北海道と名付けた旅の巨人!その生涯や古物コレクションに注目
幕末に活躍した北方探検家で、北海道の名付け親として知られる松浦武四郎(1818〜1888)。探検家として挑んだ6回の蝦夷地の調査と、古物コレクターとして蒐集した首飾りや壺などのコレクションに着目し、その生涯を掘り下げる企画展です。
1818(文化15)年、伊勢国一志郡須川村(現在の三重県松阪市小野江町)で生まれた武四郎は、伊勢街道を往来する旅人を見て育ち、1833(天保4)年16歳の時に、手紙を残して突然家出しますが、江戸で家人に見つかって連れ戻されます。しかし、翌年、全国を巡る旅に出発。1843(天保14)年、長崎でロシアが蝦夷地を狙っていることを知り、日本の危機を感じて蝦夷地を目指す決意を固めます。初めて蝦夷地に渡ったのは、1845(弘化2)年、28歳の時。商人の手代となり、函館、釧路、知床、根室など、道南を中心に回り、翌年には松前藩医の下僕として、江差、宗谷、紋別、石狩など訪れます。3回目は1849(嘉永2)年で、船で国後島、択捉島を探査。これらの探査の報告や地図が評価され、1855(安政2)年、38歳で幕府の蝦夷地御用御雇となり、4〜6回目の探査は任務として渡りました。
本展では、北海道命名150年を記念し、「蝦夷地」と呼ばれていた当時の北方に関する資料を紐解く「Ⅰ 幕末の北方を知る!」と、1870(明治3)年の退官以降に力を注いだ古物の蒐集に着目した「Ⅱ 松浦武四郎コレクションの世界」の二部構成で展開します。
「Ⅰ 幕末の北方を知る!」では、当時活躍していた画家に依頼して挿絵を描いてもらい、人気を博した紀行文シリーズ「東西蝦夷山川地理取調紀行」を紹介。第5回蝦夷地探査をまとめた『天塩日誌』や第6回蝦夷地探査をまとめた『久摺日誌』などを展示します。また、間宮海峡の名を冠せられた間宮林蔵がまとめた『北蝦夷図説』や『東韃(とうだつ)紀行』なども紹介します。
「Ⅱ 松浦武四郎コレクションの世界」では、古物類のほとんどのジャンルを網羅している充実のコレクションが並びます。特に大首飾りは、1882(明治15)年に撮影された現存唯一の武四郎の肖像写真に写っているものと同一であり、収集した玉類を使って本人が制作したものとされ、必見です。
幕末・明治前期という怒涛の時代を好奇心と実行力で生き抜いた稀有な生涯に迫ります。
展覧会名 | 〜生誕200年記念〜幕末の北方探検家 松浦武四郎展 |
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会期 | 2018年9月24日(月・祝) 〜 12月9日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし9月24日、10月8日は開館)、10月9日(火) |
時間 | 10:00〜17:00 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 静嘉堂文庫美術館 世田谷区岡本2-23-1 |
入館料 | 一般 1,000円、高大生 700円、中学生以下無料 |
公式サイト | http://www.seikado.or.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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