東西美人画の名作 《序の舞》への系譜

修理後初公開!上村松園が描いた近代美人画の最高傑作

上村松園 《序の舞》重要文化財 昭和11年(1936) 231.3×140.4 東京藝術大学蔵

独自の美人画様式を確立し、女性として初めての文化勲章を受章した上村松園。その最高傑作である重要文化財《序の舞》の修理作業が終了し、一般公開されるのを機に江戸時代の風俗画や浮世絵から近代の美人画に至るまでの系譜を辿る企画展です。

1875年、京都に生まれた松園は、鈴木松年や竹内栖鳳らに学びながら独自の美人画様式を打ち立て、官展を中心に活躍します。最も充実した時期に描かれた《序の舞》は、1936(昭和11)年の文展招待展に出品され、当時の政府が購入。東京美術学校(現東京藝術大学)に収蔵されました。
 かつては展示も行っていましたが、近年は経年劣化が進み、本紙と絵具との接着力が低下。絵の具の粉状化もあり、展示は見送られるようになります。2015(平成27)年、バンクオブアメリカ・メリルリンチ文化財保護プロジェクトの協力のもと、本格修理を開始。表装を解体し、絵の具の剥落止めやクリーニングを実施した後、表と裏の両面から膠を塗布して絵具層を接着。掛け軸装から額装へと表装も改めて美しくよみがえりました。

本展では、第1章で松園も影響を受けた江戸時代の浮世絵から西川祐信、三畠上龍、喜多川歌麿などの作品を展示します。第2 章と第3 章では明治以降に確立していく近代美人画の展開を時系列で追いかけ、《序の舞》が制作された戦前の頃まで辿ります。
 能楽の中でも格の高い舞のひとつである「序の舞」を松園は、振り袖姿の娘が延ばした右袖を返す舞姿で描きました。最初は、若夫人の姿で描くつもりでしたが、留袖ではポーズが決まらず、大振袖になったと言われています。息子の松篁夫人たね子がモデルを務めました。「この絵は、私の理想の女性の最高のものと言っていい、自分でも気に入っている女性の姿であります」と、作品について松園は話しています。
 《序の舞》に加えて、東西の近代美人画の名作が一堂に会する点も要注目。東京画壇で活躍した鏑木清方、山川秀峰、関西画壇からは菊池契月、北野恒富などの作品が集まります。松園とともに三園と称せられた島成園、池田蕉園の秀作や、知られざる東京美術学校卒業制作の異色作も見どころの一つです。
 《序の舞》に至る美人画の源流を、江戸時代初期の風俗画まで遡り、歴史にそってじっくりと流れを展観できる企画展です。

菊池契月 《散策》昭和9年(1934) 173.0×173.5 京都市美術館蔵
上村松園 《母子》重要文化財 昭和9年(1934) 168.0×115.5 東京国立近代美術館蔵
上村松園 《鼓の音》昭和15年(1940) 77.0×95.7 松伯美術館蔵
開催概要
展覧会名 東西美人画の名作 《序の舞》への系譜
会期 2018年3月31日(土) 〜 5月6日(日)
休館日 月曜日(ただし4月30日、5月1日は開館)
時間 10:00〜17:00
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 東京藝術大学大学美術館
台東区上野公園12-8 
入館料 一般 1,400円、高大生 900円
公式サイト https://www.geidai.ac.jp/museum/
問合せ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
2018年3月更新