国立新美術館
「日本かぶれのナビ」との異名を取るほど日本美術に愛着を持ち、光と色彩の巨匠として後世にその名を留めるフランスの画家ピエール・ボナール。その最大のコレクションを有するオルセー美術館の大半のボナール作品と、国内外の個人所蔵家や美術館のコレクションもあわせた、130点以上が集結する大回顧展が開幕。
注目したいのは、第一章に展示される「黄昏(クロッケーの試合)」。こちらはまさに、美術批評家フェリックス・フェネオンが「日本かぶれのナビ」と評した作品で、格子模様の洋服などで画面を平たんに見せる技法や遠近表現からは、浮世絵の影響が色濃く感じられる。
他にも、屏風を思わせる縦長構図や余白の取り方など、日本画との類似点を探しながら鑑賞するのも面白い。
また、光が画面に溶け出すようなぼんやり美しい色彩と、不可思議な構図と遠近感の描写は、鑑賞者の視点をあらゆる方向に誘導し、まさに“視神経の冒険”にボナールが連れて行ってくれるようだ。
会場の最後には、ボナールが作品を描いた同じ場所が360度のプロジェクションマッピングによって投影される、新たな鑑賞体験も有り。
会期は9月26日(水)〜12月17日(月)。火曜休。時間は10:00〜18:00(金・土曜は20:00まで、9月28・29日は21:00まで)。
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