思わず触れたくなるガラス。藤掛幸智 新作展「Vestige III」

ア・ライトハウス・カナタ(西麻布3-24-20 霞町テラス6F)

  • 2021/4/8(木)
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思わず触れたくなるガラス。藤掛幸智 新作展「Vestige III」

 南青山で30年近く活動してきたギャラリー「酉福」が、「ア・ライトハウス・カナタ」として2020年6月に西麻布に移転。新たなギャラリー名には、闇夜の航海をやさしく誘う灯台のように、埋もれた存在に光を当て、新たな価値を創造し、遠く彼方へその想いを提唱する存在になりたいとの想いが込められている。

 本展は、ガラス作家・藤掛幸智(ふじかけさち)の代表作「Vestige」シリーズの新作を披露する個展で、酉福ギャラリー時代に開催されたT、Uに続き、Vの展示が新スペースで実現した。
 「もともと吹きガラスが大好きで、窯の中でガラスがみせる柔らかい姿に魅力を感じていました」と語る藤掛が、その要素をどうにか作品に落とし込みたいと試行錯誤し、独自の技法で生み出した「Vestige(名残)」シリーズ。その作品群は、手触りの良いファブリックのように、はたまた息をふっと吹き込んだ紙風船のように、柔らかく撓んだり膨らんだりと、硬質なガラスが素材ということを忘れさせる柔和な表情が鑑賞者の心をつかむ。
 ところどころ大胆に捻じれた作品は、作家自身が制作中にグイっと曲げているとのことだが、「私がコントロールしているというよりは、その瞬間のインスピレーションで、ガラスの動きたいように力を貸しているといった方が近いかもしれません」と、作品との対峙の仕方も教えてくれた。また、表面に浮かび上がるドットやストライプ、メッシュ状の模様が、藤掛作品の造形の面白さを際立たせると同時に、ガラスならではの光と影の陰影を、効果的に印象づけている。

 作家の制作時の感動を、鑑賞者にそのままシェアしてくれるような、美しい“名残”のピースたち、じっくり時間をかけて堪能したい。

【会期】4月8日(木)〜4月24日(土)
【休廊日】日月祝
【時間】11:00〜18:00(最終日は16:00まで)

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