GINZA SIXガーデンギンザシックスガーデン/中央区銀座6-10-1

老舗や高級ブランドが多く集う、銀座。
エリア最大の複合商業施設としてオープンしたGINZA SIXの屋上にあるガーデンは
約4,000㎡の敷地に和洋の植栽が集う
一周できる回廊は、爽やかな戸外の展望台。ゆったり回って銀座の空中散歩を楽しみたい

銀座4丁目交差点から中央通りを新橋方面へ徒歩数分、圧倒的な存在感で現れるGINZA SIX。館内のエレベーターで屋上に上がると、青々とした芝生広場とスタイリッシュな水盤、遮るもののない広い空が広がる。

高さ数センチの水盤。流れで象られ一枚のアートのよう

ランドスケープデザインは、ザ・キャピトルホテル東急や東北大学青葉山キャンパス・センタースクエアなどをデザインした宮城俊作氏が担当。「江戸の庭園文化と西洋の広場文化の融合」をテーマに設計され、植栽はスタイリッシュな雰囲気ながら、植物にかかったネームプレートをよく見ると、サクラ、ツツジ、アジサイ、カエデ、コナラ、キンモクセイ、ツバキなど、季節を感じるお馴染みの木々が多い。こんもり茂った林の中にマツがさり気なく混ざっているのもユニーク。根元には、バラ科のコトネアスターや薬草のユキノシタなども見つけられる。園芸好きなら寄せ植えの参考にという楽しみ方もできそうだ。

和洋の植栽が違和感なく一つの緑地となって茂る

屋上をぐるりと一周できる回廊を歩けば、ガラス越しに銀座の街並みを一望。北側からはスカイツリー、南側からは東京タワーを眺められ、天気が良ければ富士山も見えるとか。56mの高さから眺めると、近隣のビルの屋上がつぶさに見えて、高層ビルの展望台とはまた違った視界が開ける。ニョキニョキ建ち並ぶビル群から、聖路加タワーや虎ノ門ヒルズといったランドマークとなるビルを探すのも楽しい。南北が120mほど、1周すると約400mあるものの、あちこちにベンチがあって小休止や、座って景色を楽しめる。
 北側の一角には、護(かくご)稲荷大明神が鎮座。1929(昭和4)年、松坂屋銀座店の屋上に江戸の根岸の里から分霊・遷座した稲荷で、GINZA SIXとなった後も同じように屋上に鎮座し、銀座のパワースポットとなっている。稲荷の説明看板の隣には、銀座初の百貨店として開業した松坂屋銀座店の歴史が書かれた看板も立つ。

東側は、木製ベンチが点在。
植栽がずっと続くので遊歩道のよう
汐留のビル群の先に東京タワーもしっかり見える
松坂屋時代から続く火防、厄除けの
護稲荷(かくごいなり)大明神
稲荷の所から外を見ると、
聖路加ガーデンタワーがチラリ

ガーデンの西側、芝生広場と水盤の両サイドは、森林エリアと称される緑生い茂る場所。階段状のステップはベンチにもモニュメントのようにも見えるユニークな形。幼児を遊ばせたり、読書をしたり、地下の食品売り場で購入したお弁当を広げている人もいるなど、思い思いに寛げる。
 GINZA SIXのショップは10:30オープンだが、屋上庭園は朝7:00から開いている。外周の回廊は通路が広く、車いすやベビーカーでもすれ違う人を気にせずにのんびりと回れる。朝の散歩、一息いれたいとき、知人とのんびり談笑しながらなど、色々なシーンで訪れてみたい。

