没後50年 藤田嗣治 本のしごと ―文字を装う絵の世界―

作品制作と同じくらい情熱を注いだ、絵と言葉が織り成す挿絵本の世界

  • 2018/04/03
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乳白色の肌をもった裸婦像で独自の表現を確立し、エコール・ド・パリの画家として知られた藤田嗣治。明治以降に海外で絵を学び、活躍した日本人作家の作品を収集してきた同館のコレクションで、重要な位置を占める藤田の没後50年を記念し、手掛けていた挿絵本に着目。戦前にフランスで発行されたもの、日本で出版されたもの、大型豪華本などを中心に、葉書や絵手紙なども交えながら紹介する企画展です。

1886(明治19)年、東京に生まれた藤田は、東京美術学校(現在の東京藝術大学)の西洋画科で学び、1913(大正2)年、26歳の時に渡仏。1919(大正8)年、サロン・ドートンヌに出品した6点すべてが入選。その後、乳白色の肌の画風で、フランスで画家としての地位を確立します。同時期に挿絵本の仕事にも着手。1919(大正8)年、初めての挿絵本『詩数篇』を手掛けた後、1920(大正9)年代に30冊以上を手掛けます。1930(昭和5)〜40(昭和15)年代には、帰国した日本でも出版の仕事に携わり、1950(昭和25)年にフランスに移住した後には、大型の豪華本の挿絵にも取り組みました。

本展では、100タイトルの書籍や雑誌、約40点の作品、約40点の書簡を一堂に展示。最初に渡仏した際に、家族や友人に宛てて送った書簡や絵葉書などを紹介した「序章 絵と言葉への前奏曲」、戦前のフランスで出版された本の仕事にフォーカスした「1章 パリでの出版」、初のエッセイ集『巴里の横顔』を刊行し、書籍の装丁、雑誌の表紙、新聞の連載など幅広く活躍した日本での本の仕事を展観する「2章 日本での本に関わる仕事と様々な制作」、ジャン・コクトーの文章に挿絵を添えた『海龍』(1955年)など、フランスに移住した後に手掛けた豪華な挿絵本を展示した「3章 戦後フランスでの出版」と、時系列で本の仕事を紹介します。
 2章の中では、2つの小特集も展開。GHQの民政官として来日し、多くの日本人画家や文化人と交流しながら、美術作品を蒐集したアメリカ人、フランク・E・シャーマンが旧蔵していた作品や手作りのおもちゃなども紹介します。もう一つは、藤田が好んで描いた「猫」に注目。1930年にフランスで刊行された『猫の本』や1950年刊行の『夜と猫』、リトグラフや水彩画の作品などを展観します。絵画以外にも幅広く創作を行った藤田の活動の一端を覗けます。

開催概要

展覧会名 没後50年 藤田嗣治 本のしごと ―文字を装う絵の世界―
会期 2018年4月14日(土) 〜 6月10日(日)
休館日 月曜日(ただし4月30日は開館)、5月1日(火)は休館
時間 10:00〜18:00
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 目黒区美術館
目黒区目黒2-4-36 
観覧料 一般 1,000円、高大生・65歳以上 800円
公式サイト https://mmat.jp/
問合せ 03-3714-1201

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