余白現象が生み出す無限の広がり 「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」プレス内覧会・開会式

国立新美術館

  • 2022/8/9(火)
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余白現象が生み出す無限の広がり 「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」プレス内覧会・開会式

 国際的にも大きな注目を集めてきた「もの派」を代表する美術家、李禹煥(リ・ウファン)の東京では初めてとなる大規模な回顧展「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」が開幕。

 2年半ぶりとなる対面での開館式で逢坂恵理子館長は、「日本では2005年以来17年ぶり、東京での開催は初めてとなる本展は、李禹煥60年以上の創造の軌跡を辿れるものとなっている。作ることと作らないこと、描くことと描かないことなど、相反するものが両立している作品群は多面性や両義性に満ちている。ぜひ、五感を開いて作品と世界や宇宙との関係性などにも思いを馳せて頂きたい」と語った。

 本展は李が自ら展示構成を考案した彫刻と絵画の2セクションに分けられ、1960年代の最初期の作品から最新作まで、彫刻と絵画の展開過程がそれぞれ時系列的に理解できるように展示されている。
 冒頭では初期の代表作、キャンバスにピンクの鮮やかな塗料を用いた三連画《風景T》《風景U》《風景V》(すべて1968年)の色彩が空間全体、そして鑑賞者も包み込むように広がり、非日常的な李の世界観に誘う。
 同時代より制作された〈関係項〉シリーズでは、鉄板が今にも壁から床に滑り落ちそうに設置してある作品など、主に石、鉄、ガラスや綿という素材の特徴を大いに活用し、それらの特性に基づく現象によって訴えかけるような立体作品が並ぶ。
 《関係項―鏡の道》(2021/2022年)やフランスのラ・トゥーレット修道院で発表された《関係項―棲処(B)》(2017/2022年)は展示室いっぱいに敷き詰められた石の上を自由に歩くことができる。ガタガタ、ジャリジャリと響きあう音そのものが作品の一部に感じられる空間が広がる。
 野外展示場では、ヴェルサイユ宮殿で発表されたステンレスの巨大なアーチ状の野外彫刻の新作《関係項―アーチ》(2014/2022年)が展示。
 さらに近年の平面作品では、まるで空間から風の流れが感じられるような〈風より〉と〈風と共に〉シリーズや、より研ぎ澄まされたストロークと空白が緊張感を持って響きあう〈照応〉と〈対話〉のシリーズが展観される。
 李の創造の軌跡をたどる61点が一挙に集結する貴重な内容となっている。

 今回、特別に音声ガイドはスマートフォンより無料で利用できる。ナビゲーターをつとめる俳優・中谷美紀さんの落ち着いたトーンのガイドとともに、余白から生み出される美しさや響きあい、無限の広がりをぜひ、五感で体感して欲しい。

【会期】8月10日(水)〜11月7日(月)
【休館日】火曜
【時間】10:00〜18:00(金・土曜は20:00まで) ※入場は閉館の30分前まで

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