天災や人災などの悲劇から再生するための“美術のちから”に注目
災害などの悲劇を主題に作品を制作するアーティストに焦点を当て、美術が災害や悲劇と向き合い、再起するために果たす役割を検証します。2003年の森美術館開館記念展である「ハピネス」展、10周年での「LOVE展」に続き、15周年を記念する企画展となります。
2011年に起きた東日本大震災は、日本社会だけでなく、日本の現代美術界にも大きな影響を与えました。多くのアーティストが復興・再生の願いを込めて理想や希望を描き、より良い社会のための指針を表現。私的な視点で制作された各作品には、世論とは異なる見解や、社会の矛盾、隠ぺいされた問題の可視化、喪失の悼みなどが表され、絶望から再起しようとする力が創造の契機となり得ることを示唆しています。
現代美術の特徴の一つに「社会をより良くする可能性」があり、中でもアーティストが社会に介入し、作品や活動を通して社会の変革を目指す「ソーシャリー・エンゲイジド・アート(SEA)」は国内でも活発化。美術と社会のつながりは強くなってきています。
本展では、2つのセクションに分けて展開。セクション1では、“美術が惨事をどのように描いてきたのか”に焦点を当てます。放射能汚染といった目に見えない脅威や、ユーモアを交えるといった表現も可能な美術の特性に触れながら、アイザック・ジュリアン《プレイタイム》や、武田慎平《痕#7二本松城》などの作品を展観します。セクション2では、アーティストが制作したより良い社会への指針を示す作品が、鑑賞者にもたらす想像力に注目。池田学《誕生》、スウーン《水没した母なる地》などの作品を見ながら、希望のメッセージ、抑圧に対する団結のためのツール、チャリティ、心を癒すものなど、さまざまな「美術のちから」の可能性を探ります。
震災を契機に制作されたトーマス・デマンドなど約10人の作家の作品や、ヴェネチア・ビエンナーレに参加経験を持つトーマス・ヒルシュホーン、畠山直哉などのベテラン作家の作品、加藤翼、平川恒太などの気鋭の若手の作品まで、約40組の作品を紹介します。
展覧会名 | 六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展 カタストロフと美術のちから展 |
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会期 | 2018年10月6日(土) 〜 2019年1月20日(日) |
休館日 | 会期中無休 |
時間 | 10:00〜22:00(火曜日は17:00まで) ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 森美術館 港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,800円、高大学生 1,200円、4歳〜中学生 600円、65歳以上 1,500円 |
公式サイト | http://www.mori.art.museum/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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