2002年カンヌ国際映画祭監督賞受賞作!
スタッフとキャストで鮮烈な化学反応を起こした
極彩色にして異色のラブ・ストーリー
恋に落ちた瞬間、誰もが味わうバカバカしくもロマンティックでたまらない感覚。それをとてもストレートかつアーティスティックに描き出した物語。監督は『ブギーナイツ』『マグノリア』を手がけた才気あふれる若手、33歳のポール・トーマス・アンダーソン。彼のもと、主演に『Mr.ディーズ』で製作総指揮・主演を果たし、俳優としても認められた米国コメディ界のスター、アダム・サンドラー、相手役にシリアスな演技派女優として知られるエミリー・ワトソンら味なキャストが集結!その名もPUNCH-DRUNK LOVE、“強烈な一目ボレ”である。
主人公バリーは挙動不審でかんしゃくもちのさえない青年。しかし心やさしいバツイチのキャリアウーマン・リナと出会い、“一生に一度の恋”に落ちる。なんとか恋を成就させるべく不器用ながらも猛進するバリーはいつしか、悪癖や小心さをほんの少し克服する。心の問題を乗り越えて新たな境地を見出す人々を描き続けるアンダーソン監督。その重めになりがちなテーマを今回は奇妙でハッピーなラブ・ストーリーに投影。また本作は、ナマの“感覚”を表現することにこだわって見事成功した実験的作品、という点でも注目だ。
タイトルロールにある、うごめく極彩色のオーロラにキラキラとまたたく星のアニメーションは恋そのものを、一本道を突っ走ってきて、やおら事故る車はショッキングな一目ボレを、バリーの真っ青なスーツとリナの真っ赤なニットやストリングスの美しいBGMはレトロな恋物語を、打楽器などによる不安定なサウンドは恋の副産物である不安感や猜疑心を……と、暗喩を感じずにはいられない映像や音の数々。鋭いセンスによる“恋愛感覚”映像化の巧みさがツボにハマりまくり、観ている間はとにかく笑いがとまらなかった。世界にぼんやりと霞みがかり足どりはふわふわと心もとないのにかなり気持ちイイ、高熱時の“ハイ”な状態にも似た感覚。それは思いがけず空に現れた虹やオーロラを見上げたときのような、力強くてピースフルな幸福感にもよく似ている。
“プリンの懸賞で一生分の航空マイレージを手に入れた男”という掟破りな元ネタの実話もただの伏線、というくらいケッサクな演出。アンダーソン監督のファニーで先鋭的なセンスは、畑違いの芸達者であるサンドラーとワトソン、実力派スタッフ陣の力量と絶妙な化学反応を起こし、またもやヴィヴィッドに開花した。
ともあれ百聞より一見。この手の映画はなによりも体感がイチバン。感度200%の感じたがりな人たちよ、ぜひご覧あれ!
公開 | 2003年7月26日公開 恵比寿ガーデンシネマ他にてロードショー |
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制作年/制作国 | 2002年 アメリカ |
上映時間 | 1:35 |
配給 | 東宝東和 |
脚本・監督・製作 | ポール・トーマス・アンダーソン |
音楽 | ジョン・ブライオン |
アートワーク | ジェレミー・ブレイク |
出演 | アダム・サンドラー エミリー・ワトソン ルイス・ガスマン メアリー・リン・ライスカブ フィリップ・シーモア・ホフマン |
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