スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

トニー賞8部門受賞の伝説的ミュージカルを
バートン監督×デップの名コンビで映画化!
復讐と愛を高らかに詠うダークなファンタジー

  • 2008/01/18
  • イベント
  • シネマ
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師©2007 Warner Bros. Entertainment Inc. andDreamWorks LLC. All Rights Reserved.

アカデミー賞の前哨戦であるゴールデン・グローブ賞にて、ジョニー・デップがミュージカル/コメディ部門の最優秀主演男優賞を、そして同部門で最優秀作品賞を受賞した話題作。監督は本作でデップと6度目のタッグとなるティム・バートン、共演にヘレナ・ボナム=カーター。猟奇的な題材がブラックな笑いと名曲のスパイスで調理された、ダークなミュージカル・ムービーである。

19世紀のロンドン。美しい妻と生まれたての愛娘と暮らすフリート街の理髪師ベンジャミンは、悪徳判事ターピンによって無実の罪をきせられ、投獄されてしまう。15年後に脱獄したベンジャミンはスウィーニー・トッドと名乗り、復讐の鬼となって街に戻る。愛する妻子との再会を夢見ていた彼は、大家のミセス・ラベットから妻は服毒、娘はターピンの養女として幽閉されているという事実に絶望。ベンジャミンことスウィーニーは復讐への思いをたぎらせながら、フリート街に再び理髪店をオープンする。

ジョニー・デップ

デップは本作にて、ゴールデン・グローブ賞に8度目のノミネートで遂に主演男優賞を獲得。アカデミー賞の行方にも期待が高まっている。デップは全米脚本家組合のストライキによって第65回ゴールデン・グローブ賞の授賞式が中止になったことについて、「とても残念です」と語っている。この作品で歌に初挑戦したデップは「歌のプロではないので」と自身も監督も口をそろえて謙虚に語るが、なかなかどうしてロック・オペラを思わせる、堂々たる歌いっぷり。もともとバンドのギタリストとしても活動し、独自に音楽を愛好してきただけあって、とても自然に自由な表現を会得しているようだ。これを機に、デップのミュージカル・ムービーへの出演が増えていくかもしれない。

ジョニー・デップ

そもそもスウィーニーは、1846年に『ピープル』誌に掲載された物語『The String Of Pearls: A Romance』の登場人物だった、という説が有力とのこと。そして1847年に舞台化されて人気となり、1973年にイギリスの劇作家クリストファー・ボンドの戯曲によって現在の物語の原型が完成。1979年にはアメリカでその戯曲を基に、アカデミー賞やトニー賞など数々の賞を受賞している伝説的な作詞家にして作曲家スティーブン・ソンドハイムがヒュー・ホウィーラーとともに、スウィーニーの物語をさらに練り上げ、アメリカをはじめ世界に広く紹介したとのこと。初演から150年もの間上演され続け、トニー賞8部門受賞の傑作ミュージカルとなったのだそうだ。

「中心にあるものは非常に情熱的で、暗いラブストーリー」と本作の脚本家ジョン・ローガンが語る本作。はっきり言って、物語そのものはシンプルに心地よいと思える内容ではまったくない。それでも時を超えて人々を魅了し続けるのはなぜなのか。タブーや猟奇的なことをのぞき見するという“悪”への本能的な誘惑、どことなく古代の神話や教訓、伝承の民話などを彷彿とさせる普遍性、そして魅力的な歌と音楽ゆえなのでは。そして本作ではこれらの要素にバートン監督がピッタリとハマり、作品の根底にある個性的なロマンティシズムをしっかりと打ち出している。血なまぐさく不吉によどむ復讐奇譚。内容そのものは受け流し、色濃く混ざり合っていく復讐と執着の影に時折射しこむ、青年の恋心や少年の生命力、少女の清らかさの輝き、そしてデップをはじめ出演者たちによる歌の数々を堪能する。それがこの映画の楽しみ方のひとつなのだろう。

作品データ

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
公開 2008年1月19日公開
丸の内ピカデリー1ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2007年 アメリカ
上映時間 1:57
配給 ワーナー・ブラザース映画
監督 ティム・バートン
脚本 ジョン・ローガン
作詞・作曲 スティーブン・ソンドハイム(スティーブン・ソンドハイムとヒュー・ホウィーラーによるトニー賞受賞ミュージカル『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』に基づく)
原作戯曲 クリストファー・ボンド
出演 ジョニー・デップ
ヘレナ・ボナム=カーター
アラン・リックマン
ティモシー・スポール
サシャ・バロン・コーエン
エドワード・サンダース
ジェイン・ウィスナー
ジェイミー・キャンベル・バウアー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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