円山応挙、呉春ら円山・四条派の系譜を一挙にたどる大規模展
18世紀、様々な絵画の流派が咲き乱れる京都で、円山応挙(1733〜1795)は写生画で一世を風靡し円山派を確立。また、与謝蕪村に学び応挙にも師事した呉春(1752〜1811)によって四条派が興り、写生画に瀟洒な情趣を加味して新たな一派が誕生する。この二派は円山・四条派としてその後の京都の主流となり、近代にいたるまで京都画壇に大きな影響を及ぼしてきた。
本展では、応挙、呉春を起点に、長沢芦雪、渡辺南岳、岸駒、岸竹堂、幸野楳嶺、塩川文麟、森徹山、竹内栖鳳、山元春挙、上村松園ら近世から近代へと引き継がれた画家たちの系譜を一挙にたどる。
まずは、応挙とその一門による、円山・四条派のオールスターを近代までずらりと紹介。特に、兵庫県にある大乗寺の雰囲気をそのまま体感できる、襖絵群の立体展示は目玉だ。こちらは、1787年にお寺と応挙が障壁画制作の契約を交わし、一門を率いてこれにあたった作品で、本展では応挙の《松に孔雀図》をはじめ、亀岡規礼、呉春、山本守礼など円山・四条派の系譜を合わせて立体的に鑑賞することができる。
そして、円山・四条派の醍醐味は、何と言っても風景表現にある。応挙の登場までは、絵画の基本はやまと絵か中国画で、現実とは違った名所絵の世界か、見たこともない山水世界が描かれてきた。しかし応挙は、実際の場所を好んで描き、その場の臨場感までをも写し出そうと試みた。また、遠近法を踏まえて見えた通りに描こうとする表現方法は山水画というよりも風景画に通じる側面があり、円山・四条派の作風はより自然なかたちで近代絵画へと変化していった。
さらに、美人画や動物画も円山・四条派の大きな見どころの一つだ。応挙は、狩野派や南画系の画家たちとは一線を画した温和で品格ある女性を描き、上村松園が大成した近代美人画の源流すら生み出している。また、鳳凰や龍といった架空の動物よりも、孔雀や鶴、虎、犬、猿、鹿など生きた鳥や動物たちをよく観察して描き、18世紀の京都に革命をもたらした。門下では、虎の岸派、猿の森派などが活躍し、近代では竹内栖鳳らがその伝統を引き継いだ。
日本美術史のなかで重要な位置を占める円山・四条派の系譜が、いかに近代日本画へと継承されたのか――これまでにない最大規模でその全貌に迫る。
展覧会名 | 円山応挙から近代京都画壇へ |
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会期 | 2019年8月3日(土) 〜 9月29日(日) ※会期中、展示替えあり 前期日程:8月3日(土)〜9月1日(日) 後期日程:9月3日(火)〜9月29日(日) |
休館日 | 月曜日(祝日又は振替休日の場合は開館、翌日休館) |
時間 | 10:00〜17:00 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 東京藝術大学大学美術館 台東区上野公園12-8 |
入館料 | 一般 1,500円、高大生 1,000円 |
公式サイト | https://museum.geidai.ac.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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