アルフォンス・ミュシャから現代のデザインまで
チェコの100年にわたるデザイン史を総観
ヨーロッパのほぼ中心に位置し、古くから様々な文化が交錯する舞台となってきたチェコ。ボヘミアン・グラスや「ロボット」という言葉を生んだカレル・チャペック、もぐらのクルテクやアニメーションなどは日本でもよく知られている。そんなチェコの独立前夜から現代までの約100 年にわたるデザインを、家具や食器、装丁本、ポスターなど、チェコにおける主要なデザイナーの作品を中心に、時代を追って紹介。また、おもちゃとアニメーションの2つのテーマに絞った展示も登場する。
まず始めに、19世紀末から20 世紀初頭にかけて広く流行したアール・ヌーヴォーを、当時並外れた人気を博したアルフォンス・ミュシャ(チェコ語でムハ)の作品を中心に紹介。また、絵画や彫刻だけでなく、建築や家具・インテリア、日用品など三次元におけるキュビスムの展開があった、1910〜14年のチェコ・キュビスム、幾何学的形態と抽象的単純化を民族的要素と結びつけ大きな成功をおさめた、1920年代のアール・デコの時代と、チェコ特有のデザインの発展を追う。1930年代に入ると、シンプルなかたちと機能性を重視した機能主義が台頭するが、ナチス・ドイツによりボヘミア・モラヴィア保護領となった1939年以降、1940年代前半の戦中期は生産活動も沈滞。そのような状況下で、土地に根差した素材を用い、民族的装飾の復活を背景に、創意工夫により生みだされた作品にも焦点をあてる。その後も、共産党のクーデター、ワルシャワ条約機構軍の侵攻、そして民主主義国家への復帰など時代に翻弄されながら、スピード感溢れる軽快で流れるような線や形が多用されたブリュッセル・スタイルや、ポストモダンへの傾倒、ネオモダニズムの興りなど、チェコ・デザインが成熟していく様子を年代順で追う。
さらに、普遍的なチェコらしさを体現している伝統的なおもちゃ作りや、絵本とともにチェコ文化を代表するひとつの創作領域になっているチェコ・アニメーションについても、実際の作品から考察する。
時代の波をかいくぐり、人々の生活を豊かにしてきたチェコ・デザインの魅力を、さまざまな角度から堪能できる展示になりそうだ。
展覧会名 | チェコ・デザイン 100年の旅 |
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会期 | 2019年9月14日(土)〜11月10日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし9月16日・23日、10月14日、11月4日は開館)、 9月17日(火)、9月24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火) |
時間 | 10:00〜18:00 ※入場は閉館時間の30分前まで |
会場 | 世田谷美術館 世田谷区砧公園1-2 |
入館料 | 一般 1,100円、65歳以上 900円、高大生 800円、小中生 500円 |
公式サイト | https://www.setagayaartmuseum.or.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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