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デビュー作への終わりなき探求心。川田喜久治「エンドレス マップ」

デビュー作への終わりなき探求心。川田喜久治「エンドレス マップ」

PGI(東麻布2-3-4 TKBビル3F)

2021/2/22(月)  1933年茨城に生まれ、1956年の『週刊新潮』創刊からグラビア撮影を担当、その後フリーランスとして60年以上写真を撮り続けている写真家・川田喜久治(かわだきくじ)。90歳に迫ろうかという現在も、日々インスタグラムに作品をアップするなど、新しい写真表現を探求し続ける日本が誇る写真家だ。
 本展は、そんな川田の評価を決定的なものにした1965年刊行のデビュー写真集『地図』を、3台のインクジェットプリンターを駆使し手漉きの和紙にプリントした新たな試みの展示となる。

 『地図』は、原爆ドームの天井や壁のシミと、戦後20年の復興、経済成長を象徴する「都市で拾い集められた時代」のオブジェを繰り返し見せることで、敗戦という歴史の記憶を記号化したセンセーショナルな作品として話題を呼んだ。これまで、さまざまな美術館やギャラリーでセレクションを変え展示され、多彩な技法でのプリントも発表されてきたが、本展は、これまでとはまた違った、全く新しい『地図』が露になっている。
 過去のトリミングを放棄し表情を変えた1枚、髪の毛一本一本まで鮮明になり胸に迫る1枚、和紙のテクスチャーをたたえて新たな光を放つようになった1枚…30点の作品は、むしろ、過去の『地図』をよく知っているファンの方が、その新鮮さに驚くかもしれない。
 自身の処女作への終わりなき探究心が生み出した“エンドレスマップ”は一見の価値ありだ。

 なお、川田のインスタグラムに蓄積した数百を超えるイメージの中から、30枚を厳選し構成した最新作品集も、ギャラリーとオンラインで販売中。

【会期】1月20日(水)〜4月10日(土)
【休廊日】日祝
【時間】11:00〜18:00