金文−中国古代の文字−

中国古代の青銅器にあらわれる、漢字のルーツ「金文」に注目!

  • 2019/11/5
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現在の漢字の祖先にあたる中国古代の文字「金文」。今展では、金文があらわされた青銅器の復元鋳造レプリカやその鋳型を併せて展示することで、その世界を分かりやすく紹介する。

今から三千年前の古代中国、高度に発達した青銅器文化が栄えた商周時代。さまざまな造形をもつ青銅器が盛んに製作され、その表面には特徴的な古代文字が鋳込まれていた。これが現在の私たちが日常的に使う漢字のルーツの誕生だった。これらは平面上に「書かれた」ものではなく、鋳物の技術によって立体的に「造られた」ということにも注目したい。
 そこには、王と臣下の関係やさまざまな儀礼、土地の争いをめぐる裁判記録など、当時の社会情勢を伝えるもの、立身出世や不老長寿の現世利益を願ったり、報われない忠誠心を嘆くような人間の生の感情を伝えるものまで、実に多彩な内容が記され、そこからは古代中国の人々の生きた声が聞こえてくるかのようだ。

第1章では、漢字の黎明期、商時代の金文を紹介。その時代の金文は、古代の生命力を感じさせる象形文字が中心だったが、末期には文章を成して当時の様相を克明に伝えるものも登場する。
 第2章では、金文が大いに発達した西周時代の作品を展示。美しい字姿で書作品としても優れた逸品が数多く残っており、日本国内に所蔵される名品が一挙に公開される。西周中期の《小克鼎》しょうこくていは、王による任命式を記した貴重な資料で、黒川古文化研究所と台東区立書道博物館所蔵の2件が初めて同じ空間に揃う。
 第3章では、群雄割拠の時代であった春秋戦国時代に、各地で製作された特徴的な金文を展示。戦国前期の《𠫑氏編鐘》ひょうしへんしょうには、2500年前の人の手柄自慢などが記されており、解説をじっくり読むと面白い。
 最後の第4章は、秦漢時代以降に目を向ける。金文の伝統は、秦漢時代以降は鏡作りに受け継がれ、様々な書体の変化を経て、現在一般的に使われる楷書体が現れるようになる。《双圏昭明鏡》そうけんしょうめいきょう《仁寿狻猊鏡》じんじゅさんげいきょうなどの鏡に弧を描くように表現された流麗な文様と、現在の私たちでも読むことができる金文のコラボレーションに注目したい。

  1. 《宰椃角》 商後期 泉屋博古館
    《宰椃角》さいこかく
    商後期 泉屋博古館
  2. 《宰椃角》(部分) 商後期 泉屋博古館
    《宰椃角》さいこかく(部分)
    商後期 泉屋博古館
  3. 《亞𡩜夫鼎》 商後期 泉屋博古館
    《亞𡩜夫鼎》あげんふてい
    商後期 泉屋博古館
  4. 《亞𡩜夫鼎》(部分) 商後期 泉屋博古館
    《亞𡩜夫鼎》あげんふてい(部分)
    商後期 泉屋博古館
  5. 《𠫑氏編鐘》(部分) 戦国前期 泉屋博古館
    《𠫑氏編鐘》ひょうしへんしょう(部分)
    戦国前期 泉屋博古館
  6. 《虢叔旅鐘》 西周後期 泉屋博古館
    《虢叔旅鐘》かくしゅくりょしょう
    西周後期 泉屋博古館
  7. 《双圏昭明鏡》 前漢中期 泉屋博古館
    《双圏昭明鏡》そうけんしょうめいきょう
    前漢中期 泉屋博古館

開催概要

展覧会名 金文−中国古代の文字−
会期 2019年11月9日(土) 〜 12月20日(金)
休館日 月曜日
時間 10:00〜17:00
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 泉屋博古館分館
港区六本木1-5-1
>> 会場の紹介記事はこちら
入館料 一般 800円、高大生 600円
公式サイト https://www.sen-oku.or.jp/tokyo/
問合せ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)

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