対照的な運命を辿った青木と坂本、66年ぶりの二人展
幻の作品群を含む代表作を一堂公開
1882(明治15)年、現在の福岡県久留米市に生まれた青木繁(1882-1911)と坂本繁二郎(1882-1969)。生誕140年という記念すべき年に二人の特徴や関係性を表す作品を中心に、それぞれの生涯をときに交差させながら「ふたつの旅」をひもとく展覧会が開催。
青木と坂本は、ともに同じ高等小学校で学び、同じ洋画塾で画家を志した。日本の洋画が成熟へと向かう時代の流れのなかで、それぞれに独自の作風を探求する。
青木は東京美術学校(現東京藝術大学)在学中に画壇にデビューし、美術と文学において浪漫主義的風潮が高まる時代のなか、《海の幸》(1904年)で注目を集め、若くして評価される。しかし、華々しいデビューとは対照的に晩年は九州各地を放浪し、中央画壇への復帰も叶わず28歳という短い生涯を終える。
一方、坂本は青木に触発されて上京し、数年遅れてデビューする。パリ留学後は福岡へ戻り、87歳で亡くなるまで長きにわたって、馬・静物・月などを題材にこつこつと制作に励み、静謐な世界観を築いた。
青木夭折後、ブリヂストンタイヤ(現・ブリヂストン)の創業者・石橋正二郎は、高等小学校時代の師である坂本の、夭折した青木の作品が散逸するのを惜しみ、作品を集めて美術館を建てて欲しいという願いを聞き、青木作品の収集を進める。それらは、1952年(昭和27年)に創設されたブリヂストン美術館(現アーティゾン美術館)で公開され、1956年、石橋美術館(現久留米市美術館)開館の年に、はじめての二人展「青木繁・坂本繁二郎作品展覧会」が開催される。二人展はそれ以来66年ぶりの開催となり、借用作品も含め約250点の作品で構成される本展は、代表作が一堂に会する貴重な機会となる。
特に見どころは、40年ぶりにまとめて公開される、伎楽や舞楽などの仮面を写した「仮面スケッチ」と呼ばれる青木の作品群。同じく40年ぶりの公開となる坂本の滞欧作《眠れる少女》。第4章では、二人が唯一同じ題材をモティーフにしたとされる能面を描いた作品が観覧できるのも興味深い。
展覧会の最後には、二人が最晩年に描いた作品が展示されている。海上を照らす朝日が描かれた青木《朝日》と、雲に隠れながらも穏やかな光を放つ月が描かれた坂本《幽光》。
朝日と月という対照的な主題のように、それぞれ対照的な運命を辿った二人の時に交差し、響きあう作品の競演をご覧頂きたい。
展覧会名 | 生誕140年 ふたつの旅 青木繁×坂本繁二郎 |
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会期 |
2022年7月30日(土)〜10月16日(日) ※会期中、展示替えあり 前期:7月30日(土)〜9月11日(日) 後期:9月13日(火)〜10月16日(日) |
休館日 | 月曜日(9月19日、10月10日は開館)、9月20日(火)、10月11日(火) |
時間 | 10:00〜18:00 ※9月23日を除く金曜日は20:00まで ※入館は閉館の30分前まで |
会場 | アーティゾン美術館 6・5階展示室 中央区京橋1-7-2 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 【ウェブ予約チケット】1,600円 【当日チケット(窓口販売)】1,800円 ※高大専門生無料(要ウェブ予約)、中学生以下無料(予約不要) ※日時指定予約制 ※当日チケット:ウェブ予約チケットが完売していない場合のみ窓口で販売 ※詳細は公式サイトのチケット情報をご覧ください |
公式サイト | https://www.artizon.museum/ |
問合せ | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
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