洗練された美意識で茶の湯に独自の境地を築いた大名茶人
現在の島根県、松江藩中興の祖であり、大名茶人として不昧の号で知られる松平家7代藩主の松平治郷(1751〜1818年)。没後200年を記念し、不昧が愛蔵した名品、自筆の書画、好んで作らせた器などを展観する企画展です。
1767年、父の隠居により17歳で家督を継ぎ、藩主となった不昧は、財政難だった当時の松江藩を立て直すため、「御立派の改革」と呼ばれる財政再建策を進めます。藩内での借金の棒引き、藩の人員体制見直しなどを進める傍ら、産業を振興して収入増を図り、ついに財政を立て直しました。再建を進める一方で、石州流茶道を学び、江戸後期の形式や道具にこだわる遊芸化した茶道に対し、利休が提唱した“わびさび”を基本とする茶道に帰ることを提唱。禅を学び、茶道具の蒐集、名物茶器を記録した『
本展では、「茶の湯を極める―大名茶人の誕生」、「不昧が愛蔵した名品」、「プロデューサーとしての不昧―洗練を極めたお好み道具」の3つのテーマで展開します。
月照寺に伝わる「不昧画像」、不昧が編纂した『古今名物類聚』が紹介されるほか、樂家初代 長次郎の作である重要文化財「赤楽茶碗 銘無一物」、鎌倉時代に作られた国宝「片輪車螺鈿手箱」といった愛蔵の品も展示。茶の湯独特の鑑識を踏まえつつ、独自の感性で選んだ品々は明治以降の数寄者たちに“不昧所持”として重視されました。
名品蒐集の傍ら、職人に自らの美意識を反映したお好み道具も作らせます。「片輪車螺鈿手箱」の意匠と技法を引用した「片輪車蒔絵棗」、「高台寺蒔絵棗」のデザインを引用した「菊蒔絵大棗」など、多くの道具を創出しました。播磨姫路藩第2代藩主の酒井忠以(号 宗雅)、丹波福知山藩第8代藩主の朽木昌綱などの大名茶人、酒井抱一や木挽町狩野家の伊川院栄信などの画家たちが不昧を慕って集まり、その交流によって生み出された工芸品や絵画も登場。後世に大きく影響を与えた不昧の審美眼を愛蔵品やお好み道具からじっくりと展観できます。
展覧会名 | 没後200年 特別展 大名茶人・松平不昧 ―お殿さまの審美眼― |
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会期 | 2018年4月21日(土) 〜 6月17日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし4月30日は開館) |
時間 | 10:00〜17:00 ※入館は各閉館時間の30分前まで |
会場 | 三井記念美術館 中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7F >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,300円、高大生 800円、70歳以上(要証明) 1,000円 |
公式サイト | http://www.mitsui-museum.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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