陶匠 辻清明の世界―明る寂びの美

独自の世界“明る寂び”へとつながる作品、愛蔵品、交流を振り返る

東京・多摩に登窯を築き、信楽の土と技法から独自の世界“明る寂び”を構築した陶芸家の辻清明。茶陶やオブジェなどの代表作、独自の美を構築する足掛かりとなった古信楽や古代ペルーの土器の蒐集品、ほかの芸術家との交流などに焦点を当て、創作活動の軌跡を追う回顧展です。

1927(昭和2)年、東京府に生まれた辻は、14歳で姉の輝子とともに「辻陶器研究所」を立ち上げ、陶芸家として活動を始めます。この頃、富本憲吉、板谷波山らの自宅を訪ねて教えを受けました。28歳で現在の多摩市連光寺に登窯を築窯し、37歳のとき、優美で夜明けの空に似た澄んだ気配、華やかさ、軽いユーモアを含んだ美の世界“明る寂び”にたどり着き、それを表現する信楽の作陶に力を入れていきます。63歳の頃にはガラス作品に取り組み、自身が細部までプロデュースした茶室を制作。81歳で亡くなるまで、精力的に創作に取り組みました。
 信楽の素材と技法を用いながら、制作のほとんどを多摩の工房で実施。東京では珍しい登窯を持つ工房には、画家、作家など多くの芸術家が集まりました。洋画家の山口長男、アメリカの画家サム・フランシス、アメリカの前衛陶芸家ピーター・ヴォーコスらは、工房で作陶にも挑戦しています。特に、ヴォーコスはアメリカの前衛陶芸を牽引しただけでなく、日本のオブジェ表現にも大きな影響を与えました。

本展では、円熟期の代表作約120点を展示するほか、山口長男、ピーター・ヴォ―コスらの陶の作品も紹介します。
 貝殻を焼成して模様とした自然釉の作品、辻本人が「宇宙のシンボル」と語り、いつも手元に置いて眺めていた火割れを起こした信楽大合子、缶切りで蓋を開いた形の花生、羊をモチーフにした杯、世界に向け日本の焼き物の魅力を表現するために制作された帽子やステッキのオブジェ、ガラス作品や書など、多様な作品が並びます。
 工芸館開館40周年と作家の没後10年を記念して、作家の茶碗を用いた呈茶も行われる予定です。

※「辻」の字のしんにょうは点ひとつです

《信楽大合子 天心》 1970年 東京国立近代美術館蔵 撮影:藤森武
《聚楽掛分茶盌》 1990年 東京国立近代美術館蔵 撮影:藤森武
《信楽山羊角杯》 1988年 愛知県陶磁美術館蔵 撮影:藤森武
《信楽帽子》《信楽ステッキ》 1982年 菊池寛実記念 智美術館蔵
開催概要
展覧会名 工芸館開館40周年記念特別展
陶匠 辻清明の世界―明る寂びの美
会期 2017年9月15日(金) 〜 11月23日(木・祝)
休館日 月曜日(ただし9月18、10月9日は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
時間 10:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
会場 東京国立近代美術館工芸館
千代田区北の丸公園1-1  
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入館料 一般 600円、大学生 400円
無料観覧日:11月3日(金・祝)文化の日、11月15日(水)工芸館開館40周年記念日
公式サイト http://www.momat.go.jp/cg/exhibition/tsuji_2017/
問合せ 03-5777-8600(ハローダイヤル)
2017年8月更新