鉛筆で街並みや植物などの風景画を描く須藤由希子（すとう・ゆきこ）の、Take Ninagawaでは5年ぶりとなる個展。今回は「一戸建て」をテーマに、過去最大サイズを含む10作品で構成される。須藤の描く風景画は、誰もが見覚えのあるような懐かしさと同時に、どこか普通とは違う奇妙な感覚を覚える。それは、軒先のどんな小さな植物の葉でも見逃さず丹念に描き込まれるのに対し、家の塀や壁は生活感のない平面的なタッチで描くことで、現実にはない余白を生み出しているからだろう。しかし、そのどちらも「鉛筆でここまで幅のある質感を表現できるのか」と驚くほど表現力豊かだ。見たことがあるような無いような不思議な一戸建て、どんな人が住んでいるのか想像しながら細部までじっくり鑑賞したい。会期は7月1日（土）まで。日月祝休。時間は11:00〜19:00。