吉村芳生 超絶技巧を超えて

鉛筆で緻密に描かれた人物、花、風景。超絶技巧を超える制作の秘密に迫る

  • 2018/11/07
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《新聞と自画像2008.10.8 毎日新聞》2008年、個人蔵
《新聞と自画像2008.10.8 毎日新聞》
2008年、個人蔵

写真や新聞を驚くほど緻密に描いた画家 吉村芳生。膨大な時間を費やして制作された写真のような作品やその制作過程に焦点を当て、600点以上の作品でその全貌を探る個展です。中国・四国地方以外の美術館では、初となります。

1950年、山口県に生まれた吉村芳生は、国内外の美術展に版画作品を出品し、いくつかの美術館に作品が収蔵されましたが、知名度はそれほど高くありませんでした。90年以降は、山口県内での活動を中心に行っていましたが、2007年に森美術館で開催された「六本木クロッシング2007・未来への脈動」に出品した作品群が大きな話題を呼び、一気に注目されるようになります。各地の美術館で作品が展示され、山口県立美術館での個展では多くの観客が押し寄せました。しかし、2013年、病のため急逝します。

本展では、日常のありふれた風景をモノトーンのドローイングや版画で表現した初期、色鉛筆を駆使して様々な花を描いた後期、生涯を通じて描き続けた自画像など、62件600点以上の作品を3部構成で紹介します。
 見所は、〈新聞と自画像〉シリーズ。新聞紙の上に鉛筆で描かれた自画像のように見えながら、実は新聞紙そのものも鉛筆で一字一字描かれています。写実主義のように見えながら、超絶技巧を超える制作過程の秘密が紹介され、要注目です。また、ただひたすら金網を17mも描いた《ドローイング 金網》、満開の藤の花を描いた《無数の輝く生命に捧ぐ》、布の質感がリアルに表現された《ジーンズ》、写真のような《SCENE 85-8》や《バラ》など、そのほかの代表作も集います。超絶技巧を超越して、描くこと、表現することの意味を問いかける奥深い企画展です。

  1. 《ドローイング 金網》(部分)1977年、個人蔵
    《ドローイング 金網》(部分)
    1977年、個人蔵
  2. 《SCENE 85-8》1985年、東京ステーションギャラリー
    《SCENE 85-8》
    1985年、東京ステーションギャラリー
  3. 《バラ》2004年、みぞえ画廊
    《バラ》
    2004年、みぞえ画廊

開催概要

展覧会名 吉村芳生 超絶技巧を超えて
会期 2018年11月23日(金・祝) 〜 2019年1月20日(日)
休館日 月曜日(ただし12月24日、1月14日は開館)、
12月25日(火)、12月29日(土)〜1月1日(火・祝)
時間 10:00〜18:00(金曜は20:00まで)
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 東京ステーションギャラリー
千代田区丸の内1-9-1
入館料 一般 900円、高大生 700円
公式サイト http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
問合せ 03-3212-2485

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