上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展

天賦の色彩感覚とモチーフの絶妙な組み合わせが生んだ
上野リチのデザイン・ファンタジーを巡る、世界初の包括的回顧展

19世紀末ウィーン生まれ、海を渡った女性デザイナー・上野リチの仕事の全貌を追う、世界初の包括的な回顧展。

世紀末芸術の爛熟期にあったウィーンで生まれ、新しいデザインを生み出した20世紀初頭のウィーンで育ったフェリーツェ・リックス(後の上野リチ・リックス)。ウィーン工芸学校において、日本の文化・芸術の影響を受けたヨーゼフ・ホフマンらに師事し、その才能を開花させる。卒業後は師が設立したウィーン工房のデザイナーとして活躍し、当時ヨーゼフ・ホフマンの下で働いていた日本人建築家、上野伊三郎と出会い結婚する。伊三郎の故郷である京都に移住後、1930年まで、ウィーン工房のデザイナーとして、テキスタイルデザインを中心に活動し、七宝、織物など京都の伝統工芸の技術を取り入れながら、テキスタイル、身近な小物類、個人住宅や店舗のインテリアほか、幅広いデザインに携わる。第二次世界大戦後は美術大学などの高等教育機関において、教育者として後進の育成に尽力した。

リチは、コロマン・モーザーやヨーゼフ・ホフマンら、ウィーン工房の創設者たちが得意とした直線的なデザインに学びながらも、独自の感性を発揮し、鳥や魚、花や樹木などの自然をモチーフに、それらを組み合わせ、自由で有機的な曲線、みずみずしい色彩を用いて、やさしく柔らかな雰囲気のデザインを生み出した。
 展示では、工房でのリチの師や、先輩、同僚のデザイナーたちの作品の数々、そして好評を博したというリチのテキスタイデザインを紹介。ウィーン時代のリチの才能に触れる。
 そして、建築家・上野伊三郎との結婚で、新たに切り開いた日本での活動にも注目。伊三郎が設計した個人住宅や店舗のインテリアデザインを手掛けたり、伊三郎が招聘した建築家、ブルーノ・タウトがデザイン指導を行った高崎の群馬県工芸所に夫婦で赴いて制作を行うなど、戦争の足音が迫る中でのデザイナーとしての活躍を追う。
 1935年からは京都市染織試験場の技術嘱託となり、翌年には群馬県工芸所も兼務し、デザイナーとしての円熟期を迎える。化粧ポーチやスキー用手袋などの服飾小物類、壁画など、テキスタイルに留まらないリチの活躍を紹介する。

海を越え、時代を超え、強い生命力で私たちを捉え続ける上野リチのデザインを堪能したい。

上野リチ・リックス《プリント布地デザイン[木立]》1925-35年頃 京都国立近代美術館
上野リチ・リックス《プリント服地デザイン:キャンディ(2)》1925-35年頃 京都国立近代美術館
上野リチ・リックス《ウィーン工房テキスタイル・デザイン:稲光》1913-22年 クーパー・ヒューイット スミソニアン・デザイン・ミュージアム、ニューヨーク Museum Purchase from Smithsonian Collections Acquisition and Decorative Arts Association Acquisition Funds. Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum, Smithsonian Institution. Photo credit: Matt Flynn © Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum
上野リチ・リックス《化粧ポーチ・デザイン》1935-44年 京都国立近代美術館
上野リチ・リックス《イースター用ボンボン容れのデザイン(2)》1925-35年頃 京都国立近代美術館】
上野リチ・リックス《七宝飾りプレート[石竹]》1950年頃 京都国立近代美術館
開催概要
展覧会名 上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展
会期 2022年2月18日(金)〜5月15日(日)
※会期中、展示替えあり
前期:2月18日(金)〜4月10日(日)
後期:4月13日(水)〜5月15日(日)
休館日 月曜日(ただし2月28日、3月21日・28日、4月25日、5月2日・9日は開館)、4月12日(火)
時間 10:00〜18:00
※祝日を除く金曜と会期最終週平日、第2水曜日、4月6日は21:00まで
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 三菱一号館美術館
千代田区丸の内2-6-2
>> 会場の紹介記事はこちら
入場料 一般 1,900円、高大生 1,000円、中学生以下無料
※各時間の入場人数に上限あり
公式サイト https://mimt.jp/
問合せ 050-5541-8600 (ハローダイヤル)
2022年2月1日更新