年代ごとに用いた画号で絵師人生と作風をたどる
世界的に知られる江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎(1760〜1849)。没後170年を記念して、約70年の画業を作風の変遷と号ごとに掘り下げていく大規模な企画展です。北斎の研究に生涯を捧げた永田生慈氏(1951〜2018)が研究の集大成として企画。研究の末、発見・再発見された作品が一堂に並びます。
1760(宝暦10)年に本所割下水付近(現在の墨田区)で生まれた葛飾北斎は、6歳頃から物の形を写し始め、1778(安永7)年、19歳で勝川春章に入門したと伝えられています。翌年には、勝川春朗と号して錦絵を発表、35歳で俵屋宗理を襲名したといわれ、40歳頃に北斎を名乗るようになりました。51歳の時には戴斗号、61歳で為一号、64歳で川柳に卍号を用いるなど、年代ごとに号を変え、画風も大胆に変えていきます。
本展は6章構成。デビュー当初の“春朗期”は、役者絵や挿絵本を制作。デビュー作《四代目岩井半四郎 かしく》のほか、9m近い長巻に鎌倉から江の島間の名所30図を描いた《鎌倉勝景図巻》(島根県立美術館 (永田コレクション)蔵)が日本初公開されます。
琳派の俵屋宗理を襲名して活動した“宗理期”では、非売品の特製版画や狂歌絵本の挿絵、肉筆画を制作。期間限定で「風流無くてなゝせ」 遠眼鏡(リー・ダークスコレクション蔵)などが展示されるほか、長い間秘蔵されてきた《津和野藩伝来摺物》(島根県立美術館 (永田コレクション)蔵)118枚すべてが初公開されます。
“葛飾北斎期”では、劇画的な読本の挿絵、色香漂う肉筆画などを手掛けます。アメリカのシンシナティ美術館を訪れた永田氏によって存在が確認された「かな手本忠臣蔵」が初公開。パーツを切り抜いて立体的に仕上げる組上絵も紹介されます。
“戴斗期”では、門人や全国の人に渡す印刷による手本を刊行。全15編からなる『北斎漫画』などが並び、還暦後にあたる“為一(いいつ)期”では、代表作「冨嶽三十六景」など、錦絵の揃物に集中。「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」、「冨嶽三十六景 凱風快晴」(ともに島根県立美術館 (新庄コレクション)蔵)などのほか、花鳥画や幽霊などの作品も展示されます。
最晩年に当たる“画狂老人卍期”は、独自の画境を追求。この時期では最大級の作品《弘法大師修法図》(西新井大師總持寺蔵)、初公開となる88歳の時に描いた《向日葵図》(シンシナティ美術館蔵)、絶筆に近いと考えられている《富士越龍図》(北斎館蔵)などが並びます。
常に新しい表現を模索し続けた軌跡をたどれる貴重な機会となります。
展覧会名 | 新・北斎展 HOKUSAI UPDATED |
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会期 | 2019年1月17日(木) 〜 3月24日(日) ※会期中、展示替えあり |
休館日 | 1月29日(火)、2月19日(火)、2月20日(水)、3月5日(火) |
時間 | 10:00〜20:00、火曜日のみ17:00まで ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 森アーツセンターギャラリー 港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 52階 |
観覧料 | 一般 1,600円、高大生 1,300円、小中学生 600円 |
公式サイト | https://macg.roppongihills.com/jp/ |
問合せ | 03-5777-8600(ハローダイヤル) |
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