六本木ヒルズ A/Dギャラリー
徹底してリアリティを追求した“肖像”を制作するアーティスト上路市剛(かみじいちたか)の個展が開催中。
先人たちが当時の最先端技術で表現した彫刻や仏像などをモチーフに、年齢的なシミや皺、毛穴や傷、暮らしぶりや気候風土など、それぞれの人生にまで思いを馳せ、現代の最先端技術で新たな肖像を表現する上路の作品。血走った目、剃り残しのヒゲ、膿をもった吹き出物など、どの角度から見てもそこにいるのは生きた人間だ。
本展の構成は、興福寺・北円堂の運慶作の国宝「世親」と「無著」を中心に、「四天王」が四方を取り囲む曼荼羅図の配置で、そのあまりのリアルさに、泣き出す子やドッキリのTV番組と勘違いする人もいるなど、会場の空気感は異様。先人たちへの敬愛の念と、狂気すら感じる執拗なまでのハイパーリアルが入り混じった作品からは、もはや鑑賞者をコントロールする力さえ感じるほどだ。
現代に翻訳された新たな肖像から、何を感じどう向き合うのか。キャパオーバー必至の展覧会だ。
【会期】4月26日(金)〜5月19日(日) 【休廊日】会期中無休 【時間】12:00〜20:00
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