ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで
国立美術館コレクションでみる「眠り」のかたち
人々にとって生きていく上で欠かせないだけでなく、芸術家たちの創造を駆り立ててもきた「眠り」。その表現からは、単なる癒しや休息の意味だけでなく、夢と現実、生と死、意識と無意識といった相反する価値観のあわいや、迷いながら生きる人間の姿、そのはかなさなど、さまざまな問いかけを読み取ることができる。本展では、国立美術館所蔵の絵画、版画、素描、写真、立体、映像など、幅広いジャンルの古今東西のアーティストの作品によって、多彩な「眠り」の表現を紹介する。
展示は、18〜19世紀に活躍した巨匠・ゴヤを案内役に、美術における眠りが持つ可能性を、序章、終章を含む7章構成で展開。ルーベンス、クールベから、河原温、内藤礼、塩田千春まで、美術史上の名作から現代アートに至るまでを意外な取り合わせで紹介する。
第1章「夢かうつつか」では、人間が時に、夢と現実のはざまの「夢かうつつか」はっきりしない状態になることに目を向け、その曖昧な連続性の中に存在するものを表現しようとした作品を取り上げる。第2章「生のかなしみ」では、眠りが死に喩えられることから、章題の「かなしみ」に「悲しみ」だけでなく「愛(かな)しみ」という、死と隣り合わせにありながらも懸命に生きようと生をいとしむ前向きな意味合いを含め、そんな生のかなしみを思う表現を紹介する。
一方、眠りの後には「目覚め」が訪れる。第4章「目覚めを待つ」では、現在眠っているものでも、将来的な目覚めを期待させるような、芸術家たちの作品の中に見て取ることができる目覚めにまつわる表現を探る。さらに、戦後美術を代表する芸術家の一人である河原温(1932〜2014 年)の作品を通じて、眠りと目覚め、生と死との関係性について探る。
災害や感染症、環境問題や差別、貧困などの困難に直面する現在。その不安の中で生きる私たちの姿を作品と重ね合わせることによって、アートを通した「眠り」が、安らぎを与えてくれるだけでなく、日常の迷いや悩みに対するヒントを与えてくれるに違いない。
展覧会名 | 眠り展:アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで |
---|---|
会期 | 2020年11月25日(水)〜2021年2月23日(火・祝) |
休館日 | 月曜日(ただし2021年1月11日は開館)、12月28日(月)〜2021年1月1日(金・祝)、1月12日(火) |
時間 | 10:00〜17:00(金・土曜日は20:00まで) ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 東京国立近代美術館 千代田区北の丸公園3-1 >> 会場の紹介記事はこちら |
観覧料 | 一般 1,200円、大学生 600円 ※日時指定予約制 ※当日券の販売あり ※詳細はこちらをご確認ください |
公式サイト | https://www.momat.go.jp |
問合せ | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。