江戸の町の描写から当時の活気を読み、都市景観図の流れを探る
徳川家康による幕府の開府とともに、大きく発展を遂げた江戸。近年、向井正俊が描かせたとする説が示されている「江戸名所図屏風」など、江戸の町を題材にした絵画を通して、都市景観図の成立と絵画史における意義について考察する企画展です。
「江戸名所図屏風」は、右隻と左隻を並べると真ん中に江戸城がそびえ、上野から品川まで広い範囲が描かれています。天守閣を備えていることから1657(明暦3)年の大火以前、急速に発展している頃の江戸の風景であると考えられます。近年、この絵を描かせたのが向井将監忠勝の息子・正俊とする説が示され、研究が特に活発化しています。2015(平成27)年には重要文化財に指定されました。
左隻には、木挽町の芝居小屋や向井正俊の将几御座船が描かれ、右隻には、浅草三社祭や日本橋の賑わいが表現されています。
本展では、「江戸名所図屏風」を中心に、江戸の町を描いた絵や、京都の町を一望した絵画などを取り上げ、都市図の特徴と意義を4章立てで掘り下げます。
「1章 江戸名所図の誕生」では、草創期の江戸の様子を伝える「江戸名所図屏風」の新興都市らしい熱気や見所を網羅します。「2章 都市景観図の先例」では、江戸時代以前の京都の市街地を描いた洛中洛外図に焦点を当て、都市を描く形式が江戸の都市景観図に与えたであろう影響や表現の違いなどを探ります。「3章 〈悪所〉への近接」では、江戸の都市景観図から発展して、歓楽地をクローズアップして描くようになる形式の変化に注目。「4章 都市のなかの美人」では、江戸の名所を背景にした美人図などから、都市図の新しい展開を考察します。
重要文化財「江戸名所図屏風」の最新学説に触れられるほか、菱川師宣「江戸風俗図巻」、英一蝶「四季日待図巻」(重要文化財)など江戸の町を描いた絵画、京都との都市景観図の比較、江戸の名所を背景とした浮世絵美人画など、都市景観をキーワードに幅広く展観できる機会となります。
展覧会名 | 「江戸名所図屏風」と都市の華やぎ |
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会期 | 2018年7月28日(土) 〜 9月9日(日) |
休館日 | 月曜日 |
時間 | 10:00〜17:00(金曜は19:00まで) ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 出光美術館 千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9F >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,000円、高大生 700円 |
公式サイト | http://idemitsu-museum.or.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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