スーパーサイズ・ミー 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
スーパーサイズ・ミー

30日間マクドナルドONLYで生活してみたら!?
ファーストフードの真実をクリアにとらえた
ドキュメンタリー・エンタテインメント!



 これは本当に見る価値のある、凄〜い映画。企画・監督のモーガン・スパーロックが自らの生命をも賭して製作した、ほとんど人体実験レベルの食生活ドキュメンタリー。30日間3食すべて、マクドナルドに売っているものだけを食べ続けたらどうなるか、という突飛なチャレンジをした男の実録映画である。


 2002年アメリカ、肥満症に悩む2人のティーンエイジャーがマクドナルド社を訴えた。そのニュースを聞いたスパーロックは、“最高で最悪なアイディア”を思いつく。“栄養価が高くヘルシー”というマクドナルドの商品を1ヶ月間食べ続けたら、どうなるか? その試みを映画として撮ることに決めた彼は開始前、3人の医師の検診を受けて相談。医師たちの予想では、体重やコレステロール値が増えるくらいだろう、とのことだったが……。

スーパーサイズ・ミー
 コレが相当に面白い!肥満を育てる不毛のサイクルをバッサリと一刀両断に斬り捨てるところなどが、かなり快感。マックのキャラ、ドナルドをアレンジした毒のあるイラスト、広告宣伝費の割合や肥満が引き起こす症状をわかりやすく解説するアニメーションなど、パッと目を引く映像がテンポよく差し入れられる。真面目な先生方のカタくてもためになる重要なメッセージは、素朴な疑問を投げかけてから、ひとつのテーマごとに細切れに出していく。もともとCM制作やミュージックビデオ、TV制作で知られているスパーロックのセンスによって、観る側を飽きさせない工夫が随所に施されていた。ドキュメンタリーでありながら子供から大人まで世代を問わず楽しめる仕上がりに、大勢の人たちに観てもらい、この事実を知って欲しい、という熱意が込められているように感じた。
スーパーサイズ・ミー
 “被験者”スパーロックは、体調不良と精神不安に徐々に襲われながらも、周囲からの制止をふりきって最後までやりぬいた。本作が調査・告発映画みたいなストイックすぎるものではなく、ちゃんとエンタメとして成り立っているのは、彼自身にもともと備わっている明るさやパワー、気概によるところも大きいだろう。


 製作サイドの予想をはるかに超えたヒットと大いなる反響を全米に呼んだ本作。アメリカのマクドナルドでは超特大の“スーパーサイズ”が廃止され、学校では給食を見直す動きがおこり、家庭では子供の食事にもっと気を配るように……と社会現象まで引き起こしたことは、本当に素晴らしい。スパーロック曰く、「今回の実験にマクドナルドを選んだのは、彼らが一番大きいから。彼らなら何か変革できると思ったんだ。彼らが変われば、他の企業も追随してくるはずだから」とのこと。狙いどころもメッセージも、いい意味でクールな本作。しかし中身はこの冬で一番熱く、アヴァンギャルドなパワーに満ちた作品かもしれない。
『スーパーサイズミー』 2004年アメリカ映画
データ
2004年12月更新

スーパーサイズ・ミー

2004年12月25日公開
シネマライズほかにて上映

■2004年 アメリカ映画
■上映時間1:38
■クロックワークス、ファントム・フィルム配給
■プロデューサー・監督/モーガン・スパーロック
■出演/モーガン・スパーロック
アレックス



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
CSホロス株式会社代表取締役。フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。これまでに取材した人数は600人以上、2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』でコラム“シネマ・アロマ”を担当。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
あつた美希