もんぺからサステナブルな近未来まで、戦後の日本ファッション史をたどる
1970年代以降、日本人が生み出した装いの文化は、その独自の展開で世界からも注目されてきた。そうした豊かな表現を生み出すきっかけとなった、明治期以降の社会状況や流行といった現象を発端に、戦後から現在に至るまでの日本のファッションを包括的に紹介する、世界初の大規模展が開催。
本展では、特に戦後の日本におけるユニークな装いの軌跡を、衣服やアイデアを創造するデザイナー(発信者)サイドと、衣服を着用し、時に時代のムーヴメントを生み出すこともあった消費者(受容者)サイドの双方向から択え、新聞、雑誌、広告など時代ごとに主流となったメディアも参照し、概観する。
まずは、戦前から戦後にかけての、和装から洋装への変遷をたどる。明治期に入り洋装が取り入れられ徐々に生活に浸透していくと、大量消費社会を迎えた1920年代の都市には「モダンガール」が現れるが、第二次世界大戦の戦局が厳しさを増すと、多くの男性が国民服を着用し、女性にはもんぺが普及する。戦後は、洋裁学校で洋服の仕立てを習うことが流行し、全国に広がった洋裁ブームが、日本での洋服の普及を決定づけることになる。
1960年代、景気が上向きに推移すると、上質な既製服の大量生産が可能になり、洋服は徐々に仕立てるものから購入するものへと変化。若者の間では、ロンドンやアメリカの若者のファッションが流行する。そして、1970年代になると、海外のコレクションに参加する若手日本人デザイナーたちが登場し、世界で華々しい活躍を見せる。さらに、1980年代には、デザイナーの個性を打ち出した日本の衣類メーカーブランド、いわゆる「DCブランド」が最盛期を迎え、日本発のファッションが一層熱気を帯びる。
バブル崩壊後は「裏原系」や「渋谷系」など、若者たちが主体となって新たなファッションを発信し、そのストリートの動向が、日本発の「Kawaii」カルチャーとして世界でも認識されるようになる。
そして、2011年の東日本大震災以降は、ファストファッションやネット購入が存在感を増す一方で、環境負荷と経済負担の少ない「サステナブル(持続可能)」なモノづくりが必要不可欠な要素となってきている。
独自性が評価されてきた日本のファッションは、これからの未来になにを示すことができるのか、戦後の日本ファッション史を通して考えてみたい。
展覧会名 | ファッション イン ジャパン 1945-2020 ―流行と社会 |
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会期 | 2021年6月9日(水)〜9月6日(月) |
休館日 | 火曜日 |
時間 | 10:00〜18:00 ※入場は閉館時間の30分前まで |
会場 | 国立新美術館 企画展示室1E 港区六本木7-22-2 >> 会場の紹介記事はこちら |
観覧料 | 一般 1,700円、大学生 1,200円、高校生 800円 中学生以下無料 ※事前予約制 |
展覧会サイト | https://www.nact.jp |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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