山王日枝神社

外堀通りに建つ巨大な山王鳥居が目を引く山王日枝神社。
徳川歴代将軍の氏神として江戸城を守護し、明治以降は皇居を守る。
神田明神と並び、江戸の民に崇敬されていた。
広い敷地は樹木で覆われ、凛とした空気が漂う。
参詣、散策など訪れる人が絶えないパワースポットだ。

  • 2013/11/05
  • カルチャー
  • 緑の散策路

山王パークタワーを過ぎると、威風堂々とした山王鳥居が現れる。上には、「山王茶寮」、宴会場「日枝あかさか」、社務所があり、「急ぐとも 止まって拝め 宮ノ前」と書かれた車止めが印象的だ。樹木が茂る境内は静かなのにどこか力に満ち、自然と居住まいを正してしまう。皇居の裏鬼門を意識してか、正門は東向き。神門をくぐると、広場の奥にコンクリート造りの社殿が建つ。見上げれば空が大きく見えて、都心とは思えない清々しさ。

鎌倉初期に江戸氏の館に創設され、室町時代、江戸城の鎮守として太田道灌によって祀られた。現在も皇居の守護として、隔年開催の神幸祭では特別に皇居内へ行列の入場が許されるそうだ。
滋賀県の比叡山に鎮座する日吉大社の山と水を司る大山咋神(おほやまくひのかみ)が主祭神で、万物の成長発展を守護することから厄除け、商売繁盛、社運隆昌の参詣者が多い。神使いの夫婦猿は縁結びや安産の神として知られる。

お参りは社殿入口でもできるが、オススメは社殿の天井絵。下拝殿までは一般でも入れるのだ。天井には鎌倉時代の植物や昆虫が描かれた板絵が123枚掲げられ、壮観な眺め。参拝後は、藤棚の下で一服したり、末社や稲荷参道を訪れるのもいい。政治家や近隣ワーカーの早朝参拝に倣って、朝活ならぬ朝参りもオツだ。

  1. 赤坂側の山王鳥居。上部に三角形の破風(屋根)がのっているのが日枝神社特有の形
    赤坂側の山王鳥居。上部に三角形の破風(屋根)がのっているのが日枝神社特有の形
  2. 東急キャピトルタワーの裏手にある永田町側の山王鳥居。こちらが表参道で、53段の石段から成る男坂、左には車も通れる女坂がある
    東急キャピトルタワーの裏手にある永田町側の山王鳥居。こちらが表参道で、53段の石段から成る男坂、左には車も通れる女坂がある
  3. 神門の表は「日枝神社」、裏は「皇城之鎮(こうじょうのしずめ)」と神宮祭主だった北白川房子氏が書いた額がそれぞれ掲げられている。手前の手水舎は近づくと自動で水が出る
    神門の表は「日枝神社」、裏は「皇城之鎮(こうじょうのしずめ)」と神宮祭主だった北白川房子氏が書いた額がそれぞれ掲げられている。手前の手水舎は近づくと自動で水が出る
  4. 神門の横には、全国各地の酒造会社から奉納された酒樽がずらり。主祭神が山の神であり、水を司ることから、酒造りの守護神として崇められている
    神門の横には、全国各地の酒造会社から奉納された酒樽がずらり。主祭神が山の神であり、水を司ることから、酒造りの守護神として崇められている
  5. 社殿、祈祷所(山王夢御殿)、授与所、絵馬奉納所、藤棚があり、かなり広々。プルデンシャルタワー、赤坂サカスなどが見渡せる
    社殿、祈祷所(山王夢御殿)、授与所、絵馬奉納所、藤棚があり、かなり広々。プルデンシャルタワー、赤坂サカスなどが見渡せる
  6. 藤棚の下にはベンチが設けられており、参拝者が自由に小休止や歓談できる
    藤棚の下にはベンチが設けられており、参拝者が自由に小休止や歓談できる
  7. 山王稲荷神社(手前)、八坂神社・猿田彦神社(奥)の三神が祀られた末社。建物内に古い鳥居の一部が残り、梁が2本あるように見えるのが面白い
    山王稲荷神社(手前)、八坂神社・猿田彦神社(奥)の三神が祀られた末社。建物内に古い鳥居の一部が残り、梁が2本あるように見えるのが面白い
  8. 神猿の像。“魔が去る”と厄除け、また安産祈願でなでる参拝者、お礼参りの人も多い
    神猿の像。“魔が去る”と厄除け、また安産祈願でなでる参拝者、お礼参りの人も多い
  9. 境内の奥にある稲荷参道。商売繁昌、心願成就を願う人々が奉納した赤い鳥居90基が77段の石段に並ぶ
    境内の奥にある稲荷参道。商売繁昌、心願成就を願う人々が奉納した赤い鳥居90基が77段の石段に並ぶ
  10. 日枝神社社殿復興50年を記念して2008年に掲げられた123枚の天井板絵。天然岩絵の具で描かれている
    日枝神社社殿復興50年を記念して2008年に掲げられた123枚の天井板絵。天然岩絵の具で描かれている
神社の歴史
鎌倉時代初期
秩父重継が居館に山王宮を奉祀
1478(文明10)年
江戸城築城にあたり、太田道灌が川越山王社を再勧請
1590(天正18)年
徳川家康が江戸城内の紅葉山に新社殿を造営
1604(慶長9)年
徳川秀忠の江戸城大改築で隼町国立劇場附近に遷座
1659(万治2)年
明暦の大火により社殿が焼失したため、現在の星ヶ岡に遷座
1915(大正4)年
当時の社格最上位の官幣大社に列せられる
1945(昭和20)年
空襲により山王稲荷神社以外の建物を焼失
1958(昭和33)年
社殿を復興
1979(昭和54)年
江戸城内御鎮座500年大祭の記念事業として宝物殿を造営

基本情報

名称 山王日枝神社
所在地 千代田区永田町2-10-5
問合せ 03-3581-2471(日枝神社社務所)
開門時間 5:00〜18:00(4〜9月)
6:00〜17:00(10〜3月)
アクセス 銀座線、南北線「溜池山王駅」徒歩3分
千代田線「国会議事堂前駅」徒歩5分
公式サイト https://www.hiejinja.net/

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