物や子どもたちなどを描いた自由でかわいい画も必見。特に、東京では初公開となる「章魚（タコ）図」は、墨に朱色を重ねてタコの肌色と質感を再現しためずらしい作品です。一部展示替えを含むものの、書画、遺愛の工芸品を合わせて132点が一堂に会し、見ごたえのある内容となっています。

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