ウィンブルドン

人気の製作スタジオ「ワーキング・ウィンブルドン」
がイギリスのウィンブルドンから贈る
ラブラブハッピーなロマンティック・コメディ

  • 2005/04/08
  • イベント
  • シネマ
ウィンブルドン

ワーキング・ウィンブルドンの恋愛もの。それは、水戸黄門感覚で安心して観ることのできる作品。主人公たちには幸せが必ず約束されている、ハッピーやラッキーの詰まった物語。本作は『ノッティングヒルの恋人』『ラブ・アクチュアリー』を手がけたスタジオのメインスタッフが製作した、ハートウォーミングなラブ・ストーリー。ウィンブルドン・テニス選手権を舞台に、テニス・プレイヤーたちの愛と試合の行方を描く。主演は『スパイダーマン』のヒロイン役でブレイクしたキルティン・ダンストと、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのキャリアで知られ、ラブコメ初挑戦となる性格俳優ポール・ベタニー。人情や皮肉、ロマンティックやスポ根など、甘さも苦さも上手にブレンドしたロマンティック・ムービーである。

6月のイギリスはウィンブルドン・テニス選手権のシーズン。世界ランキング11位から今では119位となり、この大会での引退を決意しているベテラン選手ピーターも選手向けのホテルへ向かう。手配された部屋に彼が入ると、なぜか美人がシャワー中。あわてながらも言葉を交わすと、彼女は父親の英才教育で才能を開花させた優勝候補の若手プレイヤー、リジーだった。

ウィンブルドン

間抜けさ、格好よさ、素直さ……あふれる人間味にグッとくる。恋によって落ち目のベテラン選手は命を吹き返し、新進気鋭の若手プレイヤーは野心が鈍り、お調子者の元マネージャーは復活した選手にすりより、すれ違い気味だった家族は息子の活躍によって円満になる。人々の心理的な背景やウィンブルドンの実情などがコミカルかつきちんと描かれ、人間ドラマとしてのベースはきっちりとした上でラブコメが展開。そのためシンプルな内容といっても、手抜きや狙いすぎなどの不快さやうすっぺらな感覚は特になし。「こういうのってやっぱりいいよね」と、素直に思わせる作品だ。

ウィンブルドン

「誰もが知っているスポーツだけに余計神経を使いました」とリチャード・ロンクレイン監督も語った本作。俳優たちのミラクルショットはCGで作られているものの、テニスにまつわることはそれなりにリアルに描写。人気選手にはパパラッチが付きまとい、落ち目の選手の引退発表には記者もまばら、といったウィンブルドンの内情、男性選手の引退後の仕事はスノッブなスポーツクラブでマダム方のお相手……と、テニス業界の表と裏にさらりと触れている。実は本作には、解説者役にジョン・マッケンローとクリス・エバート、俳優たちのテニス・トレーナーにパット・キャッシュなど、本物のウィンブルドン覇者たちが参加。彼らのアイディアがいろいろと生かされているのだそう。また、ウィンブルドンを管理する「オール・イングランド・ロ−ン・テニス&クロケット・クラブ」から前例のない撮影許可を得て、試合のシーンは実際に選手権が行われているウィンブルドンのセンターコートで撮影。現場の空気感が伝わってくる仕上がりも面白い。

ウィンブルドン

ラブコメ、スポ根、家族愛、友情などなど、お茶の間ドラマのお約束的エッセンスをセンスよく料理した、とてもわかりやすい作品。ワーキング・ウィンブルドンの作品は、観ていると素直な気分にしてくれるから不思議だ。作品に心がこもっているかどうかは、観ていると自然に伝わってくる。彼らの作品には、マーケティングされたものだけじゃなく、リアルな実感や経験が反映されているのだろう。そうした愛にも似た感覚は思いやりにつながり、観客をやさしい気分にしてくれるのだ。春にふさわしい、幸せの香りが立ち上る爽やかなラブ・ストーリーで、ちょっといい気分を味わってみてはいかがだろう。

作品データ

ウィンブルドン
公開 2005年4月23日公開
ユナイテッド・シネマほか全国ロードショー
制作年/制作国 2004年 イギリス・フランス
上映時間 1:38
配給 UIP映画
監督 リチャード・ロンクレイン
製作 ティム・ビーヴァン
エリック・フェルナー
出演 キルスティン・ダンスト
ポール・ベタニー
サム・ニール
ジョン・ファブロー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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