芝生広場の両脇に広がる森林エリアでは森林浴気分に

西欧と江戸の文化の魅力を巧みにミックス
イベント、散策、寛ぎなど、多様な過ごし方を生み出す文化の発信地に

鈴木 章浩氏
Interview
森ビル株式会社
設計部 設計監理部
監理2グループ 外構担当
チームリーダー
鈴木 章浩
西欧と江戸の文化が融合した銀座の街の歴史を反映
「GINZA SKY GROVE(銀座の空に浮かぶ緑)」をコンセプトに、銀座エリアで最大となる約4000uの空間のうち、約2200uを緑地として整備しました。都市再生特別地区であるため、行政も含めた多くの人々とともに、歴史や文化などいろいろなイメージを積み上げてコンセプトを設定。数年かけて文化発信地である銀座に相応しい庭園空間の在り方を模索しました。
 かつての銀座は、人力車と馬車が並走する江戸文化と西欧文化が融合した特別な場所でした。その点に着目し、中央に芝生広場と水盤、両サイドに四季折々の自然を楽しむ庭園と、西欧の広場文化と江戸の庭園文化を融合させたガーデンを目指しました。
ヨガ、ビアガーデン、薪能。楽しい仕掛けを生み出す広場
屋上に出ると、まず目に入る芝生広場。ヨガなどのイベントはもちろん、ピクニックなども楽しめるようにとの思いで設計しました。水盤は、靴底が濡れる程度の浅さで、四角を重ねた紋様が浮かんでいます。この紋様は江戸小紋の一つで、碁盤の目のような銀座の街並みを表すモチーフとして使いました。実は、上空から見ると植栽と通路の形もこのモチーフになっています。水は抜くこともできるので、芝生と合わせた大きな広場として、大規模なイベントも実施可能。水遊び、ビアガーデン、薪能など、色々な楽しみ方ができます。建物の白壁はあえて高くし、プロジェクションマッピングも投影できるように設計されています。単なる広場ではなく、どんな過ごし方ができるか、どんな楽しみ方を提案したいかを考えながら進めていきました。
サクラとカエデでまとめた植栽ゾーン!日本で最初の街路樹を再現
銀座は、日本で最初に街路樹が登場し、サクラ、カエデ、マツが植えられたと言われています。この歴史をヒントに、広場の右側の植栽はサクラ類、左側の植栽はカエデ類で統一。カエデ類の中に1本だけ松を植え、銀座の歴史を再現しました。
 お花見や紅葉が長く楽しめるよう、サクラ類からカワヅザクラ、オオシマザクラ、エドヒガンなど、カエデ類もイロハモミジ、ヤマモミジ、ハナノキなどと多種類で展開。春はお花見、夏は青々とした葉、秋は紅葉、冬は枯木立と折々の季節を楽しむ庭園を創出しました。銀座を訪れる多くの外国人に、日本の四季の魅力を発信し、いつ訪れても異なった楽しみ方を演出することも狙いにしています。
 屋上庭園ならではの苦労としては、土の量に気を使いました。樹木は低木類だけでも60種類以上あり、メインのサクラ類やカエデ類も合わせるとかなりな量。定期的に植え替えるわけではないため、きちんと根を伸ばせる深さが必要になります。しかし、土がたくさん屋上にあると天井が重くなり、柱を太くしないと支えられません。そこで、屋上の床を掘り下げる形で植栽部分の土を増やしたほか、大きな木の場合はさらに盛り土をして根が乾燥しないようにしています。また、形や種類にもこだわり、歩道からも見える並木道の常緑樹はどこから見てもきれいなもの、モミジは枝垂れるもの、マツは広がりのあるもの、通路の天井や壁面は日陰に強いものを選別しました。
ロマンティックな夜景が楽しめる回遊通路
通路は常緑樹のタブの木が続く並木道。高さ8mほどのため、周囲の歩道から見るとビルの屋上に緑が浮かぶように見え、まさにコンセプトの「GINZA SKY GROVE」そのものです。
 銀座には高い建物が建てられないというルールがあるため、回遊通路からの周囲の眺望は見事です。特に夜景をゆったり眺められるよう、ベンチを点在させました。カップルや夫婦がロマンティックな雰囲気を楽しんでほしいという思いも込めています。通路の途中には、松坂屋時代から続く神社を配置。京都では、鬼が侵入できないように建物の北東部(鬼門)の角が切り取られている建物がありますが、このビルも偶然北東部が切り取られた設計になっており、この土地を守護する神社が遷座するのにふさわしい場所として選びました。
 イベントに参加したり、植栽の中でPCを広げてみたり、デートで夜景を眺めたり、多様な過ごし方ができるガーデンなので、ぜひ何度も足を運んで楽しんでほしいと思います。
GINZA SIXの歴史
2011(平成23)年
銀座六丁目10地区市街地再開発事業の都市計画決定
2014(平成26)年
着工
2017(平成29)年
竣工
GINZA SIXガーデン(銀座)
中央区銀座6-10-1 [MAP]
03-6891-3390 (GINZA SIX総合インフォメーション 10:30〜20:30)
オープン時間 7:00〜23:00
銀座線、丸ノ内線、日比谷線「銀座駅」徒歩2分
浅草線、日比谷線「東銀座駅」徒歩3分
webサイト
2017年9月取材