鶏の宮川 赤坂インターシティAIR店(赤坂)
赤坂インターシティAIRの地下、飲食店街に軒を連ねる「鶏の宮川」。1949年日本橋で鶏肉の卸問屋として創業し、同時に焼き鳥専門店を営んできた老舗だ。現在は3代目が社長となり、大手町、四ツ谷、豊洲、同店と4店舗を運営する。国産鶏を使った唐揚げがランチで手軽に味わえると、近隣のワーカーが日々列を成す。
ランチは、全部で8種類。白い唐揚げを筆頭に、チキン南蛮、国産鶏の白醤油焼き、国産鶏の粕漬け焼き、鶏つくね、鶏パイタンラーメン、メンチカツカレーに、2週間スパンで変わる特別メニューが加わる。持ち帰り用のお弁当も毎日8〜10種類用意。どれも税込850円で味噌汁付きとリーズナブルなため、12時半にはあらかた売り切れになる。
「ランチはワーカーがほとんどのため、効率を一番に考えて並んでいる間にオーダーを取り、お客様が席に着いたら間髪入れずに出来たてが配膳されるようオペレーションに工夫を加えています。4回転近く回るので、薬味の壺をセットするのでも無駄な動きが出ないように常に見直ししていますね」と、店長の星英次氏。テキパキした話しぶりがすでに動きの良さを物語る。
ランチの人気は白い唐揚げ。一般的な醤油やニンニクの味付けはせず、国産鶏のムネとモモを塩水に漬け込んで揚げている。早速、ムネ肉をかじるとジュワーっと肉汁が湧き出て驚く。肉臭さも、揚げ油の重さも、全く感じない。「白い唐揚げはもともと社長や弟である私が幼少時から食べてきた家庭の味。卸問屋で常に鮮度の良い肉があったため、肉の味を生かした塩味で作られていました。天然飼料と平飼いで育てられた安全で濃厚な旨味を持つ国産鶏を使用しているので、余計な味を加えずに調理しています」。星氏は肉質の良さに自信をのぞかせる。塩はマグネシウムの含有量が多い沖縄の雪塩を使用し、衣は、小麦粉、コーンスターチ、片栗粉などを独自に配合したものを冷やして。揚げ油は1日2回濾過させて、常にクリアな鮮度を維持。衣の粉などで油は黒くなりがちだが、同店では100食分揚げても油は澄んだまま。白い唐揚げはヘルシーさの表れでもあるのだ。
鶏肉の美味しさを一層引き立ててくれる薬味にも手を抜かない。青い山椒ではなく完熟して香りが強くなった赤い山椒を和歌山県から直送。もう一つは、同店オリジナルの焙煎黒八味。スパイスの割合、すり潰し具合にもこだわり、熟練職人と1年近く試行錯誤を繰り返して完成した。みかんの皮が入った爽やかな風味が唐揚げと合う。つゆは、オリジナルのポン酢。千葉県銚子市の醤油とスダチ、柚子、橙の生果汁を加えた独自の配合でメーカーに製造してもらっているという。
ディナーは、コース料理のみを提供するカウンターと、居酒屋スタイルでワイワイ楽しめるテーブル席で、異なる楽しみ方ができる。「鶏のプロらしく、どこかに一工夫を加えたメニューと、パサつき防止のための低温調理も意識していますね」。ささみは昆布締めしながら低温調理、粕漬け焼きでは真空パックにして56度で湯煎して火を通し、それをオーブンで焼く。手間ひまをかけた分、鶏とは思えないしっとり感や滑らかな口当たりに。野菜は千葉から直送され、鮮度の高さが自慢。また、全国の農家から季節野菜も届き、旬なものも味わえる。プレミアム品種で作る炙り枝豆、カブの刺身などメニューを眺めるだけで美味しそうだ。「定期的にスタッフが農家を訪問し、野菜の特徴や状況を聞くとともに、利用者の声をフィードバックして、互いにブラッシュアップしています」。生産者が非常に少ない青森県産黒千石豆もやしといった希少野菜を使ったメニューも。どのメニューにもひと手間のこだわりと店側の熱い思いがあるのが印象的だ。
「うちの一番の特徴は、常により良いものを目指して動くスピードと実行力」と言う星氏は、商品の良し悪しは常に客側が判断すると話す。その時のトレンドに合致していれば人気が出て、不評であれば淘汰される。トレンドは常に動くため、早い対応でないと意味がないのだとか。実際、同店では前の週に客からヒントを得たメニューを翌週に実践することも。「虎屋の羊羹のように、一定の質と実績を持ちつつ常にマイナーチェンジして、より高みを目指すことを、うちも実践していきたいですね」。常に進化し続ける同店の白い唐揚げや焼き鳥などを味わい、鶏肉の魅力を多方向から探るのも楽しそうだ。
名称 | 鶏の宮川 赤坂インターシティAIR店 |
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所在地 | 港区赤坂1-8-1 赤坂インターシティ AIR B1F |
電話番号 | 03-6277-8027 |
営業時間 |
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定休日 | 土日祝、年末年始 |
公式サイト | http://yakitori-miyagawa.jp/ |
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