マジシャン同士の対立が引き起こした殺人事件
真犯人は誰なのか? その狙いとは?
トリックの迷宮へと誘う重厚なサスペンス
「この作品はトリックそのもの。騙されるな」というクリストファー・ノーラン監督の言葉どおり、ミステリアスで重厚な作品。ある事件をきっかけに対立し、激しく競い合い、憎み合うようになる2人のマジシャンの行く末を描く。出演は『X-MEN』のヒュー・ジャックマン、『バットマン・ビギンズ』のクリスチャン・ベール、オスカー俳優マイケル・ケイン、セクシーな人気女優スカーレット・ヨハンソン。クラシックからモダンへと移り行く19世紀末という時代性、SFやホラー、サスペンスやミステリーなどさまざまな要素が濃縮された、ダークで複雑なドラマである。
19世紀末のロンドン。エレガントで華のあるパフォーマーのアンジャーと、無骨ながらも天賦の才能と技術を誇るボーデン、いがみ合う2人の人気マジシャンはある日、殺人事件の被害者と容疑者となる。若かった頃の彼らは互いを認め合い、ともに一流のマジシャンを目指す友人同士だったが、ボーデンの不手際による脱出トリックの失敗でアシスタントをしていたアンジャーの妻が亡くなったことにより2人は絶縁。その後、確執を深めていった…という因縁があった。作家である弟ジョナサン・ノーランの短編小説『メメント』の映画化で独特の感性を知らしめたノーラン監督が、その異才ぶりを再び発揮。物語は時間軸を自由に行き来し、さまざまなエピソードが交錯していくため、わかりにくく難解な面もあるものの、あらゆるところに仕掛けられたさまざまな伏線がジクゾーパズルのピースようにピタピタとはまっていくところはなかなか見ごたえがある。
作家である弟ジョナサン・ノーランの短編小説『メメント』の映画化で独特の感性を知らしめたノーラン監督が、その異才ぶりを再び発揮。物語は時間軸を自由に行き来し、さまざまなエピソードが交錯していくため、わかりにくく難解な面もあるものの、あらゆるところに仕掛けられたさまざまな伏線がジクゾーパズルのピースようにピタピタとはまっていくところはなかなか見ごたえがある。
原作はイギリス出身の作家クリストファー・プリーストによる世界幻想文学大賞を受賞した小説『奇術師』。本作の脚本は監督のクリストファー・ノーランと小説家である実弟ジョナサンが共同で執筆。映画そのものを巨大なトリックにすべく、2人でじっくりと練り上げていったのだそう。また、19世紀末当時の大掛かりなマジックからコインなど今も変わらずにある定番のトリックまで、多様なマジックが登場する本作の監修は、アメリカの天才マジシャン、デビッド・カッパーフィールドが担当。本格的な雰囲気の中、マジックショーの表と裏の双方が見られるのも興味深い。
ジャックマンとベールはプロの指導のもと、一流マジシャンのプライドや競争心をシリアスに表現。彼らに翻弄される女性たちをヨハンソンやレベッカ・ホールが好演している。また、キーマンとなる科学者ステラをイギリス出身のロック・スター、デヴィッド・ボウイが飄々と演じていることにも注目だ。
誰が騙し、誰が騙されているのか。謎を追いながら観ているうちにハッと気づく。騙されていたのは私たちだったと。だまし絵の世界観にも似た感覚のトリッキーな作品である。
公開 | 2007年6月9日公開 スカラ座ほか全国東宝洋画系にてロードショー |
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制作年/制作国 | 2006年 アメリカ |
上映時間 | 2:10 |
配給 | ギャガ・コミュニケーションズ |
監督・脚本 | クリストファー・ノーラン |
脚本 | ジョナサン・ノーラン |
原作 | クリストファー・プリースト |
監修 | デビッド・カッパーフィールド |
出演 | ヒュー・ジャックマン クリスチャン・ベール スカーレット・ヨハンソン マイケル・ケイン レベッカ・ホール デヴィッド・ボウイ |
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