セルラー

見知らぬ女性からのSOSを青年は救えるか!?
注目株から演技派まで充実のキャストが出演
ハイテンションなサスペンス・スリラー

  • 2004/12/10
  • イベント
  • シネマ
セルラー

いつも通りに着信した携帯のコールが、命がけで助けを求めるSOSだったら――? 注目株から往年の名優まで、充実のキャストで製作されたスリリングなサスペンス。走り出したら止まらない、ノンストップのノリと勢いで観客を惹きつける、シンプルなエンタメ作である。

夫や息子と幸せに暮らしていた高校の科学教師ジェシカは、突然面識のない男たちに連れ去られ、どこかの部屋に監禁される。犯人のひとりが部屋の電話を破壊していくが、ジェシカは自分の知識で配線をなんとかつなぎ、通話に成功。たまたまつながったひとりの見知らぬ青年ライアンに助けを求める。

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なぜジェシカは誘拐されたのか、どうしたらライアンはジェシカを救うことができるのか、犯人たちの目的は一体――? ハイテンポな展開の中、さまざまな「?」がだんだん解き明かされていく。この小さな「なるほど」の積み重ねは、やっぱりけっこう気持ちいい。

偶然つながった携帯電話の相手が命綱。これが切れてしまったら、外界とのつながりが、助けてくれる人との連絡が絶たれてしまう。電波が弱くなったり、バッテリーが切れそうになったり、携帯電話にありがちな平凡なトラブルが緊迫感を煽るところがユニークだ。

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そして俳優は、味のある面々が配されている。主演は『L.A.コンフィデンシャル』にて、1998年のアカデミー賞助演女優賞を受賞したキム・ベイシンガーと、本作でトップスターの仲間入りを果たしたクリス・エバンス。そして敵役には『トランスポーター』のジェイソン・ステイサム、退職間際の実直な警官役に『ファーゴ』の名優ウィリアム・H・メイシーが出演。このメンバーが張り詰めた緊迫感とありふれた日常の様子を交互に上手く見せることで、飽きのこないリズムが全体に作られていた。

青年ライアンは、義憤に燃える正義の味方でもなければ、誰よりも強いタフガイでもない。軟派で気まま、でも悪い奴ではないから、いざ女性から必死に助けを求められると、「絶対に助けてやる!」というヒロイックな感情と道義心に火がついて、一心に助けようとがんばる。後先考えないその場しのぎの言動が、時に吉とでて、時に凶とでる。「いるいるこういう奴〜」というライアンの身近なキャラクターは、観ていると応援したくなる。ライアン役を演じたエバンスは、本作の意外なスマッシュヒットで一躍人気スターに。本作の原案を手がけたラリー・コーエンが脚本の映画『フォーン・ブース』の主演俳優コリン・ファレルに近い、本能的な色気やどこか憎めない雰囲気をもつキュートな青年だ。これからダイアン・レインと共演の『Fierce People』、SF大作『Fantastic Four』など、次回作が控えているとのこと。こちらも楽しみである。

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悪者をひとりひとり倒していくところや、カーチェイスのスリルと疾走感は、どことなくバーチャルなゲーム感覚。そして「僕の携帯はこんなにスゴイ」とプチ解説するところは、なんのヒネりもない昔ながらのCM風。このストレートなわかりやすさと狙いすましたファニーなB級感は、何も考えずにカラッと楽しみたいときにはうってつけの作品だろう。

作品データ

セルラー
公開 2005年2月公開予定
日比谷映画ほか全国ロードショー
制作年/制作国 2004年 アメリカ
上映時間 1:56
配給 日本ヘラルド映画
監督 デヴィッド・R・エリス
原案 ラリー・コーエン
脚本 クリス・モーガン
出演 キム・ベイシンガー
クリス・エバンス
ジェイソン・ステイサム
ウィリアム・H・メイシー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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