女王ビヨンセと新人ジェニファー、歌姫の競演!
'60年代ブラックミュージックの世界を一流スタッフが
現代的に再構築したグルーヴィな音楽映画
1981年12月20日、ブロードウェイのインペリアル・シアターで初演以来、'82年にトニー賞6部門を受賞、4年間で1522回上演。全米〜世界各国で熱狂的に支持された同名のミュージカルを映画化。出演は歌姫ビヨンセ・ノウルズ、新人ジェニファー・ハドソン、ジェイミー・フォックス、エディ・マーフィ、監督・脚本は『シカゴ』で脚本を担当したビル・コンドン。1960年代にダイアナ・ロスが大人気を誇ったコーラス・グループ“ザ・スプリームス”の実際の成功秘話を基に、愛憎劇やジョービズ界の内幕を描く。ブラック・ミュージックにのせてゴージャスにドラマティックに魅せる、ホットな音楽映画である。
アフリカ系アメリカ人に対する社会的差別が色濃い1962年のアメリカ、デトロイト。野心的なマネージャー、カーティス(フォックス)はエフィー(ハドソン)、ディーナ(ビヨンセ)、ローレル(アニカ・ノニ・ローズ)が結成したコーラス・グループの才能に目をつけ、人気スター、ジェームス(マーフィ)のバック・コーラスとしてデビューさせる。
最初の3人のステージングで、ハドソンの強烈に訴えかけてくるソウルフルな歌声にやおら感動! 米国の超有名なコンテスト番組から登場した25歳の新人シンガーは、本作で劇的に映画デビューを果たした。ソウルやリズム&ブルース、ディスコサウンドなど、全編をハイテンションに押してくるブラックミュージックのグルーヴが最高に気持ちいい。
現代R&Bシーンの女王ビヨンセは女優としては難しい位置にいたが、今回の出演はこれまでで一番ナチュラル。歌とダンスが中心で台詞が少なめ、ポップスターである自身に近い役柄のせいか、持ち前の魅力をいかんなく発揮している(歌声は確かに違う。本人曰く「ディーナの歌い方は私とはとても違うので、抑えなくてはならなかった。“ビヨンセ”はこの映画にはどこにもいません」とのこと)。
ショービズ界におけるアフリカ系アメリカ人の成功とその代償、そして離別や和解。物語として説得力があり、気分スッキリ、はなやかでパワフルな仕上がりだ。ただ個人的に、すこし引っかかる点がある。
本作はザ・スプリームスで成功を収めたダイアナ・ロスのサクセス・ストーリーであり、1967年にグループを脱退して1976年に病死したというフローレンス・バラードの転落と再生を基にした物語。どちらかというと本作の主役はフローレンスをモデルにしたエフィーであり、それを演じた新人ハドソンだが、プレス資料でもフローレンスのことにはほとんど触れられず、ハドソンの扱いも小さい。これはハリウッドの判断や戦略によるマスコミ誘導なのだろうか。どうも腑に落ちない。が、小手先の情報操作など観客には通用しない。ただの“スター映画”ではない物語の本質的な価値は、必ず伝わるはずだ。ぜひ皆さんの目と耳で、その真価を確かめてほしい!
公開 | 2007年2月17日公開 日劇3ほか全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2006年 アメリカ |
上映時間 | 2:10 |
配給 | UIP |
監督・脚本 | ビル・コンドン |
原作・作詞 | トム・アイン |
ミュージック・プロデューサー・アレンジャー | アンダードッグス |
出演 | ビヨンセ・ノウルズ ジェニファー・ハドソン ジェイミー・フォックス アニカ・ノニ・ローズ エディ・マーフィ ダニー・グローバー |
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