木彫り熊の申し子 藤戸竹喜 アイヌであればこそ

アイヌ民族として、木彫家として、誇りをもって生きた男<br>藤戸竹喜の創作人生を80余点の作品でたどる

不世出の木彫家・藤戸竹喜(1934〜2018)の人生を、初期作から最晩年にいたる代表作80余点を通して紹介する、東京で初めての展覧会。

1934年、藤戸竹喜は北海道の美幌町でアイヌ民族の両親のもとに生まれる。父の竹夫は木彫り熊の職人で、藤戸は12歳で父に弟子入りする。まさかりで切った木の塊を渡され、それを自分なりに削り、父が気に入らなければ火にくべられる――そんな繰り返しの中で熊彫りの技を習得していった。15歳の時には、まだあどけなさの残る丸刈りの少年ながら、阿寒湖畔の土産物屋の店先で一人前の職人として熊彫りの実演を始める。そして、30歳で独立して自らの店「熊の家」を構える。さらに、34歳の時に依頼されて観音立像を制作したことを契機に、熊だけではなく、人物、狼や鹿、海洋生物など、さまざまなモチーフを制作するようになっていく。

藤戸竹喜の作品の特徴は、大胆さと繊細さ、力強さと優しさといった、相反するものが同居していることにある。一切デッサンすることなく、丸太に簡単な目印を入れるだけで、一気呵成に彫り進められる熊や動物の姿は、まるで生きているかのように躍動し、旺盛な生命力を感じさせる。その一方で、仕上げに行われる毛彫りは細密で、硬い木であることを忘れさせるような柔らかな質感を生み出しているのだ。
 また、「原木にお願いして彫らせてもらう」という心持ちで制作していた藤戸は、どんなに小さな作品を作る時でも、必ずカムイノミ(神への祈り)をしてから彫り始めたという。

80歳を超えてなお、旺盛な制作活動を続けた藤戸。北海道文化賞、文化庁地域文化功労者表彰、北海道功労賞などを受賞し、海外を含む多くの展覧会に出品するなど、対外的な評価も高まっていた中、2018年、84歳で惜しまれつつ亡くなった。

アイヌ民族として、熊彫りとして、誇りをもって生きた藤戸の人生が、その分身のような作品群から感じ取れるはずだ。

《語り合う熊》2018年、個人蔵
《木登り熊》2017年、個人蔵
《川の恵み》(部分)、2000年、鶴雅リゾート㈱蔵
《遠吠えする狼》2018年、個人蔵
《狼と少年の物語》2016年、個人蔵
開催概要
展覧会名 木彫り熊の申し子 藤戸竹喜
アイヌであればこそ
会期 2021年7月17日(土)〜9月26日(日)
休館日 7月19日(月)、8月10日(火)・16日(月)・23日(月)、9月6日(月)・13日(月)
時間 10:00〜18:00
※金曜日は20:00まで
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 東京ステーションギャラリー
千代田区丸の内1-9-1
入館料 一般 1,200円、高大生 1,000円、中学生以下無料
※日時指定予約制
※当日券は、日時指定券に空きがある場合のみ販売
※詳細はこちらをご確認ください
公式サイト http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
問合せ 03-3212-2485
2021年6月30日更新