舟越 桂 私の中にある泉

現代日本を代表する彫刻家・舟越桂の内なる源泉を探る

木彫彩色の人物像で知られる、現代日本を代表する彫刻家・舟越桂。本展では、1980年代から今日までの舟越の代表的な彫刻作品にくわえ、ドローイング、版画、何かを思うたびに書き留められるメモ、自作のおもちゃや小物などをつぶさに見ていくことで、作品が生み出される作家自身の内なる源泉の姿そのものを探る。

舟越は、東京藝術大学大学院在学中に函館のトラピスト修道院から聖母子像制作の依頼を受けたことを契機に、本格的に木彫での人物像の制作を開始。1980年代にはじまる楠の木彫彩色の人物像は、1990年代前後から異形化が試みられるようになり、新たな表現領域が切り拓かれていく。彼は、一貫して人間の姿を表すことにこだわり、「自分の中の水の底に潜ってみるしかない」と、創造にあたってまず自分自身と向き合う姿勢をとり続けてきた。その背後には「ある個人を特定して語っていくこと、それが普遍的に人間について語ることになっていく」という思いがあり、また創作の源となる作者の内面は、ひそかに外につながる水脈を保つ地底湖のように、社会的あるいは個人的なさまざまな事象を受けとめ揺らぎ続けてもいる。

本展では、この心のありようを「私の中にある泉」と呼び、6章立てで作家自身の内なる源泉を探る。さりげない日常の衣装をまとい、現代を生きる等身大の人物のようでありながらも、どこか抽象的で静謐な雰囲気を漂わせる初期の木彫像から、次第に、実在のモデルをもとに制作することが減り、体の一部が変形する「異形化」が本格的に進む90年代後半から2000年代の変遷を代表作で紹介する。
 また、制作の途上で考えたこと、感銘を受けた言葉などを、ノートやボール紙の切れ端にさまざまに書き留めたメモ、木彫で出てきた木っ端を使い自身の家族のために自作したおもちゃなど、舟越の中にある創作の源泉をのぞくような展示からも、作品に宿る特殊な空気感を知るヒントを得ることができるだろう。

舟越桂 《水に映る月蝕》 2003年 楠に彩色、大理石  作家蔵  撮影:今井智己
《「水に映る月蝕」のためのドローイング》 2003年 紙に鉛筆  作家蔵  撮影:今井智己
舟越桂 《夏のシャワー》 1985年 楠に彩色、大理石、眼鏡  世田谷美術館  撮影:落合高仁
舟越桂 《スフィンクスには何を問うか?》 2020年 楠に彩色、大理石、革  作家蔵  撮影:岡野圭
舟越桂 《板きれの人形》 1985年頃  楠、杉、針金  舟越械、舟越みも、末盛武彦、末盛春彦、その他蔵

開催概要
展覧会名 舟越 桂 私の中にある泉
会期 2020年12月5日(土)〜2021年1月31日(日)
休館日 月曜日(ただし2021年1月11日は開館)、12月29日(火)〜2021年1月3日(日)、1月12日(火)
時間 10:00〜18:00
※入場は閉館時間の30分前まで
会場 渋谷区立松濤美術館
渋谷区松濤2-14-14
観覧料 一般 500円、大学生 400円、高校生・60歳以上 250円、小中生 100円
※土・日曜日、祝休日は小中学生無料
※毎週金曜日は渋谷区民無料
公式サイト https://shoto-museum.jp/
問合せ 03-3465-9421
2020年11月30日更新