不確かな情報や姿見えざるものに翻弄され終わってしまいそうな2020年
こんな時こそ、日々のささやかな出来事や感情に眼差しを注ぐ時間を…
先行きが不透明な中においても静かに自身の立ち位置から社会を省察し、見る人の心に深く語りかける5作家の作品を紹介するグループ展。
手に余る世界の情勢に翻弄され、日々のささやかな出来事や感情を記憶する間もなく過ぎ去ってしまいそうな2020年。慌ただしさの中で視界から外れてしまうものに眼差しを注ぎ、心に留め置くことはできないか――そのような想いから企画された本展には、今井智己、城戸保、佐藤時啓の写真を中心とする表現に加え、原美術館のコレクションから佐藤雅晴のアニメーションと、リー・キットのインスタレーションが出品される。
今井智己は、福島第一原発から30km圏内の数カ所の山頂より原発建屋の方向にカメラを向けた《Semicircle Law》に、原美術館から同方角を捉えた新作を加えて展示予定。城戸保は、日常の中にあるズレから「見る事やある事の不思議」を考察し、本展では原美術館での撮影も加え、日常生活の延長線上に現れる豊かな世界を作品化する。佐藤時啓は、本展のタイトルにもなっている代表作《光―呼吸》の新たなシリーズを公開。長時間露光と光を駆使し、光と自身の移動の軌跡をフィルムに定着させる独特の手法が、原美術館といかに共鳴するか楽しみだ。
そして、2019年にこの世を去った佐藤雅晴の、五輪へと向かう5年前の東京の姿を撮影しトレースした《東京尾行》と、香港に生まれ台北を拠点に活動するリー・キットの、人工光と展示室に差し込む自然光が相まった静謐なインスタレーション《Flowers》が、コレクションから展示される。
表れ方は異なるものの、そこにある時間や空間に光をあて、自身を取り巻く社会の息遣いをかたちにし続けている点は共通している5人。彼らの作品を通して、意識されぬまま過ぎ去る時を掬い、見過ごされてしまいそうな光景を救って、2020年というこの年のディテールを記憶に刻みこもう。
展覧会名 | 光―呼吸 時をすくう5人 |
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会期 | 2020年9月19日(土)〜2021年1月11日(月・祝) |
休館日 | 月曜日(ただし9月21日、11月23日、2021年1月11日は開館)、 9月23日(水)、11月24日(火)、12月28日(月)〜2021年1月4日(月) |
時間 |
平日 11:00〜16:00 土日祝 11:00〜17:00 ※当面の間、水曜日の夜間開館休止 |
会場 | 原美術館 品川区北品川4-7-25 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,100円、高大生 700円、小中生 500円 ※原美術館メンバーは無料 ※学期中の土曜日は小中高生無料 ※日時指定予約制 ※詳細は公式サイトをご確認ください |
公式サイト | https://www.haramuseum.or.jp |
問合せ | 03-3445-0651 |
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