8名の奇想画家の代表作・初公開作で魅せる、
アヴァンギャルド江戸絵画
美術史家・辻惟雄氏(1932〜)が、今から半世紀近く前の1970年に発表した著書『奇想の系譜』。そこで紹介されたのは、それまで見たこともないような因襲の殻を打ち破り意表を突く、自由で斬新な発想で、非日常的な世界に誘われる絵画の数々でした。本展では、その著書で取り上げられた6名の画家、岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢芦雪、歌川国芳の他に、白隠慧鶴、鈴木其一も加え、奇想天外な発想に満ちた江戸絵画の新たな魅力を紹介します。
江戸時代絵画史といえば、狩野派、琳派、四条円山派、南画、浮世絵など、流派別の縦割りで分類・鑑賞するのが主流だった当時。そこに「いささか刺激となる毒を盛ろう」という、辻氏の知的企みからスタートした奇想の系譜は、約45万人を動員した2016年の「若冲展」など、現在では熱狂的な人気を集めています。しかし、奇想の画家は若冲だけではありません。若冲と同時代の京の画家である蕭白、芦雪。若冲に先駆ける、いまだ再評価が道半ばの又兵衛、山雪。そして近年、若者にも大人気の国芳。さらに其一、白隠を加えて、アヴァンギャルドな江戸時代絵画を存分に楽しめる企画展が実現したのです。
辻氏の奇想の系譜の出発点となった、岩佐又兵衛(1578〜1650)の極彩色絵巻《山中常盤物語絵巻 第四巻(十二巻のうち)》、最も激烈な表現を指向した曽我蕭白(1730〜1781)の、サイケデリックな群青と真紅の対比が生々しい《雪山童子図》、その書画が奇想の画家たちの起爆剤となった白隠慧鶴(1685〜1768)のユーモラスで軽妙な《達磨図》、そして、大人気の伊藤若冲(1716〜1800)は、雄雌の鶏が12図すべてに描かれた新発見・初公開作《鶏図押絵貼屏風》が出展されるなど、会場では強烈な個性と個性のぶつかり合いが、あちらこちらで勃発しそうです。
流派の枠にはまらず、時にはやり過ぎ感さえも否めない大胆さ・綿密さで描き切った8名の奇想画家。その斬新な発想に驚嘆し、懐の深さに酔いしれる、江戸絵画ミラクルワールドへいざ。
※「辻」のしんにょうの点は二つです(閲覧環境により点が一つで表示される場合があります)
展覧会名 | 奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド |
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会期 | 2019年2月9日(土) 〜 4月7日(日) ※会期中、一部展示替えあり |
休室日 | 月曜日、2月12日(火) ※ただし2月11日(月・祝)、4月1日(月)は開室 |
時間 | 9:30〜17:30 ※会期中の金曜日、3月23日(土)、3月30日(土)、4月6日(土)は20:00まで ※入室は各閉室時間の30分前まで |
会場 | 東京都美術館 台東区上野公園8-36 |
観覧料 | 一般 1,600円、大学生・専門学校生 1,300円、高校生 800円、65歳以上 1,000円 ※2月20日(水)、3月20日(水)、はシルバーデーにより65歳以上の方は無料(要証明) |
公式サイト | https://www.tobikan.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600(ハローダイヤル) |
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