織物以前 タパとフェルト

原初の布“タパ”や“フェルト”の力強さと暮らしとの関わり

植物の樹皮を打ち延ばして作る樹皮布「タパ」、羊毛を圧縮させて作る「フェルト」。織物が生まれる前から使われてきた原初の布に焦点を当て、素朴な布の中に潜む力強さ、文様や色合いの鮮やかさなど、その魅力を展観しながら、染織や民族の伝統などにも意識を向ける地域文化に関連した企画展です。

パプアニューギニア、フィジー、トンガなどの南太平洋の島々では、クワ科の樹皮からタパを作り、衣服にしたり、儀式に用いたり、住まいに飾ったりしてきました。パプアニューギニアで作られるタパは黒と赤褐色の2種類の染料を使い、家や女系に伝わる文様を描いてきました。伝説や神話由来の文様も多い点が特徴です。フィジーで作られるタパは製法が発達しており、和紙のような風合いを持つラウ群島モゼ島の肩掛けや、数十の工程を経て生まれる「花嫁のれん」などがあります。トンガでは、現代でもタパ作りが盛ん。女性の共同作業で、型板などをつかって文様を摺り出しています。
 中央アジアのカシュガルと、トルコのコンヤで作られる圧縮フェルト。羊毛を重ねて、水分、熱、振動、圧を加えた後、石けんなどのアルカリ性物質を加えてシート状にして仕上げます。伝統文様が描かれた重厚な物、植物染料を使った優しい風合いのものなど、独特の趣が特徴です。

本展では、タパを研究している福本繁樹氏と、1990 年代に東西アジアで圧縮フェルトの技術調査を行った長野五郎氏らによって収集された資料約 60 点を紹介します。パプアニューギニア、フィジー、トンガの各タパのほか、タパの原料である、カジの木の外皮を剥す際に使う貝、繊維を叩いて延ばす道具、顔料、色見本などが並びます。フィジーの型紙、トンガの型板や施文用筆など、地域ごとの特色が見られる点も特徴です。フェルトでは、各国のフェルト作家が技法を学びに来るという著名な職人によって作られた敷物、遊牧民のマントなどを展示。道具では、綿打ち弓「ヤイ」が紹介されます。織物が考案される以前の不織布の魅力をじっくりと味わえます。

墓地に広げられたタパ(フィジー) 写真:© 飯田裕子
パプアニューギニア ノーザン州マイシン族のある家系に伝えられた儀礼用タパ。腰巻として用いられ大樹の文様が施されている
所蔵:福本繁樹 撮影:益永研司

コンヤのフェルト職人の、メハメット・ギレギチェさんの工房のようす(1997年)。写真撮影・提供:長野五郎
遊牧民が羊飼い用に用いるマントで、現地ではケペネックと呼ぶ。同じくコンヤのフェルト職人、メハメット・ギレギチェさんが制作した。写真撮影・提供:長野五郎
開催概要
展覧会名 織物以前 タパとフェルト
会期 2017年12月7日(木) 〜 2018年2月24日(土)
休館日 水曜日、12月29日(金)〜1月4日(木)
時間 10:00〜18:00
会場 LIXILギャラリー
中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル LIXIL:GINZA 2F 
入場料 無料
公式サイト http://www1.lixil.co.jp/gallery/
問合せ 03-5250-6530
2017年11月更新