細かな技術が光る刀装具。日本最大級のコレクションから魅力を探る
刀剣に附属する外装金具である、鞘、柄、鐔などの刀装具。鏨(たがね)と呼ばれる鋼の工具を用いて生み出された品々は、細かな装飾にあふれ、金属らしからぬ煌びやかな作品となりました。明治時代に刀装具に着目し、名品を収集した光村利藻(1877〜1955)の足跡やそのコレクションに焦点を当て、刀装具の美術品としての魅力に迫る企画展です。
1877(明治10)年に裕福な海運業者の子として大阪に生まれた光村利藻は、写真に興味を持ち、最先端の技術を学んで美術印刷業を興しました。刀剣や刀装具にも魅せられ、3000点以上を収集。廃刀令などによって、断絶の危機にあった装剣金工や刀匠も光村が製作を発注することによって技術を存続し、後世へとつながっていきます。さらに、刀装具の名品を集めた図録『鏨廼花』(たがねのはな)を刊行。槌で叩いて文様を作り出す鋼製の工具“鏨”を本のタイトルに採用した同書は、全国の名品を当時の最先端の写真技術で撮影し、調査に基づいた情報を加えて編纂されており、後年に続く刀装具研究の基礎となりました。明治30年代後半には、神戸の自邸で刀剣会を実施します。膨大な量の刀剣がジャンル別に並び、刀剣の作者を当てる鑑定会に加え、煎茶席や長唄などの余興も準備された盛大なものでした。
1909(明治42)年、光村の刀装具コレクションを根津嘉一郎(1860〜1940)が入手。現在も約1200点が伝わっており、同分野では日本最大級のコレクションとなっています。
本展では、光村の足跡と刀装具コレクションを中心に、刀剣や絵画資料なども加えて、約130件の作品を展示。「1章 希代の刀装具コレクション」では、幕末の京金工・荒木東明の傑作「粟穂図大小揃金具」や、装剣金工・吉田至永が製作した「芙蓉朝顔図目貫」など、細密美が際立つ名品を紹介します。「2章 出版と展示」では、刀装具の名品の多くが人目に触れない状況を憂いて刊行した図録『鏨廼花』とともに、第1巻の巻頭を飾った重要文化財「聖衆来迎図大小揃金具」を展示。「3章 光村利藻とパトロネージ」では、伝統技術を守るために自ら発注して庇護者となった光村の足跡に迫ります。
展覧会名 | 特別展 「鏨の華 ―光村コレクションの刀装具―」 |
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会期 | 2017年11月3日(金・祝) 〜 12月17日(日) |
休館日 | 月曜日 |
時間 | 10:00〜17:00 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 根津美術館 港区南青山6-5-1 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,300円、高大生 1,100円 |
公式サイト | https://www.nezu-muse.or.jp/ |
問合せ | 03-3400-2536 |
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