禅思想からはじまる表現の系譜を辿り、
未知なる可能性を、さらに未来へと切り拓く
精神と物質の差異を無化してしまう「霊性」という理念を提起し、禅の教えを西洋世界に広めた国際的な仏教学者として知られる鈴木大拙(1870-1966)。彼の思想や影響を受けた表現の系譜を紹介する展覧会が開催。
石川県金沢市に生を受けた鈴木大拙(本名・貞太郎)は、東京帝国大学在学中に鎌倉円覚寺に参禅し、居士号「大拙」を受ける。1897年に渡米し、出版社に勤務。1909年帰国後、学習院、東京帝国大学講師、翌年、学習院教授となる。
晩年、アメリカの大学などで大乗仏教思想、とりわけ禅思想を講じる大拙のもとには、のちに現代音楽に革命をもたすジョン・ケージや『ライ麦畑でつかまえて』などの著書で知られることとなる小説家J・D・サリンジャーなどが集った。大拙の教えは、現代芸術のひとつの源泉にもなったといえる。
大拙の思想はまた、日本のさまざまな分野にも多大な影響を与えた。それらは、高等中学校以来の盟友である西田幾多郎の哲学、互いに無名であった頃に書簡を交わした南方熊楠の生物学、自らの後継者と考えていた柳宗悦の民藝から坂本龍一の楽曲などにも及ぶ。
本展では、大拙を起点に影響を受けたさまざまな表現作品を展観する。あわせて、生涯の伴侶となったビアトリス・アールスキン・レーンが信奉していた東洋思想に淵源する近代の総合宗教、神智学から甚大なインスピレーションを受けたヨーゼフ・ボイスやナムジュン・パイクの作品群も紹介する。
大拙の影響は、グローバルとローカルという区別を超えて、あらゆる表現ジャンルの区別を超えて、きわめて巨大である。
本展は、独自の視点で大拙の研究を続け、展覧会やシリーズ講演会「鈴木大拙を体験する」などを発表してきたワタリウム美術館において、鈴木大拙からはじまる表現の系譜、その未知なる可能性を、さらに未来へと切り拓いていくための試みとして展開される。
(展示予定作家)
木喰明満、岡倉天心、南方熊楠、西田幾多郎、鈴木大拙、柳宗悦、棟方志功、ジョン・ケージ、ヨーゼフ・ボイス、ナムジュン・パイク、谷口吉生、坂本龍一、山内祥太
(資料展示)
仙豪`梵、カジミール・マレーヴィチ、J・D・サリンジャー
展覧会名 | 鈴木大拙展 Life=Zen=Art |
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会期 | 2022年7月12日(火)〜10月30日(日) ※会期中、展示替えあり |
休館日 | 月曜日(ただし7月18日、9月19日、10月10日は開館) |
時間 | 11:00〜19:00 |
会場 | ワタリウム美術館 渋谷区神宮前3-7-6 |
観覧料 |
一般 1,500円、学生(25歳以下)・高校生・70歳以上・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳お持ちの方、および介助者(1名まで) 1,300円、小中生 500円 ※会期中、本人は何度でも入場できるパスポート制チケット ※詳細は公式サイトをご確認ください |
公式サイト | http://www.watarium.co.jp |
問合せ | 03-3402-3001 |
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