特別展示「首くくり栲象」

小山登美夫ギャラリー(六本木6-5-24 complex665 2F)

  • 2019/8/27(火)
  • イベント
  • フォトニュース
特別展示「首くくり栲象」

 小山登美夫ギャラリーで、異色の特別展示が5日間限定で開催中。

 昨年肺がんで他界するまで、20年近く日課として自宅の庭で首をくくり、月に数回は「庭劇場」と称してパフォーマンスを行っていた、孤高の身体表現者・首くくり栲象(くびくくりたくぞう)。1960年代から風倉匠や松澤宥、高松次郎ら前衛美術家と交流し、路上に突っ立って痙攣するパフォーマンスや首吊りのパフォーマンスを行っていたが、50歳の誕生日を迎える前日に、「明日から首吊っていこう」とそれ一本に集中することに決めたのだという。

 これだけを聞くと、あまりにも逸脱した危ない人という印象を受けるが、本展の参加作家である写真家の宮本隆司(みやもとりゅうじ)と振付・演出家の余越保子(よこしやすこ)は、「栲象さんに対する誤解を解きたい」と口を揃える。
 といっても、2人ともパフォーマンスを見るまでの首くくり栲象の印象は「名前もいかにも見世物という感じで、なんだこの人はと思っていました(宮本)」「初対面の日に、明日吊るから来て!と突然言われ、何で行かなきゃいけないんだ〜!と正直気乗りしませんでした(余越)」と振り返るように、決して肯定的なものではなかったそう。
 しかし庭劇場が開演した瞬間、彼の世界にグッと引き込まれたのだという。「パフォーマンスとしてかなり激しく、ギリギリのラインでやっているのがズンと深く伝わりました。また、とても小さい荒れた庭なんですが、その空間を本当に“劇場”にしてしまう演出力は素晴らしかった。演出といっても作り物の演技をしている訳では決してなく、ありのままの彼そのものの存在の凄さなんです(宮本)」。「私は普段振付や演出をしているので、舞台上でどうやって人間の存在を際立たせるのかということを常に考えていますが、栲象さんが首を吊ったその瞬間、一人の人間の“存在”が一瞬で“不在”になったんです。そこに残った不在の身体を見ていると、主体と客体がサッと入れ替わり、このパフォーマンスを見ている自分を逆に見つめていることに気づくんですよ。目の前で起こったその転換は人生で初めての体験でした(余越)」

 「“首くくり”という強烈な部分だけが取り上げられますが、本当に純粋で素朴な方で、彼の身体表現のあり方や存在そのものに目を向けてもらえると嬉しい」と2人は締めくくった。

 展示は、首くくり栲象の庭劇場での姿を追った宮本隆司の写真・ドキュメンタリー映像と、余越保子が撮影・構成を手がけたインスタレーション映像、映画「Hangman Takuzo」の上映となる。

【会期】8月27日(火)〜8月31日(土) 【休廊日】日月祝(会期中無休) 【時間】11:00〜19:00 【上映スケジュール】11:00〜18:00(@宮本隆司撮影・庭劇場ドキュメンタリー映像『Kubikukuri Takuzou』 Niwa Gekijyo Theater Aインスタレーション『首くくり栲象 声とことば』)、18:00〜(B余越保子「Hangman Takuzo」映画上映)※Bは有料

記事を探す

記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。