障壁画の再現展示も!国民的日本画家の全貌を辿る大回顧展
情感に満ちた風景画で国民的日本画家と謳われてきた東山魁夷(1908〜99年)。思索を重ねながらつくり上げた芸術世界を、本画約70点と習作から俯瞰し、画業の全貌を辿る本格的な回顧展です。生誕110年を記念して開催されます。
1908(明治41)年、横浜に生まれた東山魁夷は、1926(大正15)年、東京美術学校日本画科に特待生で入学します。卒業すると、結城素明に師事して「魁夷」を名乗り始めます。1933(昭和8)年、ドイツに留学してヨーロッパ各地を旅行。太平洋戦争の頃には1942(昭和17)年に父を、1945(昭和20)年に母を、1946(昭和21)年に弟と相次いで肉親を亡くし、空襲により自宅も失うなど苦難が続きました。失意のどん底のなか、写生で登った千葉県鹿野山の山頂からの日没風景に、自然が創り出す光景と自分の心の動きが重なる充実感を味わい、それを表現した《残照》は、1947(昭和22)年の日展で特選を受賞。自然による生命の耀きに自分の心を重ねた独自の風景画を描くようになります。日本中を写生して回り、土地の特徴を残しながら日本の風景へと普遍化させた作品は、多くの人の共感を呼び、「国民的日本画家」と呼ばれるようになっていきました。
本展では、時代ごとに6章に分けて作品を紹介。「1章 国民的風景画家」では独自の風景画を描くようになるまでを展観し、「2章 北欧を描く」では1962(昭和37)年の北欧の旅で描いた《冬華》などを展観。「3章 古都を描く・京都」では、作家の川端康成から勧められて描き始めた京都の作品《花明り》、《月篁》などを紹介。「4章 古都を描く・ドイツ、オーストリア」では風景よりも建物や街並みを描いた作品が多く登場します。「5章 唐招提寺御影堂障壁画」では、東山芸術の集大成と言われている奈良・唐招提寺御影堂の障壁画(襖絵と床の壁面全68面)を再現。現在、修理中で現地でも見られない御影堂内部がほぼそのまま見られます。「6章 心を写す風景画」では、自らの心の中に形作られた風景を描いた《白い朝》、絶筆となった《夕星》などが展示されます。第6回日展に出品した《道》、白い馬が印象的な《緑響く》といった代表作もそろい、習作も含めて各時代の作品を幅広く展示し、画業や独自の芸術世界を掘り下げられる内容となっています。
展覧会名 | 生誕110年 東山魁夷展 |
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会期 | 2018年10月24日(水) 〜 12月3日(月) |
休館日 | 毎週火曜日 |
時間 | 10:00〜18:00 ※金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館時間の30分前まで |
会場 | 国立新美術館 企画展示室2E 港区六本木7-22-2 >> 会場の紹介記事はこちら |
観覧料 | 一般 1,600円、大学生 1,200円、高校生 800円 |
公式サイト | https://www.nact.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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